高知県警の捜査費違法支出を監査委員が指摘~権力と新聞と読者

 うかつにも今日まで気が付かなかった。「踊る新聞屋-。」さんのエントリーで、高知県監査委員が高知県警の捜査費に違法・不当な支出があったと認定したことを知った。22日の県議会に特別監査結果の報告書を提出したとのことだ。以下に今月22日付夕刊の高知新聞の記事の一部を引用する。(全文はこちら

(引用開始)
県警捜査費の一部違法 12―16年度特別監査報告
県警捜査費の特別監査を行っていた県監査委員は22日、橋本大二郎知事と県議会2月定例会に監査結果の報告書を提出、捜査費支出の一部を「違法・不当である」と断定した。公の機関が捜査費支出の違法を断定したのは本県では初めて。報告書は監査対象の34・9%に当たる1791万円余りを(1)支出の実体がない(2)不適正支出(3)支出に疑念―とし、(1)(2)を違法・不当と断じた。その上で、「県民の信頼を裏切るもので極めて遺憾」と県警を厳しく批判。県公安委員会に県警の内部調査と県民への説明責任を強く求めた。

 報告書は、捜査員が聞き取り調査に対し「上司から(虚偽の)領収書の作成を命じられ、電話帳で適当に名前を拾った」「私的な飲食を捜査協力者への接待に装った」などと証言した“内部告発”を具体的に列挙した。これらの証言と県警が開示した文書を照合し、矛盾点や不自然な支出状況を暴き出して「違法・不当」を明らかにする構成になっている。

 特別監査したのは、12―16年度に県警本部と高知署が執行したとする県費捜査費1万3789件、5141万円。報告書はうち85件・77万円(1・5%)を「支出の実体がない」、115件・69万円(1・3%)を「不適正な支出」とし、いずれも「違法・不当」と断定。3178件・1645万円(32%)は「不自然な支出で疑念がある」とした。
(引用終わり)




 特別監査の直接の発端は、昨年5月の捜査費公文書開示請求訴訟の高知地裁判決だったが、それ以前に、最初にこの問題に火をつけたのは高知新聞の報道だった。同紙のホームページに特集コーナーがあるが、疑惑追及の第一報は2003年7月23日付けの朝刊。以後、2年半余かかって、疑惑が公に裏付けられた。

 警察の裏金追及をめぐっては、その後、北海道新聞もキャンペーン的に報道を開始。こちらは道警本部長を道議会で謝罪させるところまで追い詰めた。
 高知新聞、北海道新聞両紙の取材班には、新聞労連の記者研修活動で何度か報告をお願いしたことがある。その場に参加していた若い記者が発奮し、県警追及報道に乗り出した愛媛新聞や、栃木県警と宇都宮地検が引き起こした誤認逮捕・起訴事件を徹底追及する下野新聞のような例も生まれた。「読者・市民とともに歩む新聞」を目指す意識が、地方紙の若手記者の間に広がっているのは間違いがない。
 
 特別監査の報告書に対し、高知県警は容易には認めない姿勢のようだ。高知新聞に対しても対決姿勢を強め、陰に陽に様々な圧力を加えてくるだろう。それでも新聞が読者・市民を向いている限り、読者が新聞を支えてくれるとわたしは確信する。
 このことを全国の新聞経営者こそ真剣に考えてほしい。「新聞社」はなぜ「新聞会社」ではなく「新聞社」なのか。「新聞発行」の社会的責任を忘れたかのような例があまりにも多すぎる。
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by news-worker | 2006-02-26 22:07 | メディア  

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