カテゴリ:メディア( 70 )

 

朝日の偽装請負報道を評価したい

 朝日新聞がきのう(7月31日)の朝刊から、立て続けに1面で「偽装請負」を取り上げている(東京本社発行最終版)。それぞれ書き出しの一部を引用する。

 「『偽装請負』労働が製造業で横行 実質派遣、簡単にクビ」=7月31日付朝刊
 大手製造業の工場で「偽装請負」と呼ばれる違法な労働形態が広がっている。この3年で労働局から違法と認定された企業の中には、キヤノン、日立製作所など日本を代表する企業の名もある。メーカーにとっては、外部から受け入れた労働者を低賃金で、安全責任もあいまいなまま使えるうえ、要らなくなったら簡単にクビを切れる好都合な仕組みだ。「労働力の使い捨て」ともいえる実態がものづくりの現場に大規模に定着した。

 「キヤノン、偽装請負一掃へ 数百人を正社員に」=7月31日付夕刊
 キヤノンは、年内をめどに請負業者との契約を見直して派遣に切り替えるなど、偽装請負の完全解消をめざした対策に取り組む。8月1日付で内田恒二社長を委員長とする「外部要員管理適正化委員会」を設置する。また、グループ全体で2万人以上いる請負や派遣労働者のうち、数百人を正社員に採用する方針だ。

 「松下系社員、請負会社に大量出向 違法性回避策?」=8月1日付朝刊
 松下電器産業のプラズマテレビをつくる「松下プラズマディスプレイ(MPDP)」が今年5月、茨木工場(大阪府茨木市)内でパネル製造を委託する請負会社に、同工場勤務の松下社員を大量に出向させたことが分かった。同工場は昨年7月、請負労働者を直接指揮命令する「偽装請負」で行政指導を受けている。今回の出向は、これまでの労働実態を変えないまま、松下社員による指揮命令の違法性を形式的に回避したものだとの見方が出ている。この手法が「合法」と認められれば他の製造大手も追随する可能性があり、大阪労働局は近く実態調査に乗り出す。

 記事の出稿元は社会部だったり経済部だったり分かれているから、全社的な編集方針でこの問題を大きく取り上げることを決めた、ということだろう。よく「全く守られない法律の代表例は道路交通法と労働基準法」と言われる。それくらい、企業の側にとっては労働諸法制は軽い存在だ。あるいは、利益の前にはいちいち気にしていられない、ということかもしれない。「偽装請負」は一般にはまだ知られていないが、「多様な雇用形態」をうたい文句に雇用面での規制緩和が進んだ結果出現した、派遣社員の先を行く「買い叩き雇用」(ほかにうまい表現を思いつかないが)だ。「格差社会」の雇用面での典型事例と言ってもいい。実はテレビ局などメディアの現場にも広がっている。
 労働行政当局から是正の処分、指導を受けたのなら、立派な違法行為の認定だ。規制緩和はこの5年間は小泉首相流に「構造改革」と呼ばれたが、産業界では雇用面でモラルハザードが起きた、ということだ。朝日の一連の記事は、「構造改革」や「格差社会」を考える上でのいい材料を読者に提供している。
 処分、指導を受けた企業名が公表されていなくても、メディアの責任で報じてもいい。そういう「抜きあい」が記事として評価されるようになれば、企業のモラルも向上し、社会は変わりうるかもしれない。

追記 8月1日午後
 「全く守られない法律の代表例は道路交通法と労働基準法」と言われる。これは報道にも反映されていて、スピード違反がいちいち記事にならないのと同じように、雇用の現場で深刻な事態が進行してきたのにメディアの関心は低かった。だからこそ、今回の朝日の報道姿勢は注目に値する。メディア他社は朝日の報道をどうとらえているだろうか。 
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by news-worker | 2006-08-01 10:21 | メディア  

イラク撤退の取材妨害は、報道統制の実地訓練ではないのか

 イラク派遣の陸上自衛隊部隊の撤収をめぐって、以前のエントリーで指摘していたのだが、やっぱり報道に混乱が起きた。クウェートで予定されていた撤収第一陣の取材が、直前というかその場で一方的にキャンセルされた(共同通信記事)。
(引用開始)
額賀長官が報道を“妨害” 「隊員の安全」理由 [ 07月08日 00時17分 ] 共同通信
 クウェートのムバラク空軍基地で予定されていたイラクからの陸上自衛隊撤収第1陣の取材や撮影が7日、額賀福志郎・防衛庁長官の指示で直前に中止され、報道各社に撤収報道の自粛が要請された。同基地には40人近い報道陣が待機、突然の一方的な通告で混乱した。
 同日夜に防衛庁で記者会見した額賀長官は「迷惑をかけ心からおわびしたい」と陳謝しながら「大局から見て、安全を確保する上で撤収が完了するまで計画を明らかにすることは適当ではないと判断した」と繰り返した。
(引用終わり)

