カテゴリ:全下野新聞労組の闘争( 18 )

 

下野新聞の印刷別会社でも労組結成

 このブログでは、栃木県の地方紙「下野新聞」の印刷部門別会社化・社員転籍をめぐる全下野新聞労組の争議を報告してきた(初めての方には「全下野新聞労組の闘争」カテゴリーの過去エントリーをご覧いただきたい)。最終的に栃木県労働委員会のあっせんを経て、全下野労組は会社の計画を受け入れ4月に争議状態は終結、4月中旬に新印刷会社「下野新聞印刷センター」が設立され、新工場が稼働している。その新印刷会社にきょう(25日)、新しい労働組合「下野新聞印刷センター労働組合」が発足した。
 会社計画の受け入れと同時に、全下野新聞労組は争議総括と並行して、苦い経験を教訓として生かすために、新会社での労働組合組織化に取り組んできた。下野新聞社を退職して新会社に転籍した組合員5人が中核になり、新会社採用の従業員らに組合結成を働きかけてきた。その努力が新会社発足からわずか1カ月で実を結び、役員、管理職をのぞく対象者の大半を組織化した。
 きょうの午後、新工場がある栃木県鹿沼市で開かれた新組合の結成大会にわたしも出席した。あいさつでは「新聞は多くの人の手でつくられ、読者に届けられている。仮に会社は別になっても、皆さんも『新聞をつくって読者に届ける』仕事をしている。わたしたちと同じ立場だ。その皆さんが、労働組合という共通の権利を手にしたことの意義は大きい。いい新聞を読者に届けるために、労働組合という権利を正当に行使し、労働条件の向上を目指してともにがんばろう」という趣旨の話をした。わがことのように嬉しかった。

 「結果を出せずに争議は終わるが、それで終わりではない」。ことし2月、全下野労組が会社計画を受け入れるほかないとの判断に至ったときのことを思い出し、そしてきょうの新組合結成を目の当たりにして、正直、胸が熱くなった。2月には全下野労組の方々と「この争議にどんな意味があったのかは、5年後、10年後に下野新聞がどんな新聞になっているかで定まる」と話していた。負け惜しみではない。5年後、10年後のための第一歩が、きょうの新組合の結成だと思う。短期間で立ち上げにこぎつけた5人の転籍者の方々、彼らを支えた全下野労組の方々に敬意を表したい。

 新組合は規約に、正社員だけでなく嘱託者やアルバイトにも組合員資格があることを明記している。同じように新聞の仕事に携わっている者同士が、雇用形態にかかわらず団結する、団結できる。そのことによって、労働組合という〝権利〟はいよいよ輝く。あの長く苦しい争議があったからこそ到達できた先進性だ。
 「職場をよくしたい、いい新聞を出したい」という要求の切実さで団結した宮古毎日新聞労組と共通の先進性だと思う。
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by news-worker | 2006-05-25 22:48 | 全下野新聞労組の闘争  

全下野新聞労組が闘争報告集会

 このブログで再三紹介してきた栃木県の地方紙「下野新聞」の印刷部門別会社化・社員転籍をめぐる全下野新聞労働組合の闘争の続報。28日に宇都宮市で、全下野新聞労組と支援共闘会議の共催で、報告集会を開いた。
 2月24日に栃木県労働委員会のあっせんを受け、組合が転職受け入れの労使協定書に調印して以後は、印刷新会社での労働条件をめぐる詰めの交渉が続き、それも近く終わる見通しになっている。新会社の操業開始は4月10日。転籍する組合員の方々は現在、新しい輪転機(印刷機)の習熟研修が続いている。
 報告集会には、新聞労連の各組合、地方ブロック組織のほか、支援をいただいた地元の他産業の労組などから約60人が参加。全下野労組からあらためて支援への感謝の表明があり、また、争議の最終総括に向けて何を教訓として残すか、参加者から色々と意見をいただいた。
 闘争手段として宇都宮地裁への仮処分申請を選択したことが正しかったかどうか、については、相当に厳しい意見があった。会社の提案を印刷職場の従業員に対する不当労働行為ととらえ、最初から県労働委員会に救済を申し立てるべきではなかったか、と。
 一方で、昨年5月の会社提案以来、ここまで闘ったからこそ、あらためて気付かされたこともある。新聞の廃刊や、組合活動を理由にした不当解雇などでは、新聞労連の加盟組合でもこれまで相当に激しい争議があったが、印刷部門の別会社化をめぐって、ここまで激しい争議を構えた例はなかった。「抵抗勢力」と言えば世間一般ではマイナスイメージが定着しているが、抵抗しなければ見えてこないものがある。

