ホリエモン-武部幹事長の新疑惑に地検が異例のコメント

 今日の昼間、書記局でデスク仕事をしていたら、午後1時のNHKテレビニュースで、ライブドア堀江貴文前社長から武部勤・自民党幹事長の次男への送金指示メール疑惑の第一報が流れた。そのときは単純に驚いたのだが、帰宅後、ネットでニュースをチェックしていてもっと驚いた。以下、毎日新聞サイトの記事「武部幹事長二男疑惑:東京地検次席『全く把握していない』」を引用する。

(引用開始)

武部幹事長二男疑惑:東京地検次席「全く把握していない」

 ライブドア前社長の堀江貴文被告(33)が昨年8月、自民党の武部勤幹事長の二男と同名の人物に3000万円を振り込むよう社内メールで指示したと国会で指摘された問題で、東京地検の伊藤鉄男次席検事は16日「メールの存在及び指摘された事実関係について、当庁では全く把握していない」とのコメントを文書で出した。捜査中の事件で、検察当局がこうしたコメントを出すのは異例。
 同地検はコメント以外について、一切明らかにしていないが、メールの存在の指摘により、憶測が飛び交う事態を懸念したとみられる。
毎日新聞 2006年2月16日 19時45分

(引用終わり)

 



 記事中にもあるように、東京地検が現に捜査を進めている事件でこうしたコメントを出すのは異例中の異例だ。仮にコメントを出すことがあるとすれば、事実誤認に基づく捜査批判がなされたときぐらいではないか。わたしは通算で2年半ほど、来る日も来る日も検事の顔を見て過ごす検察担当記者を経験したが、その経験から言っても、今回のような文書による公式コメントは内容といい国会質問当日のタイミングといい、異例というより異常という気すらする。
 恐らく、コメントの限りで地検はウソは言っていないだろう。コメントを出した理由は、国会で指摘されたメールの元々の出元が検察ではないか、という憶測が広まることを避けたかったのだと思う。今回の国会質問はいわゆる「検察リーク」ではない、ということをよほど強調しておきたかったのか。
 では、検察の捜査の網にかかっていないのならば、今回の一件は虚偽の情報、いわゆるガセネタかと言うと、現時点では何とも言えない。ホリエモンの指示があったが結局振り込みはなかった、ということも考えられるし、その場合はライブドアの経理書類に痕跡は残らない。家宅捜索の時点でメールは処分されていた、ということなら次席検事コメントとは矛盾しない。
 一方、もしホリエモンの指示通りに振り込みがあったのなら、ライブドアの経理書類のどこかに必ず痕跡が残る。それを見逃す東京地検特捜部ではない。
 一般に企業犯罪や金融事件では、経理面で不正な操作があれば必ず何らかの痕跡が残る。二重帳簿のケースも多い。表向きの帳簿と裏金処理を克明に記録した裏帳簿だ。裏操作の記録がないと、その後の表向きの辻褄を合わせることもできないから、経理担当者は必ず裏帳簿は処分せずに保存している。メモや備忘録の形かもしれない。それを見つけ出せば、不正な資金操作をあぶり出すのは容易だし、特捜部はそうした捜査に手慣れている。
 総合して考えれば、ライブドアへの家宅捜索から1カ月が経ち、とうにライブドアの金の出入り(だれに渡ったか、その趣旨は何だったかは別にして、いついくらの入金があり、いついくらの出金があったか、使途不明金がいくらあるかなどだ)の解明は終わっているとみられるのに、それでも東京地検のスポークスマンである次席検事が異例の公式コメントで「全く把握していない」と言う以上、少なくとも武部氏の次男に3000万円が振り込まれた事実はない、とみていいのではないかと思う。
 ただしメールは別だ。詳しい知識がないので、メールの痕跡をどこまで消せるか分からないが、特捜部がメールの記録を押収していないことと、メールが実在しないこととは別の問題ではないかと思う。

 ついでに。今日はホリエモンの弁護人が保釈を請求したことも報じられているが、わたしはホリエモンが否認を続ける限り、保釈は認められず勾留は長期化すると思う。鈴木宗男衆院議員の事件を思い起こしていただければいい。被告、容疑者の勾留が長期化するのが特捜部の事件の特徴だ。どうしてそうなのかは、あらためて書きたい。また、なぜ検察が「検察リーク」と言われるのを極度に嫌がるのかも。
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by news-worker | 2006-02-16 22:34 | 社会経済  

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