労働運動と報道

 大阪でのJR脱線事故シンポでは、開会までの空き時間や終了後の交流会で、国労の方々とも色々と話ができた。印象に残ったのは、メディアの勉強不足だ。
 事故ではJR西日本の労務政策も焦点になっている。会社の利益追求方針に唯々諾々としていた労組側のスタンスも、事故の背景事情として取材・報道テーマになった。JR西日本社内には4つの労組がある。それぞれに歴史的経緯があるのだが、国労の方から聞かされたのは、取材者の側にその経緯の知識がまったくない、と思われるケースが多々あったという話だった。
 JR各社の労組分裂の状況は、旧国鉄時代にさかのぼる。分割民営化のひとつの目的は、JR新会社への再雇用を契機として、労使対決路線を取る国労などを弱体化させることにあったのは明白だ。いまだに解決していない国労組合員1040人余りの採用差別問題がその象徴だろう。しかし、その採用差別問題すら、メディアの取材現場では十分に理解されていないのが実情だろう。無理もないかもしれない。もう20年近く前のことなのだから。
 だが、そうした経緯の一つひとつを理解していないと、JR西日本がなぜ、極端な利益追求路線をひた走ったか、正確な理解もできないだろう。ことはJRだけの問題ではない。今のメディアの中で、「労働運動」「雇用」のニュースバリューはどんどん低下しているように思われてならない。記者の配置も、(新聞なら)紙面のスペースもだ。
 労働組合は憲法で保障された「権利」であり、一人ひとりでは弱い立場に置かれている労働者に、「団結」によって使用者と対等の立場を保障するものだ。今、自分自身が労働運動に身を置いていて、そのことをどれだけの記者(新聞であれテレビであれ)が理解できているかと、疑問にかられることがある。
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by news-worker | 2005-07-24 20:47 | 労働組合  

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