 新聞労連としての争議支援の総括はこれから。わたしの個人的な想いだが、「格差の拡大」が指摘されている社会経済情勢の中で、新聞産業は活動しているし、新聞も発行されている。そのことを踏まえた総括をしなければならないと考えている。
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by news-worker | 2006-03-29 21:08 | 全下野新聞労組の闘争  

「我ら敗れり、しかし倒れず」

 印刷部門の別会社化と同部門の社員の転籍計画に反対する栃木県の地方紙労組「全下野新聞労働組合」の闘争は24日、大きな区切りを越えた。
 23日のエントリーでお知らせしていた通り、24日午前9時半から栃木県労働委員会の第3回あっせんが開かれ、労組は社員の「転籍」受け入れを表明。会社は転籍後の労働条件を当初計画より引き上げることに同意し、あっせん委員を挟んだ交渉の結果、平均で年収ベースの25%となっていた賃金の低下幅を17%以内とすることなど8項目の協定書に労使が調印した。労組が裁判所に申請していた印刷新会社の設立差し止めの仮処分(宇都宮地裁が却下の決定、東京高裁に即時抗告)は取り下げる。
 全下野労組は23日午後6時以降、全面ストを決行するとともに組合員の全員集会を開き、24日未明まで討議を続けた。この間、24日付けの紙面は管理職だけで制作、印刷された。文字通り、後がないギリギリの状況での選択だった。
 今回の協定書で「賃金低下は年収ベースの17%以内」との大枠が決められたが、転籍者個々人の労働条件の細部を決める自主交渉はこれから。闘争はまだ終わっていない。さらには、全下野労組は「組合再生」「経営民主化」「新聞印刷と印刷の仲間を守る」を柱にした新たな闘いに乗り出す。26日の臨時大会では、組合規約を改正して新印刷会社の従業員も組合員資格を持つように改め、「企業内組合」からの脱皮に一歩を踏み出す。
 全下野労組のブログ「闘争日記!」のエントリーには「我ら敗れり、しかし倒れず」とある。わたしも同じ心境である。

追記 2月25日午前2時20分
2月23日から24日未明にかけての、全下野労組の決断の経緯が同労組ホームページに掲載されている。
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by news-worker | 2006-02-24 23:54 | 全下野新聞労組の闘争  

全下野労組の労働委員会あっせん

 以前のエントリーで紹介したが、栃木県の地方紙「下野新聞」の印刷部門別会社化・社員転籍計画に反対している全下野新聞労働組合が県労働委員会に申し立てた「あっせん」の第2回が22日にあった。組合は別会社化そのものは譲歩する代わりに、現在、印刷部門で働いている組合員の「出向」(下野新聞社員の身分のまま新会社で働く)を求め、その労働条件や期間は労使交渉に応じる旨をあっせん委員に伝えた。しかし会社はこれを拒否。組合が「転籍」をのむなら、労働条件の交渉には応じると伝えてきた。第3回のあっせん期日はあす24日。
 印刷部門の組合員の心中はいかばかりか。何か、まだ闘う道はあるはずだ。
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by news-worker | 2006-02-23 10:00 | 全下野新聞労組の闘争  