 各紙の報道の中では、ここまでの舞台裏の動きも含めて、東京新聞の社会面サイド記事(防衛庁による「取材妨害」と表現している)が詳しい。同紙サイトにはアップされていないので、一部を紹介する。

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by news-worker | 2006-07-08 12:40 | メディア  

新聞の信頼確立~新聞労連の新研中央集会より

 7月1-2日は東京で新聞労連の「新研中央集会」があった。「新研」とは、何度かこのブログでも紹介してきたが「新聞研究」のこと。新聞が市民の「知る権利」や民主主義の発展に貢献しているか、書くべきことを書いているかなど、新聞紙面のあり方を検証する活動で、新聞労連の基幹活動の一つとなっている。
 今回の集会では「新聞の信頼確立」を初日のテーマに据えた。裏返せば、今の新聞は市民・読者の確固たる信頼を得ているとは言えない、との問題意識を持っている。メディアの信頼度などを尋ねた世論調査や市民アンケートでは、依然として新聞は高い信頼を保っている。しかし、ここでいう「信頼」は、そうした「ニュースの信憑性」という意味での信頼とはちょっとニュアンスが違う。端的に言えば、昨年末に閣議決定された国の犯罪被害者被害者等基本計画で、事件事故の被害者を実名で発表するか、匿名で発表するかは警察の判断に委ねる、との項目が盛り込まれたことだ(過去のエントリー)。「メディア(新聞を含む)は人権侵害をする。犯罪被害者の人権をメディアから守るのは警察しかない」ということであり、つまりは新聞を含めメディアは警察より信用できない、という世論が作られているということだ。

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by news-worker | 2006-07-02 23:22 | メディア  

(続)国会の場でNHKへの政治介入が堂々と

 前々回のエントリーで取り上げた自民党・柏村武昭参院議員の国会質問に名を借りたNHK政治介入発言に対し、メディア研究者らが29日、発言の撤回を求めた(共同通信記事)。
議員の質問は「政治介入」 NHK番組めぐり申し入れ [ 06月29日 19時31分 ] 共同通信
 日の丸・君が代を扱ったNHKの報道番組について、柏村武昭参院議員(自民)が参院総務委員会で批判的に質問したのに対し、メディア研究者ら約1100人が29日、「国会審議に名を借りた政治介入だ」と発言の撤回を申し入れた。
(中略)
 申し入れは、日の丸・君が代をめぐって世論は分かれており、学校での君が代斉唱時に起立しない教師を処分する東京都の方針と、それに反対する教育現場の声を番組が伝えたのは「当然」などと主張している。

 15日の柏村発言を報じたメディアはなかったし、ネットで見る限りは29日の申し入れも共同通信と地方紙がいくつか報じているだけだ。
 手元の紙面では、東京新聞が30日朝刊の特報面で比較的詳しく報じているが、見出しは「自民議員のNHK番組質問 どこまで許される?」と抑え気味。朝日新聞には記事の掲載はない。
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by news-worker | 2006-06-30 11:04 | メディア  

国会の場でNHKへの政治介入が堂々と

 あるメーリング・リストで知ったのだが、6月15日の参院総務委員会で自民党の柏村武昭議員が日の丸・君が代をめぐり、NHKの番組制作への政治介入に等しい質問を重ねた。既に抗議と発言の撤回を求める動きも起きているのだが、メディアは取り上げていないし一般には知られていないのではないだろうか。
 いかに法制化されているとはいえ、日の丸・君が代をどう考えるかは個人の内心の自由にかかわる話だし、公共放送といえどもメディアがどう報じるかは言論、表現の自由の問題だ。柏村議員の質問を看過することは、NHKのみならずメディア全体にとって自らの首を絞めるのに等しい。今からでも取り上げるべきだ。

 やりとりの録画は、参議院のインターネット中継で見ることができるし、柏村議員のホームぺージにもアップされている(確信犯なのだ)。
 以下はメーリング・リストからの転載。

