2006年 07月 22日 ( 1 )

 

「過労死大国」と労働組合

 c0070855_1023037.jpgもはや先週号ということになるが、週刊エコノミスト(毎日新聞社発行)の7月25日号が「過労死大国」の特集を掲載した。企業の業績が向上しても、従業員に還元されない「新自由主義」「構造改革」の現状が多面的、多角的に報告されている。
 正社員は人員削減とともに、成果主義や裁量労働の導入が進み、企業は労働時間管理の責任から解放されていく。その一方で、契約社員、派遣社員など、企業にとっては安価でいつでも解雇(雇い止め)できる雇用形態が増大。雇用面の格差(もはや差別とすら言える)は拡大の一方だ。
 エコノミストの特集には、日本マクドナルドユニオンの栗原弘昭委員長、日本ケンタッキーフライドチキン労働組合の濱口徳之委員長のインタビュー記事も並べて掲載。連合のバックアップを受けるマックユニオンと、かたや手作り労組のケンタッキー労組と手法は対照的だが、サービス残業など、従業員を踏み付けるようにして利益を確保している外資(米国資本)系外食チェーンの労務の実態が簡潔に紹介されている。
 もうひとつ、特集ではトヨタの従業員12人で組織されている「全トヨタ労働組合」の若月忠夫委員長のインタビューも掲載されている。既存の労組への批判から、圧倒少数ながら立ち上がった企業内2番目の組合として注目されている。
 若月委員長のコメント要旨を幾つか紹介。
 「1990年代に入ってから、経済のグローバル化などにより労働者を取り巻く環境は様変わりした。それなのに、既存の労組はそこから発生する問題にきちんと対応せず、労働条件悪化が進んでしまった」
 「トヨタは4年間、ベースアップがゼロだった。企業の業績が上がっているのに、労働者の労働条件が向上しない矛盾があった。トヨタをはじめとする自動車産業は、本来は日本経済を牽引しなければいけないのに、逆に労働条件を抑制、あるいは引き下げにより日本全体の労働条件を悪化させている」
 「今は雇用の流動化が起こっている。賃金も成果主義への移行で不安定になった。経験も実績も技能もない人たちが、不安定な雇用形態の中で自動車をつくれば、良いものができるわけがない」

 労働組合がいくら堕落していても、現状を変えようとすれば、結局は労働者が団結するしかない。経営者が変えてくれるわけではないし、政府が変えてくれるわけでもない。労働組合は〝企業〟の殻に閉じこもっていてはならない。
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by news-worker | 2006-07-22 10:31 | 労働組合