全下野争議、舞台は労働委員会へ

 栃木県の地方紙「下野新聞」の印刷部門別会社化・社員転籍計画に反対している全下野新聞労働組合の闘争の続報。全下野労組は7日午前、印刷局組合員の下野新聞社員としての身分と労働条件を守ることを目的に、栃木県労働委員会にあっせんを申し立てた。会社も応じるもようで、17日午後、第一回の話し合いが行われる。
 下野新聞の労使は6日に団交を持った。会社は計画にこだわる姿勢を見せたが、一方で、新工場の稼動予定日である4月1日が迫っている。組合も新工場の稼働自体は新聞の安定発行、ひいては下野新聞が読者に負っている責任を果たすために軽視できない要因と位置づけている。計画の白紙撤回を求めることに変わりはないが、組合員の切り捨てを許さず、彼らが下野新聞の一員として新工場で輪転機を動かせる道を模索するために、第3者である労働委員会のあっせんを求めることとなった。詳しくは全下野労組のブログ「闘争日記!」へ。
 6日はわたしも宇都宮に行き、全下野労組支援共闘会議を開催。宇都宮地区労など支援をいただいている地元の労組の方々と、労働委員会に舞台を移しての新たな闘争を全面支援していくことを確認した。
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by news-worker | 2006-02-07 23:52 | 全下野新聞労組の闘争  

宇都宮地裁決定の不当性(詳報)

 栃木県の地方紙「下野新聞」の社員でつくる「全下野新聞労働組合」が、経営側が提案した印刷部門の別会社化と社員の転籍計画に反対して、計画そのものと一切の準備行為の差し止めを求めた仮処分申請に対し、宇都宮地裁は1月26日に却下の決定を出したことは、速報としてお伝えした。組合側は不当決定として、27日に即時抗告を申し立てた。
 問題の経緯については、初めてご覧になる方は「全下野新聞労組の闘争」カテゴリーの過去のエントリー、並びに全下野労組のブログ「闘争日記!」、同労組のホームページを参照していただくようお願いしたい。
 さて、宇都宮地裁の決定だが、まず第一に、労働組合の存在意義そのものにかかわる労働協約をめぐって重大な不当判断がある。そして第二に、今回の別会社化合理化計画に対する組合側の主張を全面的に退けたのはともかく、なぜ組合側主張を採用せず会社側主張を丸呑みしたのか、理由も判断も一切示していないことに怒りを禁じえない。裁判所に組合の主張が論破されたのなら、場合によってはこちらも納得のしようがあるけれども、裁判所は単に「会社主張が正しい」と言っているだけだ。納得性も何もない。

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by news-worker | 2006-01-29 13:21 | 全下野新聞労組の闘争  

宇都宮地裁が全下野新聞労組の仮処分申請を却下(速報)

 栃木県の地方紙「下野新聞」で、印刷部門の別会社化と社員の転籍計画に反対し、全下野新聞労働組合が計画差し止めの仮処分を求めていたのに対し、宇都宮地裁は26日朝、却下の決定を出した。
 詳しい理由はまだ聞いていない。近く詳しく報告したい。
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by news-worker | 2006-01-26 09:30 | 全下野新聞労組の闘争  

「創」2月号が全下野労組の闘争をレポート

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 栃木県の地方紙「下野新聞」の全下野新聞労働組合が、印刷部門別会社化と社員の転籍計画の白紙撤回を求めてたたかっている闘争が、月刊誌「創(つくる)」2月号で2ページにわたって取り上げられている。事実経過やこれまでの団交での会社側発言、組合側の主張などを正確に紹介。昨年11月28日に鎌田慧さんを招いて宇都宮市で開催した市民集会の写真もあり、わたしもちょこっと写っている。
 記事の詳細は同誌を買い求めていただきたいが、記事の最後に、合理化計画を押し進めようとしている2人の専務が組合の初代委員長と3代委員長だったことから、映画「スター・ウォーズ」になぞらえて、暗黒面に落ちてダース・ベイダーになったアナキン・スカイウォーカーに2人の専務を例える同労組組合員の言葉が紹介されている。記事は「映画ではアナキンの子らがダース・ベイダーらを倒すわけだが、栃木の闘いの行方はまだ見えない」と結んでいるが、映画通りの結末しかない。ダース・ベイダーが改心する結末でもいい。
 全下野労組が申し立てた計画差し止めの仮処分をめぐる法廷闘争は、宇都宮地裁の判断が今月中に示される見通しだが、もとより同労組は「決戦場は団交の場」と位置づけている。いかなる司法判断が示されようとも、会社に計画の白紙撤回を決断させるまで、この闘争は終わらないだろうし、わたしも新聞労連も最後まで全下野労組の皆さんと闘い抜くつもりだ。

