たった2人で「犯罪組織」の前例が既にある

 ヤメ蚊さんのブログ「情報流通促進計画byヤメ記者弁護士」によると、共謀罪をめぐって民主党が17日、さらに適用される団体の範囲を限定する再修正案を発表した。ポイントは「共謀罪が適用される団体を,『構成員の継続的な結合関係の基礎となっている根本の目的が罪を実行することにある団体』と定義したもので,普通の意味での『組織的犯罪集団』に近いものになってきた」(上記エントリーから引用)という点。思い起こすのは、西村真悟・元衆院議員・衆院議員(民主党除籍)の非弁(非弁護士)活動の立件だ。
 この事件では以前のエントリー(「西村議員の再逮捕の意味」)でも問題点を指摘したが、西村氏の弁護士資格を借用して、弁護士以外にやってはいけない弁護士活動をモグリでやっていた男の共犯として、西村氏は当初、弁護士法違反容疑で逮捕された。ここまではいいのだが、その後に何と組織犯罪処罰法違反容疑で再逮捕、追起訴されている。そう、共謀罪が新設されようとしているのは、まさにこの「組織犯罪処罰法」だ。
 非弁活動をやっていた男と、この男に弁護士名義を貸して謝礼をもらっていた西村氏。この2人の関係が「犯罪組織」と認定されてしまっている。たった2人きりの共犯関係で、既に「犯罪組織」とみなして立件した前例が出ている。政治家としてはわたしは西村氏の信条その他はまったく支持できないが、ことこの事件のこの追起訴に限っては、何としても無罪を主張し、無罪を勝ち取ってほしいと思う。

 強行採決をさせないための戦術として、修正案を次々に繰り出して対抗することは必要だ。しかし、本質的には共謀罪は新設させてはならない。日本の刑法体系の根本を変えてしまう。いったん新設されれば、一人歩きをはじめ、やがて恣意的に運用できる余地が広がっていく。観念論ではない。わずか60余年前に、日本社会はその過ちを治安維持法で経験している。

 東京新聞が共謀罪の記事を書き続けている。18日付け朝刊には、「刑減免より犯罪組織が怖い共謀罪 刑事が反対する理由」との興味深い記事を見開きで掲載。捜査現場を知り尽くした元捜査員らは、共謀罪の効用を疑問視しているというルポだ。切り口はいくらでもある、という好例の記事だと思う。
 相手が国際犯罪組織であれ、処罰・取締りの本質的な問題は、捜査能力だ。捜査の能力、力量を高め、現行法体系で既遂犯をどしどし検挙できるようにすることが基本のはずだ。能力が足りないから、要件のハードルを下げた新しい法律を、というのは本末転倒でしかない。

 参加できなかったが、17日夜に都内で開催された超党派の反対集会には500人が参加し、立ち見が出たという。世論は高まっている。踏ん張りところが続く。報道は、この世論に応えなければならない。

追記(5月18日)
 西村真悟氏は民主党を除籍になったものの、今日現在、衆院議員を務めている。関係部分を訂正しました。
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by news-worker | 2006-05-18 09:28 | 平和・憲法~共謀罪  

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