2006年 02月 05日 ( 2 )

 

連合会長の「正社員賃下げ」に疑問

 連合の高木正剛会長の3日のインタビューをめぐって、あざらしサラダさんからTBとコメントをいただいた。わたしも基本的には同意見なので、エントリーを立てることにした。まずは、問題のインタビューの中日新聞の記事

(引用開始)
連合会長「正社員賃下げも」
パート格差是正で
 連合の高木剛会長は3日のインタビューで、今春闘について「所得などで広がる社会格差を少しでも改善するという目標もあるので、ぜひ成果を上げたい」と賃上げ実現に意欲を表明。その上でパート社員と正社員の賃金格差是正のため、正社員の賃下げや昇給の抑制でパート社員の賃上げを図ることも「論理の上では必要」との考えを明らかにした。
 連合は今春闘から「パート共闘」を打ち出し、パート社員の能力や働き方に応じた待遇改善を求めている。高木会長はパートの賃上げ要求について「成果が出なかったら労組の存在意義が問われる」と強調。格差是正のため今後、正社員の賃上げが犠牲になることも必要との考えを初めて示した。
 高木会長は「現在は正社員組合であるため、そのような(正社員を賃下げして格差を是正するような)発想に入り込めない。しかし将来的にはそうしないと(より多くの人で仕事を分け合う)ワークシェアリングの実現もできない」と訴えた。
 正社員からは賃金配分が減るとの強い反発も予想されるが、「賃金の安いパートがどんどん増えていくことはあなたの働く場所がなくなることだ、と言いたい」と反論した。
(引用終わり)

 あざらしサラダさんは「まずはパート社員などの『時給』を正社員並みに引き上げることこそ、労働組合が目指すべき『賃金格差是正』要求だと思うのだが、春闘が始まったばかりだというのに正社員の賃下げを視野に入れるなど、経営者にエールを贈る以外のなにものでもないではないか」と指摘されている。わたしも基本的には同じ意見だ。
 高木会長の物言いは、団交での経営側の言い方そのものだ。わたしにも経験があるが、労使交渉で人員増、あるいは退職者の補充を要求する際などに、経営側は今では必ずと言っていいほど、こういう言い方をする。いわく「正社員での増員、補充はできない。派遣社員なら考慮の余地がある」「もし正社員で増員、補充しようとすれば、今、皆さんに支払っている給与は払えなくなる。賃下げするしかないが、それでも組合はいいというのか」。
 契約社員や派遣社員、パート、アルバイトなど非正規、不安定雇用の人たちと、正社員との間の格差の問題を労組が考えるとき「企業は利益をどう配分するのか」の問題意識が前提になければならないと思う。もちろん、企業の個々の経営事情は異なるので、必ずしも一般論というわけではないが、一定の利益を出しているのなら、それに応じて人件費の総枠を増やすべきだ。その中で、正社員も賃上げを獲得し、一方でそれ以上に非正社員の賃上げを図り、両社の格差を縮めていく道筋を取るべきだと思う。正社員を賃下げし、その分の人件費原資を非正社員の賃上げに当てるのでは、喜ぶのは経営者だ。人件費の総枠は変えずに済み、利益はまるごと企業のものになるからだ。百歩譲って、正社員が賃上げをある程度我慢することはありうるかもしれないが、賃下げは論外だと思う。
 もうひとつ、高木会長のインタビューでの発言で気になるのは、正社員が置かれている境遇への認識だ。労働市場の規制緩和が進み、安い非正社員労働力が増えて、それまで正社員が担っていた業務の非正社員への置き換えが進んだ。つまり正社員の側では人員削減が進んでいる。しかし、一定の判断や責任を伴う業務は正社員しか担えないから、正社員一人当たりの労働負荷は高まり、長時間過密労働が進んでいる。勤労者のうつ自殺の増加が社会問題になって久しいが、その背景にはこうした事情がある。
 格差の拡大阻止、格差の縮小を考えるならば、弱いもの同士が争わなければいけないやり方ではなく、弱いもの同士だからこそ、団結してともに待遇改善を求めていかなければならないと思う。

 例外は、企業の業績が赤字、あるいは思わしくないときだろうが、それなら多分、高木会長は「賃上げ」を前提にした物言いはしないだろう。
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by news-worker | 2006-02-05 16:08 | 労働組合  

新聞業界への就職フォーラムが終了

c0070855_1053416.jpg 4日は新聞労連の「新聞業界就職フォーラム」。これから就職活動が本番を迎える学生向けに、新聞記者の仕事をリアルに知ってもらい、就職してみて「こんなはずじゃなかった」と退職する〝ミスマッチ〟を防ぐのに役立ててほしいというのが狙いだ。厳しさも承知の上で「それでも新聞の仕事に就きたい」という意欲にあふれた若者を応援し、わたしたちの仲間に迎えたい。
 フォーラムは朝10時から夕方5時半までびっしりの4部構成。第1部は「大手紙」で、朝日・生活部、毎日・社会部、読売・経済部、日経・産業部、共同通信・外信部の記者5人をパネラーに迎え、日々の仕事ぶりとやりがいなどを話してもらった。第2部は「ブロック紙・地方紙」でパネラーは北海道新聞、東京新聞、下野新聞、琉球新報から、第3部は「スポーツ紙、専門紙」で報知、デイリースポーツ、日刊工業、繊研新聞からパネラーを招いた。
第4部は、昨年のフォーラムに参加し、その後、めでたく新聞社への内定を得て今春、記者になる学生ら3人の座談会。こちらの方は、エントリーシートの書き方や面接などへの具体的なアドバイスが豊富で、これから就職活動の学生たちにはいちばん役に立ったかもしれない。
 学生の参加は約80人。ことしで3回目だが、年々応募者が減っている。新聞が就職先として魅力が低下しつつあるということだろうか。学生にはフォーラム終了後、アンケートもお願いした。おおむね好評。なかには「新聞への志望度」が「大幅に下がった」と記入した学生がいたが「フォーラムは非常に有意義」と書いてくれているから、仕事選びのミスマッチの防止という意味で、役に立ったのだと思う。
 全国紙だけでなく、地方紙や専門紙をきめ細かく紹介した点も好評だったようだ。特に第2部のパネラーの皆さんは、それぞれに話の内容、学生への訴えかけが具体的ではっきりしており、学生たちも感銘を受けた様子だった。
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by news-worker | 2006-02-05 10:55 | 新聞業界への就職