 以下、柏村議員の質問の流れ(質問開始以降の時刻)です。
 02:55頃 放送終了時に君が代を流さなくなったのはなぜかと追及
 05:30頃 トリノオリンピックで荒川選手が日の丸を身体に巻いてウイニング・ランをした場面を放映しなかったのはなぜかと追及
 06:55頃 日本ダービーの折、ソプラノ歌手が君が代を独唱した場面を放映しなかったのはなぜかと追及 
 08:55頃 去年3月に<国旗・国歌で教師処分・・・・>を放送した「クローズアップ現代」が都教委の規制を強制と断じたのは国歌・国旗について偏見を持たせる番組作りではないかと追及
 11:25頃 「自主自律をいつも強調されている永井副会長さんから、NHKの国歌・国旗に対する明確なご見解を」と永井副会長に答弁を指名
 (永井副会長答弁)「(国旗・国歌が法制化された経緯等をおさらいしたうえで)今いろいろとご指摘ございましたけれども、公共放送として、対立する意見については双方の意見をお出しするということで、公共放送として間違った放送をしているとは考えておりません。」
 (柏村議員)
「では、なぜ〔都教委から〕抗議されたんですか。私は見ていて、非常に偏った放送だと思いました。」
 (永井副会長)
「都教委から抗議されたことは事実でございますが、その一方で、また東京都の指導に対しては現在裁判も行われておりますし、教育現場からの反応ということも私ども放送では取り上げております。その双方をお出しして、あとは視聴者の的確な判断におまちするというところではないかというふうに思っております。」
 (柏村議員)
「・・・・・・これで私は、今副会長がおっしゃったようなもう公平にやっているという考え方は非常に納得できかねます。・・・・・・・やっぱり、国歌・国旗はもう法律までなってて、国の誇りですよ。旗も、歌も。そうすると、やっぱりそれを助長するような責務があるんじゃないでしょうかね、NHKは、公共放送としてはですよ。・・・・・・・・」
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by news-worker | 2006-06-27 15:07 | メディア  

イラクの自衛隊取材ルールは今も有効

 日本政府は20日、イラク・サマワに派遣している陸上自衛隊部隊の撤退を正式に決めた。主体的な判断ではなく英軍の撤退に合わせて、とか、遅きに過ぎるとか、色々と思うところはあるが、これから始まる撤退作戦をメディアが報じていく上で、気になることがある。2004年3月に、防衛庁と日本新聞協会、日本民間放送連盟(民放連)の3者が確認した現地取材のルールのことだ。その中に、どうみてもメディア側が防衛庁、自衛隊の事前検閲を容認したとしか解釈できない項目が含まれている。
 これまでは、サマワに日本の大手メディアが常駐していなかったから、この検閲規定が問題になることもなかった。しかし、自衛隊の撤退はそれ自体が大きなニュースだ。撤退中の自衛隊部隊が襲撃を受けでもすれば、国際的なトップニュースになる。当然、日本の大手メディア各社も現地取材を考えるはずだ。個々の取材場面では、検閲規定をめぐり防衛庁・自衛隊とメディア側の対立が生じるのではないか。生じなければおかしい。唯々諾々と〝大本営発表報道〟を行うつもりなら別だが。

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by news-worker | 2006-06-22 21:11 | メディア  

産経グループ「iza」に62人の記者ブログ

 産経新聞グループが15日から新しいwebサービス「iza(イザ!)」を開始した。どんなものかは、impressのInternet Watchの記事が詳しい。
(引用開始)
 産経デジタルは15日、産経新聞グループが提供するニュースと読者のブログを融合させる情報サイト「iza(イザ!)」ベータ版を開始した。ブログを開設している読者であれば、すべてのニュースに対して自由にトラックバックできる。
 イザ!では、産経新聞グループが発行する4媒体(産経新聞、サンケイスポーツ、フジサンケイビジネスアイ、夕刊フジ)の紙面から、政治、ビジネス、文化、スポーツ、芸能などのニュースを1日あたり200~300本掲載する。
 ブログを開設している読者は、ニュース記事にトラックバックできる。無料の会員登録により、イザ!内にブログを開設することも可能だ。ブログの内容は事前に検閲しないが、公序良俗に反したり個人を誹謗中傷するエントリが発見された場合は、トラックバックを削除する。イザ内のブログエントリであれば、エントリも削除する。
 産経デジタルでは今後、掲載するニュース数を増やすほか、注目度の高いブログを産経新聞の紙面で取り上げる紙面連動企画などを検討している。なお、同社によれば、「ニュースへのトラックバックを大々的に受け付けるのは、全国紙では初めて」という。
 また、現役記者62人がブログを開設し、取材の舞台裏などを紹介する。記者のブログにもトラックバックできるほか、イザ!に会員登録した読者はコメントを書き込むことも可能だ。
(引用終わり)