 全下野労組の闘争をめぐるエントリーも増えてきたので、「全下野新聞労組の闘争」カテゴリーを独立させた。初めてご覧になる方は、過去のエントリーも参照していただけるとありがたい。
 全下野労組もHPブログ「闘争日記!」でリアルタイムで情報発信している。
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by news-worker | 2006-01-12 00:15 | 全下野新聞労組の闘争  

全下野労組争議、1月中に地裁が判断

 少し日が経ってしまったが、26日は宇都宮に出張。全下野新聞労働組合が印刷部門別会社化・社員転籍計画の差し止めを求めて宇都宮地裁に申請している仮処分裁判の第3回審尋手続きを傍聴した。審尋そのものは、組合と下野新聞社の双方の主張が出揃ったことを確認して、10分足らずで終了。来年1月中に、地裁の判断が示されることになった。年末年始の休みに入り、全下野労組の争議もいったん休戦となった。
 この争議では、新聞労連を責任団体にして、地元労組にも参加してもらい支援共闘会議を11月末に結成。裁判闘争支援として、宇都宮地裁裁判官あての団体署名運動に取り組んだ。26日に第一次集計分として1148通を提出。最終的には1300通くらいになりそうだ。新聞労連はナショナルセンターの連合、全労連のいずれにも加盟していない中立系の産別組合だが、団体署名では連合、全労連にも理解と協力を要請し、それぞれの加盟組織に新聞労連から署名用紙を送らせてもらった。地元・栃木では、連合栃木や自治労栃木県本部に多大な協力をいただいた。
 内心では「せめて500通」と思っていただけに、予想をはるかに超える署名は本当に嬉しい。署名を寄せていただいた全国の労働組合の皆さん、本当にありがとうございます。
 年が明けて地裁の判断が出れば、どのような内容であれ(組合が勝っても負けても)、争議は新たな段階に進む。それで終わりではない。下野新聞社が計画を撤回し全下野労組が勝つまで、新聞労連の支援も緩めるわけにはいかない。
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by news-worker | 2005-12-29 23:55 | 全下野新聞労組の闘争  

管理職が全下野労組に復帰

 たびたびこのブログでも報告してきた栃木県の地方紙「下野新聞」の全下野新聞労働組合が闘っている「印刷部門別会社化・社員転籍」反対闘争で、同労組から画期的な知らせが届いた。管理職(部長代理級)就任に伴い、社内慣行によって組合を脱退していた前委員長が、組合に再加入した。同労組によると、社内から民主的な雰囲気がなくなりつつあることに危機感を抱いてのことだという(詳しくは全下野労組のブログ「闘争日記!」へ)。
 「管理職になったら労組脱退」は世間一般で半ば常識のように思われているけれども、何ら根拠はない。ただ、労使間の慣行というだけ。労働組合法上も組合員資格に疑義が生じるのは、経営側の利益を代表する立場にある人だけだ。平均的な新聞社の組織で言えば、組合員資格がないのは役員かせいぜい局長、局次長までではないだろうか。部長だって人事考課はするけれども、最終の考課権限はさらにその上の局長、役員クラスが握っている。つまり会社の使用人であって、経営意思を体現する立場ではない。
 全下野労組の前委員長の決断は、企業人として異例のことであることは間違いがない。本当に敬意を表したい。わたしの身近でも、管理職になった途端に「人が変わったのではないか」と思うほどに豹変してしまう人を、嫌というほど見てきた。そういう人に限って、酒の場では「最近は組合もダメになったな」などと言う。しかし、職制として発言できる機会があっても黙っているか、キレイごとを言っているかのどちらかが圧倒的に多い。管理職になっても良心から発言し、行動する人は残念ながら極めてわずかだ。
 世の管理職の皆さん。会社に身も心も捧げて、良心をごまかしながら働くのはやめましょう。「おかしい」と思ったら「おかしい」と声を上げる、その自由を保障するのが労働組合だ。現場から声が出なくなったら、その組織は多分、根腐れている。地域の言論を守ろうとする後輩たちに呼応して、声を上げようと決断した前委員長のような方がいらっしゃる限り、まだまだ大丈夫だと思う。
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by news-worker | 2005-12-17 01:56 | 全下野新聞労組の闘争