「取材源の秘匿」の意味を理解した妥当な司法判断

 以前のエントリー(「取材源の秘匿」が理解できない裁判官が現れたことの意味は、および(続)「取材源の秘匿」が理解できない裁判官が現れたことの意味は)で言及した裁判の抗告審で東京高裁は14日、報道機関の「取材源の秘匿」を幅広く認定する決定を出した。以下、毎日新聞記事の一部を引用する。
(引用開始)
<取材源秘匿>1審取り消し、証言拒絶認める 東京高裁 [ 06月14日 12時12分 ]
 米国の健康食品会社への課税処分に関する報道を巡り、読売新聞の記者が民事裁判の証人尋問で取材源の証言を拒絶したことについて、東京高裁は14日、拒絶を認めなかった東京地裁決定(藤下健裁判官)を取り消し、すべての尋問に対して拒絶を認める決定を出した。地裁決定は取材源の守秘義務違反を理由に拒絶を認めなかったが、高裁の赤塚信雄裁判長は「たとえ取材源に法令違反があっても、取材源秘匿はその人物の利益のためになされるわけではない。秘匿によって守られているのは、国民の知る権利を確保するという公共的な利益」と述べた。
 証言拒絶を認める4回目の決定。一連の決定で唯一証言拒絶を認めなかった地裁決定が取り消されたことで、取材源秘匿を正当と認める司法判断の流れが一層強まった。
 決定は「報道機関の報道は国民の知る権利に奉仕するもので、報道の自由は憲法の保障のもとにある」と指摘。さらに「取材活動は公権力の介入から自由でなければならず、報道機関と情報提供者との信頼関係が十分確保されなければならない。そのために取材源が秘匿される必要がある」と判断した。
(引用終わり)

 以前のエントリーでも書いたとおり、普通の感覚でこれまでの判例、判決例を考慮して考えれば、当然、こうした結論になる。極めて当然の判断だ。
 原審の東京地裁の藤下健裁判官は、「取材源の秘匿」を公務員に認めれば、公務員の守秘義務違反を助長することになる、との無茶な論理展開を示していたが、今回の東京高裁決定は、分かりやすい判断を示しているようだ。決定の要旨を見ていないので、正確なところは分からないが、毎日新聞の解説記事によると、決定は「取材源の秘匿が『守秘義務違反行為を犯した公務員のため』ではなく、『国民への自由な情報提供(知る権利)を確保するという公共的な利益に基づいている』と位置づけた」という。
 「国民への自由な情報提供」というメディア本来の役割を重視したまともな判断だ。
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by news-worker | 2006-06-15 01:07 | メディア  

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