UNI世界大会 その3

 24日のUNI世界大会3日目の討論テーマは「あなたは一人で働いているのではない」。多国籍企業を対象に、労働組合の組織化が議論された。
 事例報告では、印刷、放送、ケーブルテレビなどを手がける多国籍企業「Quebecor(ケベコール)」での組合組織化が印象に残った。同社は印刷部門では米国やカナダをはじめとして北米、中南米、欧州とインドに160の印刷工場を持つ。UNIの印刷部会(新聞労連もここに所属している)が2000年から組織化に取り組んだ。そのうち米国の工場の従業員を対象にした取り組みでは、14カ国から120人のUNI加盟組合メンバーが参加。従業員への接触、説得活動(日本の労働運動風に言えばオルグ)を続けると同時に、同社の顧客、株主、政界にも圧力をかけ続け、労働組合の設立を同社経営側が妨害しないよう、けん制を続けた。
 組合設立にこぎつけたネバダ州の工場で働く女性も登壇。2003年10月に、目立たないようホテルで開かれた組合設立のプロジェクト会議に初めて参加。以後は月に1回から週に1回、会合を開いてネットワークを広げていった。仕事は印刷機へのインクの注入。根気と集中力がいるきつい仕事。労働組合についての勉強を続ける中で、仕事に必要な訓練を受けていない、従ってけがが多い、医療保険が高いのに給料は上がらずボーナスも1%だけ、など数々の問題が職場にあることを自覚するようになったという。本格的な労使協約の締結はこれからだが、組合ができて職場環境が良くなれば、仕事も楽しくなると思っているという。彼女は発言の締めくくりに「世界中のケベコールの労働者が団結すれば、会社にわたしたちの権利を認めさせることが可能だ」と話した。
 またドイツの労組の代表は、DHL(Deutsche Post World Net)が急速に世界中にネットワークを展開した中で取り組んでいる労働組合の組織化を報告。親会社だけでなく、それぞれの国でDHLの労働者の労働組合をつくり、経験を共有していきたいと、展望を話した。
 UNI印刷部会のミュラー委員長(フランス出身)も発言に立った。ケベコールの組合組織化は印象に残る出来事だが、すべての国で可能だろうか。国により労働組合の考え方も異なる中で、それぞれの産業、地域の中でどうやって意思決定を共有していくか。今後は、地域や各労働団体の間にある壁を取り除いていくことが必要だ、と指摘した。
 ミュラー委員長の指摘に、日本の労働運動の実情が頭をよぎる。グローバルどころか、一企業の中でさえ、組合が複数あって互いに敵視し合っているケースも少なくない。組合間の対立で、だれがいちばん得をしているかは明らかだ。ケベコールの女性労働者の「団結すれば、会社にわたしたちの権利を認めさせることが可能だ」という言葉は、そのままわたしたちにも当てはまる。

 余談だが、米国の労働組合の活動家は当然というか、みなブッシュ大統領が嫌いだ。オハイオ州出身の活動家は、登壇してまず「皆さんにおわびしたい。オハイオ州の投票結果が、最後にブッシュを当選させてしまった。次回の選挙ではそうならないようにすることを約束する」と話して、会場の笑いを誘った。
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by news-worker | 2005-08-25 08:05 | 労働組合  

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