「安保の見える丘」に柵~米軍基地をめぐる表現の自由の危機ではないか

 先週後半は忙しくて、きょうになってネットで気付いたのだが、沖縄の米空軍嘉手納基地周辺で、こんなことが起きている(沖縄タイムス8月30日付朝刊記事)。
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「安保の丘」に柵/市民団体反発「抗議の声遠くなる」
 【嘉手納】防衛施設庁は二十九日、米軍嘉手納基地を一望できる通称・安保の見える丘=嘉手納町屋良=に柵を設置した。同庁は「不法投棄の防止が目的。立ち入りは制限しない」と説明するが、市民団体などから「平和学習の場を遠ざけることにならないか」と反発する声が上がっている。
 柵は高さ約一・五メートルで、出入りできる幅約一・二メートルの門扉がある。工事は二十八日に始まり、二十九日に終了した。県道74号沿いの約千三百メートルにも設置している。予算は総額約千三百六十五万円。設置理由について、同庁は「使われなくなった黙認耕作地に家具や電化製品などの廃棄物が投棄されることが多く、周囲の景観を損ねている」としている。
(引用終わり)

 沖縄タイムスは9月1日付朝刊にも、那覇防衛施設局に取材した続報記事を掲載している。
(引用開始)
「安保の丘」閉鎖言及/防衛施設局 柵開閉「将来は米軍が判断」
 【嘉手納】米軍嘉手納基地を一望できる嘉手納町屋良の通称「安保の見える丘」に設置された柵について、那覇防衛施設局は三十一日、本紙の取材に対し「将来は保安上の必要性を踏まえ米軍が判断する」と回答、門扉を閉ざして立ち入りを規制する可能性に初めて言及した。丘は米軍が「スパイ・ヒル」などと呼び、閉鎖を模索してきた。住民の立場からは不透明な基地の実態を監視するのに欠かせない拠点で、市民団体は「県民に目隠しするものだ」と反発している。
 丘の周辺は、米軍への提供区域に当たる。同局は三十一日、柵を設置した意図について「ごみの不法投棄を防止する。これまでの経緯を勘案し、一般の方々の出入りが可能なように門扉を設置した」と、これまでの説明を繰り返した。
 さらに、「さまざまな意見があることは米軍も十分承知しており、平常時に閉める考えはない」と強調。ところが、将来の見通しについては「その時々の個別具体的な状況において保安上の必要性を踏まえ、米軍が判断する」と明言した。
(引用終わり)

 在日米軍再編でも、米軍の世界戦略の中に占める嘉手納基地の位置づけは高まりこそすれ、低下することはない。北朝鮮のミサイル発射実験を受けて、PAC3配備も浮上。そういうタイミングの中での出来事だ。
 現地に行くと分かるが、今は「安保の見える丘」と道を隔てて、4階建ての「道の駅嘉手納」が建っている。屋上は一般に開放されていて、実は嘉手納基地の中を見るだけなら、こっちの方がよく見える。現に、望遠レンズ付きカメラを構える航空(軍事)マニアの姿も少なくない(ちなみにこの建物の3階だったか2階だったかは嘉手納町の資料館になっていて、戦前の嘉手納、あるいは沖縄の様子をうかがい知ることができる。機会があれば見学をお奨めする)。だから、基地の定点観測だけなら、「安保の見える丘」が閉鎖されても、さほど大きな影響はないかもしれない。
 閉鎖がなぜ問題かと言えば、この場所が、基地の撤去を求める意思表示の場としての象徴的な意味を持つからだ。
 米国と米軍は、絶対に嘉手納基地を手放さないだろうし、在日米軍再編とはすなわち日米の軍事一体化路線でもある。次期総理総裁に決まったも同然の安倍晋三氏は、自ら長州閥に連なることを公言するも同然で、恐らく明治維新後の琉球処分など、沖縄の近現代史をまともに勉強したこともないだろう。基地撤去を願う沖縄の世論をよそに、つまりは米国の言いなりになると、わたしは予測する(ちなみに安倍氏の近著に「美しい国へ」があるが、韓国では米国を「美国」と表記する)。そういう状況の中での「柵の設置」であり「閉鎖の可能性」だ。直接基地に向かってのシュプレヒコールはやらせない、とのある種の表現規制ではないだろうか。
 それにしても「不法投棄の防止が目的」との防衛施設局の説明はひどい。この問題は、県外にも広く知られるべきだと思う。
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by news-worker | 2006-09-03 20:19 | 平和・憲法~沖縄  

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