在日米軍はやはり「占領軍」だ

 12日の東京新聞夕刊1面トップに、興味深い特ダネ記事が載った。
 横須賀基地でスト計画~全駐労が国・米側と対立
 一部を引用する
(引用開始)
 在日米軍基地に勤務する日本人従業員でつくる全駐留軍労働組合(全駐労)が、雇用条件をめぐり国・米軍側と対立し、十四日に開かれる防衛施設庁との団体交渉で決裂した場合、米海軍第七艦隊が拠点とする在日米海軍横須賀基地で、十五年ぶりの大規模ストライキを計画していることが分かった。スト突入となれば同基地を事実上の母港とする空母キティホークの出港が遅れ、米軍の作戦行動に支障が出る可能性もある。
(中略)
 在日米軍で働く日本人従業員の雇用や労働条件は、日米地位協定で原則として「国内法令で定めるところによる」とされているが、実際は米側の同意がなければ待遇の変更はできず、国内法令の適用除外となっている。
 全駐労が求めているのは、四月一日から施行された「改正高齢者雇用安定法」に基づく、六十歳以上の従業員の雇用継続。同法は年金支給年齢の段階的引き上げに対応し、原則として希望者全員の雇用を継続するよう事業者に義務付けている。その方法は▽定年の引き上げ▽労使間で合意した継続雇用制度の導入▽定年制の廃止-があり、民間企業はほぼ制度を整備したとされるが、在日米軍基地の日本人従業員の扱いはいまだに結論が出ていない。
(引用終わり)

 記事の書きっぷりは、どちらかというとストで米海軍の行動に支障が出かねないところに焦点を当てているが、わたしはこのニュースの本当の意味は、在日米軍基地の理不尽さが基地従業員の処遇に表れていることだと思う。



 「改正高齢者雇用安定法」に基づく、六十歳以上の従業員の雇用継続は、労働組合がある企業では、早いところでは昨年のうちから労使が交渉し、合意の上で制度を定めている。労働組合がないところや、労使交渉が終わっていないところでも、会社が就業規則に暫定的に関連事項を盛り込む。つまり、労使が合意していなくても暫定ルールは明文化される、ということだ。
 しかし、もはや4月も中旬というのに、基地従業員は真の雇用者である米海軍との直接交渉が許されないまま、日本の法令で定められた「60歳を超えても働く権利」を奪われた状態が続いている。これが第1の問題だ。

 第2の問題は、米海軍が「継続雇用対象者を選別する裁量権にこだわっている」(記事中の組合側の指摘)という点だ。記事の引用部にある通り、改正法は「原則として希望者全員の雇用を継続するよう事業者に義務付けている」。現実には、企業はどこも人員抑制基調の経営を続けており、「希望者全員」とはなかなかいかない。60歳直前の人事考課結果などをもとに、何らかの選別基準を設けているが、それは客観的で透明でなければならない。労働当局もそう指導している。
 しかし、米海軍がこだわっている「裁量権」とは、一体どういうことだろうか。米海軍が「欲しい」と考える従業員だけ、ということだろうか。一般企業に置き換えてみれば、雇用継続の対象者は会社が必要とする人材だけ、ということだ。これは不当労働行為に当たる恐れがある。

 今回のニュースで浮き彫りになるのは、日米地位協定によって在日米軍は〝占領軍〟としての地位をいまだに保障されている、という事実だ。民間なら、例え外資系企業で、社長が本国から来た外国人であっても、日本で活動する企業は日本の労働法制その他に従わなければならない。
 基地従業員は日本の法令の保護のもとに、働く者の権利を保障されない存在なのか。もしもスト決行となれば、何はさておいても横須賀基地に駆けつけ、全駐労の皆さんを激励したいところだ。
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by news-worker | 2006-04-13 01:30 | 平和・憲法  

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