全下野労組が法廷闘争へ

 何度か紹介してきた(ココココココココも)栃木県の地方紙・下野新聞で起きている印刷部門の別会社化・転籍問題は、全下野新聞労働組合が8日、計画の差し止めなどを求める仮処分を宇都宮地方裁判所に申請し、争議入りした。
 別会社化・転籍計画の強行は、全下野労組が下野新聞社と結んでいる労使協約に違反するとの主張だ。労使協約には「新たな資本投下(今回の印刷別会社化も該当する)などは労使の合意を得て実施する」との項目がある。下野新聞社は、労組の「計画の白紙撤回要求」を無視し、9日付の紙面に印刷新会社での就労を前提とした社員募集の社告を掲載することを組合に通告していた。新会社社員の採用は対外的な企業の意思表明であり、それ自体、別会社計画の実質的な強行を意味する。労組は、重大な権利の侵害であり労使協議を無視する暴挙だとして、第3者の判断を求めることに踏み切った。
 実は下野新聞社内では約20年前、発足から間もない全下野労組に対し、会社が労組役員を不当に配転するなど徹底的に弾圧を加えた歴史がある。このとき全下野労組は地方労働委員会に救済を申し立て、争議を構えた。最終的には和解で決着し、正常な労使の信頼関係構築のために結ばれたのが前記の労使協約だった。
 
 仮処分申請にもかかわらず、会社は8日夕方、社告掲載は撤回しないことを労組に通告。組合は午後8時以降、全職場で全面ストに入った。会社は管理職だけで紙面をつくり結果的に社告が掲載された紙面が配達された。しかし、会社が社内世論を無視して強硬姿勢を崩さないことに対して、組合員の怒りは逆に高まってきている。今はモノも言わずに会社の指示に従っている管理職たちの間に動揺が起き始めているのも明らかに感じられる。
 わたしは8日午後から宇都宮に入り、仮処分申請の労組側記者会見に同席。その後も深夜まで、全下野労組の皆さんとともにスト集会や戦術会議に参加した。組合員の「下野新聞をどうするつもりなのか」との思いと熱気を肌身で感じた。「地域に信頼される新聞を守る」との思いが、団結の形になって表れている。争議は始まったばかりだが、言葉だけではないこの本当の団結があれば、負けることはないと確信している。そしてこの争議を通じて、労働組合が何よりも大切にしなければならないものは「権利」だ、という意識が、新聞労連内の他の組合にも自然に広がっていくだろうと思う。労働組合が守るべきは「権益」ではなく「権利」だ。権益は不変不朽のものではないが、権利は不変の真理だからだ。
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by news-worker | 2005-11-10 13:09 | 全下野新聞労組の闘争  

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