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なぜ基地の「県外移設」が実現されないのか

 ゴールデン・ウイークを挟み、共謀罪をめぐって緊迫した状況が続いているこの時期に、もうひとつ「在日米軍再編」問題も大きく動いている。
 5月1日に日米両政府が「最終報告」をまとめ公表。昨日は、沖縄の米海兵隊普天間基地の移設問題で、名護市辺野古地区に代替施設を建設するとした「沿岸案V字滑走路」案に、沖縄県の稲嶺恵一知事が〝反対しない〟方針を表明して、国と県の間で確認書を交わした。
 政府にしてみれば、「これで沖縄(地元)の了解は取り付けた」ということになるのだろう。稲嶺知事は「防衛問題は政府の専管事項だ」と口にしたという。「地元首長ができる抵抗はここまで」という心情なのだろうか。
 普天間基地をめぐっては、沖縄の世論は「県外移設」「国外移設」が圧倒多数なのに、それは実現されない。海兵隊の要員8000人とその家族がグアムに移駐するとして「沖縄の負担軽減」が盛んに喧伝されているが、それも「辺野古新基地建設」とパッケージだ。仮にこの再編計画が完全に実施されたとしたら、沖縄本島は中部以北が強固な永久基地となる。そして沖縄ばかりでなく、日本中の空を米軍機が自由に飛び交い、自衛隊は米軍のエスコート役として、ピタリと寄り添うことになる(今でもそうなのだが)。
 在日米軍再編の本質は、日米の軍事一体化だ。沖縄、日本の別を問わず、基地機能は格段に強化される。それでも憲法9条によって、日本が交戦権を放棄し、戦力を放棄すると定められている状況下ならば、自衛隊が戦場で直接の戦闘に加わることはないかもしれない。しかし、9条が改悪されて自衛隊が自衛軍に変われば、自衛軍は米軍配下の捨てゴマも同然となるだろう。そうなることを米国は日本に求めてきている。

 沖縄の基地問題は、沖縄の問題ではない。日本(ヤマト)の問題だ。米軍基地は沖縄の人々が望んでいるのではない。必要だと言っているのはヤマトの側だ。なのになぜ、沖縄に負担の押し付けが続くのか。「県外移設」が実現されないのか。
 日米同盟は今や、米ブッシュ大統領と小泉首相が「世界の中の日米同盟」と声を揃える状況だ。よくよく考えれば、これは在日米軍の活動を極東地域に限定している日米安保条約からの逸脱を、開き直って公言しているも同然ではないか。なぜ、もっと「おかしい」という声が上がらないのか。
 日米安保、在日米軍は何のためにあるのか。本当に必要なのか。
 いったいだれの利益を守るために、だれの権利が侵害されているのか。それは許されることなのか。仕方がないことなのか。

 辺野古には、海を守り続けるために、代替基地建設に反対し続けてきた人たちがいる。彼らのたたかいは今も、これからも続く。ささやかながらでも、連帯していきたい。

 参考
 以前のエントリー「沖縄で『在日米軍再編』報道を考えた」(06年2月13日)

 ジュゴンの家日誌

by news-worker | 2006-05-12 10:44 | 平和・憲法~沖縄  

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