2005年 10月 31日 ( 1 )

 

日米軍事一体化と憲法

 沖縄の米海兵隊・普天間基地の移転先が名護市・辺野古折衷案で決着、米海軍が神奈川県・横須賀基地に原子力空母を配備、自民党が新憲法草案の最終案を決定、在日米軍の再編で日米が中間報告と、先週は軍事がらみの大きなニュースが相次いだ。ひと言で言って、後戻りできないところへズルズルと向かっているのではないかと危機感を深めている。
 これらのニュースはみな、米国が世界中どこでも好きなときに好きな所で軍事行動を起こすための動きだ。それぞれに書いておきたいことは山のようにある。
 在日米軍再編では「沖縄の負担軽減」がクローズアップされた。中でも海兵隊の7000人グアム移駐は、目玉としてさかんに宣伝されている。また、嘉手納基地のF15戦闘機部隊の訓練も、一部を本土の航空自衛隊の各基地で分散して行う。それだけを聞けば、確かに沖縄の基地負担の軽減につながるかのように聞こえる。しかし、実態は違う。
 米軍は「9・11」の同時多発テロ後、世界戦略を練り直し、いついかなる事態にも軍事的に対応できるように、世界的規模で再編を進めている。今回の在日米軍の再編もその流れであり、米国は「沖縄の負担軽減」のために在日米軍を見直しているのではない。米国にとっては、いざというときに部隊をいかに迅速に動かせるかが最大の関心で、それさえ担保できれば日本政府が政治的宣伝で何を言おうが、「沖縄の負担軽減」をいくらアピールしようがどうでもいいことだ。
 海兵隊の移駐で言えば、グアムに移るのは司令部要員が中心で、引き続き沖縄には普天間基地の代替基地も含めて広大な海兵隊の基地が残り、実戦部隊がとどまる。米軍は全世界に強固な通信網を張り巡らせており、有事の際には、通信機能が維持されていれば司令部はどこにいようがまったく問題にならない。
 F15の訓練移転に至っては、実は米軍機が本土の自衛隊基地をわがもの顔で使用できるようになることが本質だ。20年も前になるが、記者になって振り出しの勤務地が青森だった。冷戦下で米軍三沢基地にF16戦闘機部隊が配備されたころだった。何が起きたかというと、東北中の空港にF16が「緊急着陸」と称して頻繁に着陸するようになった。実際に墜落事故も複数回、起こしている。米軍機が来るということは、そういうことだ。
 今回の再編には、神奈川県のキャンプ座間や東京の横田基地で、米軍と自衛隊が同居する計画も含まれている。それらを総合して言えるのは、日本全体がオキナワ化するということではないのか。米軍と自衛隊の一体化にほかならない。それが日本の安全保障として望ましい道だとは到底考えられない。
 この米軍再編と改憲問題は直接の関係がある。9条を変え、自衛隊を自衛軍とし、専守防衛から海外派遣へ主任務を拡大することは、ほかならぬ米国がいちばん望んでいることだからだ。逆に言えば、9条を現行のまま維持できれば、危ういところで最後の歯止めは確保できる。日本と日本人が戦争に加わることをギリギリのところで拒否できる。
 衆院選での自民圧勝もあり、在日米軍再編はおそらく計画通り進む。司法もあてにならない。これまでも米軍基地絡みの訴訟では、ことごとく「統治行為論」、つまり高度の政治判断に基づくもので司法判断にはなじまないとして逃げて来たからだ。
 しかし、改憲問題はまだ望みがある。憲法を変えるには国民投票を経なければならないからだ。今、現実に何が進行しているかに目を向ければ「現行憲法は時代遅れだから改正が必要」との主張がまやかしであることに多くの人が気付くと思う。在日米軍再編の中間報告と自民党の新憲法草案の最終案が、タイミングを合わせるかのように出てきたことは象徴的だ。
 わたし個人としては、多少、防衛関係の報道に関与した経験から、何よりも軍事情報の平易な報道がもっと必要だと思っている。報道の量、頻度もさることながら、「分かりやすさ」が必要だ。
 最後に、こうした軍事と改憲の動きとともに、いわゆる「ビラまき逮捕」事件の続発や共謀罪新設などが同時並行で進んでいることに深刻な危機感を抱いている。神奈川県では厚木基地の監視グループが、定点観測のポイントにしているマンションに、いつものように入ったところで「建造物侵入」の現行犯で逮捕される事件も起きている。報道する側にも危機感が必要だ。
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by news-worker | 2005-10-31 01:11 | 平和・憲法