被害女児の実名は1回でいい

 広島の事件に続き、痛ましい事件の連続というほかないが、栃木県で行方不明になっていた小学校1年生の女児が、2日に茨城県内で他殺体で見つかった。その報道で、朝日新聞と東京新聞の記事の書き方に、従来からの顕著な変化がみられる。それは、一面のいわゆる「本記」記事、社会面のいわゆる「雑観」「サイド」記事ともに、被害者女児の実名は初出だけで、以後は単に「女児」と表記していることだ。
 共同通信の配信記事かどうかは紙面では分かりにくいのだが、共同通信も同様の表記を続けており、東京新聞は共同通信の配信記事との整合上、こうした措置をとっているのかもしれない。
*東京新聞の記事の例

 栃木県今市市立大沢小一年の吉田有希ちゃん(7つ)が下校途中に行方不明となり、茨城県常陸大宮市の山林で他殺体で見つかった事件で、栃木、茨城両県警の合同捜査本部が三日、司法解剖した結果、女児の死因は鋭利な刃物で心臓を刺されたことによる失血死と分かった。
 調べでは、女児は胸だけを数カ所深く刺されており、ほぼ即死状態だった。胸以外に目立つ外傷はなかった。凶器は刃幅がかなり狭く、アイスピックに近い鋭利な刃物だったことも判明。死亡推定時刻は女児が行方不明になった一日午後から二日午前九時ごろとみられる。
 また、女児の遺体が見つかった茨城県の現場の林道に、車が脱輪した跡や道路脇の樹木に接触した形跡もないことが三日の現場検証で判明した。
 林道は軽自動車がやっと通れる道幅しかなく、街灯もない。このため、同本部は、遺体が日中に遺棄された可能性が高いとみている。
 捜査本部は三日朝から計三百人態勢で二つの現場周辺での聞き込みと遺留品の捜索を行ったが、女児の所持品などは見つからなかった。
(引用終わり)

 ネットで見る限り、読売新聞、毎日新聞は記事中でその都度、女児の実名を記している。そうした中での朝日、共同、東京の書きぶりは、際立っている。恐らくは、被害者の人権に配慮しての記事の書き方だ。こうした書き方に違和感があるかどうか、読者の受け止め方はどうだろうか。初出で実名を記しているのだから、同じ記事中で再び表記するときに匿名にすることに何ほどの意味があるのか、という批判もあるかもしれない。
 それでもわたしは、今回の朝日や共同、東京の試みを是としたい。犯罪被害者の権利擁護のために、何もしないよりはいいからだ。
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by news-worker | 2005-12-04 09:30 | メディア  

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