2006年 06月 02日 ( 1 )

 

与党の共謀罪ウルトラCは、だまし討ちそのもの~ゲーム台をひっくり返せ

 共謀罪新設関連法案の今国会成立に向けた与党のウルトラC策の全容が、一夜明けてほぼ判明した。新聞各紙の政治記事も、さすがにこういう展開になってくると、得意の〝落としどころ報道〟で詳しい。要するに「いったんは民主党案を〝丸呑み〟して成立→秋の臨時国会以降で〝ありうべき姿〟に戻す」ということに尽きる。保坂展人衆院議員はブログでこう指摘している。

 おいしい話には裏がある。さっそく、「なるほど」と思える納得情報が飛び込んできた。いったん無理に口をこじ開けて「丸飲み」をした民主党案(再修正案)を秋の臨時国会で「吐き出す」(再び与党が修正=元に戻す)という噂だ。「肉を切らせて骨を切る。メンツも何も関係ない。とにかく一回は民主党も含めて国会を通してしまうことが大事だ。その後で、条約批准が出来ないから修正したいと言う話なら民主党も強く反対出来ないだろう」と読んでいるのではないか。ドテン返しで、切られたふりして、オセロの大逆転の如く秋にやり返す。その時には、メンツを重んじる小泉総理は官邸を去っているという仕掛けだ。

 仮に今国会で成立してしまえば、今度は秋以降、関係法の改正案の強行採決劇が展開されかねない。きょう午後の衆院法務委員会では、事態の全貌と今後の展開をも見据え、与党が「だまし討ち」にかかってきていることを見抜き、民主党は採決に応じないでほしい。

 民主党修正案の考え方は①対象となる罪を減らすため最高刑5年以上の罪にする(政府案、与党修正案は4年以上)②国際的な犯罪行為に限定する-というものだ。今日中に提出するとされる再修正案の考え方も、そう大きくは変わらないだろう。しかし、それでも問題点を多々含んでいる。

 1 未遂を含めて犯罪の実行行為を処罰対象とする日本の刑法の大原則の転換であることに変わりはない。例外的に予備行為を処罰する罪もあるが、それぞれの罪ごとの〝個別規定〟になっている。共謀罪新設は〝包括規定〟であり憲法改正に匹敵する大問題

 2 共謀は密室で行われるのが常。共謀行為を立証するために、必ず監視や盗聴、信書・メールの無断(当事者に知られないうちに、という意味で)チェックが広く合法化される。密告の奨励(共謀に加わっても自首すれば刑が減免される)により、相互監視社会が出来上がる

 3 団体の概念があいまい。「国境を越えた犯罪を実行するのが当団体の目的です」などと名乗る団体などありえない。2人きりの人間関係でも「団体」として、どしどし立件される(以前のエントリーで指摘したが、既に西村真悟衆院議員の非弁護士活動事件でも組織犯罪処罰法が適用されている)。

 4 最終的に起訴→有罪とならなくても逮捕されれば、当事者の社会生命は大打撃を受ける。家宅捜索だけでも同じ。恣意的な運用の余地はあまりにも大きい。「共謀」とは、極論すればある2人の人間の間につながりがあることさえ立証できればいい。家宅捜索令状なら、今の裁判所は間違いなく出す。

 加えて、悪法はひとたび成立してしまえば、改悪を重ねて肥大していく。戦前の治安維持法を見れば明らかだ。与党側の思惑はまさにそういうことだ。
 さらに加えて言うなら、与党も政府も「民主党案では国連条約の用件を満たさない」と再三、批判してきた。とにもかくにも共謀罪を新設させたい一心で、この前言をわずか1日かそこらで翻すのだとしたら、国会や政府とはいったい何なのか、ということになる。日本の民主主義は終わりだ。

 与党のやり方は「だまし討ち」そのものだ。そもそも民主党の修正案は、与党の数をたのんだ強行採決をとにもかくにも止めるために大急ぎで作った経緯があったはずだ。言葉は厳しいかもしれないが、「粗製乱造の急ごしらえの欠陥対案」だった。きょうの衆院法務委員会では、民主党は堂々とそのことを主張し、やはり共謀罪は今国会では廃案しかないことを訴えればいい。与党は反発するだろうが、だまし討ちにかかってきているのは向こうなのだ。気にする必要などない。
 「踊る新聞屋-」さんが掲げている通り、今必要なのは「ゲーム台をひっくり返せ」だ。
 しかし、それでも民主党が採決に応じてしまったら? このブログで何度か書いてきたが、それでもわたしたちはあきらめるわけにはいかない。

追記 6月2日午前11時40分
 今しがたの民放ニュースによれば、民主党は今日午後の衆院法務委の審議を拒否する方針とのこと。さすがに与党の「だまし討ち」を見抜いているようだ。民主党の審議拒否方針を支持したい。

追記 6月2日午後0時25分
 夕刊の締め切りが近づき、新聞各紙の記事がサイトにアップされ始めた。民主は審議を拒否。読売によると自民・公明の両党は今国会の成立を断念し継続審議を確認。共同通信によると、麻生外相は、民主党修正案では国際組織犯罪防止条約は批准できないと記者会見で述べている。事態は沈静化か。

追記 6月2日午後6時30分
 出張で移動中。テレビの夕方ニュースでは、民主党が審議拒否を貫き大混乱と報じていた。何とか今日をしのいでほしい、と切に願う。
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by news-worker | 2006-06-02 10:37 | 平和・憲法~共謀罪