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福岡銀行が派遣社員を正社員化~経営者の見識か

 労働組合運動の分野にも情報紙のような媒体があって、きょうの昼間、書記局で書記さんの一人が目を通していて気が付いたのだが、福岡県の地方銀行の福岡銀行が今月から、派遣社員400人を行員としての直接雇用に切り替えた。派遣社員の〝正社員化〟だ。ネットで福岡銀行のホームページをチェックしたら、3月3日に公表していた。
 それによると、対象は「福銀オフィスサービス株式会社」から受け入れている派遣社員。同社は恐らく、派遣先をグループ内企業に限定した、いわゆる「もっぱら派遣」だろう。「営業現場における従業員の一体感醸成と組織基盤の強化による更なるサービス品質の向上を目的として実施」ということらしい。本年度に「福銀オフィスサービス」が採用する社員156人も、また来年度以降採用する社員も、同様に行員として直接雇用するという。
 大きなニュースになった記憶がなかったので、あらためてネットで検索したら、日経新聞が九州・沖縄の地域ニュースとして報じていた。あと共同通信も配信したようだ。ニュース・バリューは高いと思うのだが、どうして全国ニュースにならなかったのか。



 それはさておき、直接雇用になって具体的に労働条件がどう変わるのか(共同通信の配信記事によれば、賃金自体は現状のまま)はよく分からない。なので「快挙だ」とか「英断だ」とかの評価は尚早だと思うが、異例であるのは間違いがない。
 規制緩和(=競争原理の絶対視)が進んできた中で、企業はどこも人件費の削減が至上課題の一つになっており、その有力な手段として正社員の非正規雇用への置き換えが進んでいる。特定の事業分野の分社化も進んでいる。それらのことが雇用・労働面での格差の拡大を生んでいる。
 日経記事によれば、「福岡銀行は2002年4月から一般職を廃止、内部事務などをこなす女性行員は全額出資子会社である『福銀オフィスサービス』(福岡市)が採用し福銀に派遣する方式をとってきた」というから、典型的な人件費抑制策だったのだろう。福岡銀行は多くをコメントしていないようだが、今回の直接雇用への切り替えは、派遣社員の増大が営業現場のモチベーションを落とすことを経営側も無視できなくなったということだと思う。
 契約社員や派遣社員に代表される非正規雇用の導入は格差の拡大を生み、やがては現場のモチベーションを低下させる。場合によっては事業の破たんすら招きかねない。航空業界の相次ぐ重大トラブルは、分社化をはじめとする整備部門のすさまじい合理化、低賃金化(=低コスト化)とは無縁ではないことも、航空の労組の方々の話を聞くとよく分かる。
 経営者たちは、合理化に潜むそうした危険性に気付かないか、気付いていないふりをしている。新聞産業でも、人件費抑制の経営基調が続いており、それが編集現場の疲弊を招き、ひいては新聞ジャーナリズムの劣化につながっている。そういう一面が間違いなくある。
 そういう中での福岡銀行の直接雇用への切り替えは、先に「評価は尚早」と書いたが、画期的とは言えるのではないだろうか。他企業、他産業の経営者たちにl比べれば、福岡銀行の経営者に見識はあったということか。

 ネットで調べたがよく分からなかったのは、福岡銀行に労働組合が存在するのかどうか。あれば、ぜひ話を聞いてみたいと思う。雇用・労働面での格差是正は、今や労働組合の重点課題だ。
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by news-worker | 2006-04-03 22:59 | 労働組合  

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