自民圧勝 その4

 衆院選でメディアの報道ぶりはどうだったか、と自問してみる。
 選挙戦で小泉首相が何を言い、対して民主党の岡田党首、あるいは野党各党が何を主張したか、という点からみれば、新聞、放送各メディアともよく伝えていたと思う。しかし、小泉首相は郵政民営化しか口にしなかった。「改革」は訴えていたけれども、例えば自民党が政権公約の中に明記している新憲法制定には触れなかった。自民党は新憲法草案づくりの中で「憲法は国のあり方の基本を示すもの」と位置づけている。小泉首相は「国のあり方」としての「改革」を唱えていたはずだが、新憲法を制定して目指す「国のあり方」とどうかかわってくるのか、分からないままだ。共産、社民両党は護憲を懸命に訴えたが、小泉首相が憲法問題を避けたことによって、憲法は争点にならなかった。
 報道の側面からみると、小泉首相とその主張を軸に、対する野党各党がどう反論しているか、という点ではよく情報を伝えていたのではないかと思う。メディアが自ら掲げる「公正中立」「客観報道」は守られたとみることも可能だ。しかし、このスタンスによって報道の内容は圧倒的に「郵政民営化の是非」「『改革』の是非」が占めることとなってしまった。新聞各紙は社説で憲法も争点として議論されるべきだ、と主張したが、いわゆるストレートニュースとしては大きな記事にはならなかった。
 今回の選挙は、だれもが望まなかったと言われる小泉首相の衆院解散が始まりだから、小泉首相が中心になり、報道も首相の主張・動向に重点が置かれるのは当然かもしれない。結果として、争点になったのは首相が口にした郵政民営化のみで、それ以外は、この「改革」路線の経緯の検証も含めて争点に浮上しなかった。それは社会にとって不幸なことだというのが、わたしの考えだ。
 では、メディアに何ができるか。争点を掘り起こす報道は、新聞各紙はそれなりに工夫していたと思う。ふだんから定期的に実施している世論調査結果の蓄積などを踏まえ、報道を組み立てていくことは可能だ。そうした報道はあったのだが、まだ足りないのか、そもそも無駄なことなのか。実は問題点が整理できていないのだが、「公正中立」「客観報道」を検証する必要があると考えている。
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by news-worker | 2005-09-19 09:14 | 社会経済  

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