  「ニュースへのトラックバックを大々的に受け付けるのは、全国紙では初めて」とのことだが、わたしは「記者62人のブログ」の方に少し驚いている。既存の新聞社の試みとしては、画期的と言っていいのではないだろうか。
 これまでも、参加型ジャーナリズムの可能性に関連して、既存の新聞社も自社サイトで論説委員や編集委員など、言わばその紙面の〝顔〟の役割を担う記者がブログを運営してみてもいい、と語られてきた。実際に現役の記者が自社サイトの枠内でブログを運営しているケースもある(毎日新聞の「理系白書」など)が、産経の試みは、それを一気に第一線の若手記者にまで広げた。
 62人の顔ぶれは多彩だ。黒田勝弘さんや古森義久さんらの大物は当然として、一般にはどんな仕事かあまり知られていない整理部の記者、活字とはちょっと距離があるように思えるカメラマン、地方支局の記者もいる。全体として見れば、新聞社の報道・編集現場で記者たちが日々何を思い、何を考え働いているか、読む側にけっこう伝わるのではないだろうか。
 一般に新聞記者は自分の考えは表に出すべきではない、とされている。新聞は「公正中立、客観報道」を掲げているからだ。産経の試みは、独自の論調を前面に出し「はっきりモノを言う」ことを売りにしている産経だから可能なことかもしれない。産経の社論の当否はともかくとして、既存メディアと読者の対話という観点からは、画期的であることは間違いない。
 やはりというか、ブログのエントリーの頻度は、若い記者たちほど高い。業界では〝御大〟と呼んでいい黒田氏は、今のところ(17日朝現在)1件だけ。それも紙面に掲載されたコラムの転載だ。世代によるデジタル・デバイドの問題なのか、「記者は紙面で勝負」という価値観の問題なのか。
 62人の人選の基準も気になると言えば気になる。希望者を募ったのか、会社からの指名なのか。ブログの運営も業務の一環だろうから、勤務時間中のエントリー更新が問題になることはないだろうが、逆に更新が義務付けられ、負担になることはないだろうか。産経新聞には、その独自の論調からか、経営にモノを言う労働運動は社内にない(新聞労連に加盟する労働組合もない)ので、その辺の事情は分からない。ともあれ、新聞記者が実名で、読者に対し自分の仕事を語る場ができたことの意義は大きい。「イザ!」の今後を注目したい。

追記 6月22日午前
 本エントリーが「iza」内のブログで紹介された。「62人の人選の基準も気になると言えば気になる」と書いていたら、経済部の原口和久さんがご自分のブログ「はみ出し記者の『特ダネより子だね!』」のエントリーで、「お答えします。私の場合は上司からの指名です。基準などはないのではないでしょうか。他の記者については分かりません」と教えてくれた。原口さん、ありがとうございます。
 
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by news-worker | 2006-06-17 09:32 | メディア  

「取材源の秘匿」の意味を理解した妥当な司法判断

 以前のエントリー(「取材源の秘匿」が理解できない裁判官が現れたことの意味は、および(続)「取材源の秘匿」が理解できない裁判官が現れたことの意味は)で言及した裁判の抗告審で東京高裁は14日、報道機関の「取材源の秘匿」を幅広く認定する決定を出した。以下、毎日新聞記事の一部を引用する。
(引用開始)
<取材源秘匿>1審取り消し、証言拒絶認める 東京高裁 [ 06月14日 12時12分 ]
 米国の健康食品会社への課税処分に関する報道を巡り、読売新聞の記者が民事裁判の証人尋問で取材源の証言を拒絶したことについて、東京高裁は14日、拒絶を認めなかった東京地裁決定(藤下健裁判官)を取り消し、すべての尋問に対して拒絶を認める決定を出した。地裁決定は取材源の守秘義務違反を理由に拒絶を認めなかったが、高裁の赤塚信雄裁判長は「たとえ取材源に法令違反があっても、取材源秘匿はその人物の利益のためになされるわけではない。秘匿によって守られているのは、国民の知る権利を確保するという公共的な利益」と述べた。
 証言拒絶を認める4回目の決定。一連の決定で唯一証言拒絶を認めなかった地裁決定が取り消されたことで、取材源秘匿を正当と認める司法判断の流れが一層強まった。
 決定は「報道機関の報道は国民の知る権利に奉仕するもので、報道の自由は憲法の保障のもとにある」と指摘。さらに「取材活動は公権力の介入から自由でなければならず、報道機関と情報提供者との信頼関係が十分確保されなければならない。そのために取材源が秘匿される必要がある」と判断した。
(引用終わり)

