UNI世界大会 その2

 シカゴでのUNI世界大会2日目(23日)の中心討議テーマは「世界をdecent workに目覚めさせよう」。「decent work」とは、直訳すれば「適正な労働」ということになるのだが、それだけでは表現できない様々なニュアンスを含んでいる。強いて言えば、見合う報酬が得られる労働、搾取やごまかし、人種や性別などあらゆる差別や人権侵害がない労働、ということになるだろうか。例えば、同じ仕事をしているのに身分によって賃金が異なれば、それはdecent workとは呼べない。最近ではILO(国際労働機関)もこの概念の普及に力を入れている。
 UNI大会では、グローバルユニオンの構築と絡めて議論されている。近年は各産業分野で多国籍企業が幅を利かせ、国境を越えてやりたい放題をやっている。ならば、労働組合も国境を越えて連帯し、とりわけdecent workが実現できていない途上国などの地域の労働者を労働組合に組織化し、decent workを実現させねばならない、というのがUNI本部の問題提起だ。
 大会での議論では、やりたい放題をやっている多国籍企業の代表格として、小売流通のウォル・マートが再三、やり玉に上がる。労働組合を作ろうとした従業員を解雇したり、ドイツでは、組合結成の動きがあった店舗を何と閉鎖したり。
 一方、ある地域の労働者が目覚め、労働組合に組織化されると、多国籍企業はより安価で使い勝手がいい(つまり安い賃金でよく働き、しかも、いつでも解雇できる)労働力を求めて、別の地域に進出する。労働者から見れば、仕事に見合う報酬ではないとしても、仕事がないよりはマシ。多国籍企業は「底辺への競争」を労働者間にもたらすというわけだ。組織化をてこ入れすべき対象として、UNIがもっとも重視しているのは中国だ。これは実感として分かる。日本の産業界が果てしなきコストカットに追いこまれているのも、安価な労働力を背景に急成長してきた中国経済に立ち向かうためだ。UNIは、中国の労働者を労働組合に組織化し、UNIのメンバーに迎え入れて支援しなければ、中国にdecent workは実現できない、と説く
 UNIが目指すグローバルユニオンとは、中国などを含めて世界中にネットワークを持ち、多国籍企業との間で、地域を問わない普遍の労働協約を確立する労働組合運動だ。中国の労働者が、どんなに安い賃金と低劣な労働条件でも文句一つ言わずに働くいている限り、リストラをはじめとする日本の労働者の苦悩も終わらないだろう。
 討論では各国の代議員が入れ替わり、発言台に立ち、decent workの重要さを強調し、実践の事例を報告した。国境のないグローバルユニオンへ、まず必要なのは、自らの組合の外に目を向け、労働組合に守られていない人たちに何が起きているかを直視することだろうか。わが身を振り返れば、ため息が出るくらいに困難で長い時間がかかる課題だが。
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by news-worker | 2005-08-24 14:17 | 労働組合  

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