 以前のエントリーでも書いたとおり、普通の感覚でこれまでの判例、判決例を考慮して考えれば、当然、こうした結論になる。極めて当然の判断だ。
 原審の東京地裁の藤下健裁判官は、「取材源の秘匿」を公務員に認めれば、公務員の守秘義務違反を助長することになる、との無茶な論理展開を示していたが、今回の東京高裁決定は、分かりやすい判断を示しているようだ。決定の要旨を見ていないので、正確なところは分からないが、毎日新聞の解説記事によると、決定は「取材源の秘匿が『守秘義務違反行為を犯した公務員のため』ではなく、『国民への自由な情報提供(知る権利)を確保するという公共的な利益に基づいている』と位置づけた」という。
 「国民への自由な情報提供」というメディア本来の役割を重視したまともな判断だ。
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by news-worker | 2006-06-15 01:07 | メディア  

佐賀市で市民対話集会

 10日は、新聞労連九州地連と民放労連九州地連が中心になって佐賀市で開催した「6・3市民対話集会」に参加した。
 1991年の6月3日、長崎県・雲仙普賢岳で大火砕流が発生し、マスコミ関係者や警察官、消防団員、マスコミ各社がチャーターしていたタクシーの運転手ら43人が犠牲になった。これを機に、過熱取材や地元の復興なども含めた災害報道のあり方を問い直そうと、新聞労連、民放労連の両九州地連が中心になって、以後毎年、雲仙で市民参加の集会を開いてきた。
 大火砕流から10年の2001年に発展的に解消。以後は、九州各地の新聞社労組の持ち回り開催となり、広くメディアを取り巻く課題全般をテーマとして、今日に引き継がれている。
 さて、ことしのテーマは第一部が九州新幹線、第二部がネットとメディア。わたしは第二部のパネルディスカッションにパネラー兼進行役として参加した。
 まず時事通信編集委員の湯川鶴章さんが「今さら『ネットは新聞を殺すのか』でもないだろう」と題して基調講演を行い、それを受ける形でわたし、湯川さん、地元代表で佐賀新聞社社員の猫手企画さん、民放労連から1人の4人でパネルディスカッションを行った。内容自体は特に目新しいものはないが、前日に佐賀新聞が告知記事を掲載してくれていたこともあって、労組関係者のほかに一般からの参加もけっこうあり、質疑も活発だった。
 わたし自身は、湯川さんの講演のうち「既存メディアはネットに駆逐されることはないだろうが、収益減をネット事業で完全にはカバーできない。リストラ、縮小に向かうしかない」との指摘が印象に残っている。皆さん、お疲れさまでした。
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by news-worker | 2006-06-11 04:31 | メディア  

新聞は〝じゃんけん後出し〟しかできなかったのではないか

 廃案となるまでは気を抜くわけにはいかない共謀罪だが、この1カ月余を振り返って、ブログの力というか、weblogosphereの世論形成力、社会運動としてのブログの可能性について考えている。言い方を変えれば、新聞、放送といった既存の大手メディアが、共謀罪をめぐる報道ぶりでこの間に露呈したのは、ごく一部の例外を除いて〝じゃんけん後出し〟のような報道しかできなくなってしまっている実情だ。
 綿密な検証をしたわけではなく、どちらかと言えば直感に近いことをあらかじめお断りした上で、この1カ月余の経緯を簡単におさらいしておきたい。

 衆院法務委員会で自民・公明両党が野党の反対を押し切り、審議入りを決めたのが4月1918日。同21日に始まった審議では、当初から与党側はゴールデン・ウイーク(GW)前の採決方針を表明。いきなり、強行採決が危ぐされる事態となった。

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by news-worker | 2006-06-07 20:56 | メディア