カテゴリ:社会経済( 27 )

 

現職警官の飲酒運転をめぐる2つの処分

 飲酒運転をめぐる公務員の懲戒処分について、静岡県知事と兵庫県知事の発言を紹介した9月27日のエントリー「『免職は死刑に等しい』『直ちに免職は行き過ぎ』~2人の知事の発言」に対し、多くの方からコメントをいただいた。何人かの方とは1週間にわたって意見の交換をさせていただいた。
 わたしが2人の知事の発言に共感を覚えるのは、ものごとは「1かゼロ」か2つに割り切れるものばかりではない以上、公務員の飲酒運転の処分にも一定の幅を残しておいた方がいいのではないかと思うからだ。飲酒運転そのものは明確に悪だ。しかし「飲酒運転は一律免職」とすれば、それは他の交通違反、法令違反にまで将来的に広がって行きかねないとの危ぐを拭い去ることができない。法令に限らず、内規まで含めてあらゆるルール違反は一発で免職、という事態に道を開きかねないことを恐れる。
 そうしたわたしの意見に対し、現に公務員の飲酒運転が後を断たない中で、最初から「飲酒運転をする人間が公務員の中にもいるのは仕方がない」との前提で、「一律免職」に批判的な発言をするのは知事としておかしい、社会の空気が分かっていない、との批判的なコメントをいただいた。知事としてまず示すべきは、いかに飲酒運転を撲滅するかであり、公務員である以上「一律免職」は当然のこと、現状は民間より甘すぎる。飲酒運転が他の交通違反などと比べて、いかに重大な犯罪行為かを考えよ、ということだ。
 少し乱暴かもしれないが、この1週間の意見の交換を要約すると、そういうことだ。
 正直に言って、わたしの考えは少し揺れている。そこにもってきて、さらに考えをあらためざるを得ないのではないかと思わされる出来事が、飲酒運転取り締まりの元締めである警察をめぐって起きた。飲酒運転の現職警官に対する富山県警と警視庁の対照的な処分だ。

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by news-worker | 2006-10-07 13:57 | 社会経済  

安倍内閣が71-63%の支持率

 発足間もない安倍晋三内閣の新聞各紙の支持率調査が出そろった。支持率が高い順に日経71%、読売70・3%、毎日67%、共同通信65%、朝日63%。歴代2位の日経を除けば、いずれも政権発足時としては小泉内閣、細川内閣に次いで歴代3位の高支持率となった。
 朝日は安倍首相が最優先課題にあげている臨時国会での教育基本法「改正」案の賛否も同時に尋ねている。それによると「今の国会にこだわらず、議論を続けるべきだ」が66%、「今の国会で成立を目指すべきだ」は21%、「改正する必要はない」は6%だった。安倍首相はこの民意に謙虚に耳を傾ける度量を備えているだろうか。
 新内閣の顔ぶれは、当人たちがいくら否定しようが「論功行賞内閣」「学園祭内閣」などとメディアに酷評されている。安倍総理総裁実現に尽力して功を認められた人間と、同じ発想、思想で以前から仲の良かった人間ばかりを登用したという意味だ。5人の首相補佐官も含めれば、まさにその通りだと思う。安倍氏の思想と相反する人間は排除されていくのだろう。それは己の信念を貫き通す意思の強さと見えるかもしれないが、多様な意見に耳を貸す謙虚さ、聡明さとは無縁ということかもしれない。耳当たりのいいことしか言わない人間だけで周辺を固めようとするのは、つまり「世間知らずのお坊ちゃま」ということではないのだろうか。
 昨年9月11日の衆院選挙の結果の感想として、このブログでも書いたが、かつての自民党は派閥の連合体だった。派閥間の緊張関係と合従連合が、結果として「1億総中流」と呼ばれた安定を社会にもたらした。安倍首相が敬愛して止まないという祖父岸信介元首相が退陣した1960年以降のことだ。その自民党はすっかり変わってしまったのだな、ということを今回の安倍政権誕生でも感じる。異論を受け入れない総理総裁の姿勢と、ある種の猟官運動の趣をもって党内が安倍政権へとなだれを打った様相には、やはり不安を覚える。以前の派閥政治に戻るべきだとは思わないが、以前の方がマシだったのではないか。少なくとも教育基本法や憲法9条は存続し、自衛隊はあってもまがりなりにも日本と日本人は直接、戦争に加担せずにいた。
 支持率に話を戻すと、高支持率のスタートではあるが、世論は案外と安倍政権が今後、何をやるのかを冷静に見定めようとしているのではないか、という気もしている。
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by news-worker | 2006-09-28 22:02 | 社会経済  

教祖の死刑確定に割り切れなさが残る

 オウム真理教の教祖松本智津夫被告の死刑がきのう15日、確定した。2年前の2月に東京地裁が言い渡した死刑判決を不服として、被告側が行った控訴を東京高裁が棄却する決定をし、その決定を不服として弁護側が行った異議申し立ても東京高裁が棄却した。その東京高裁決定をさらに不服として弁護側が最高裁に申し立てた特別抗告を棄却したのが、きのうの決定だった。死刑執行を回避しようとすれば、本人の精神状態は別として、あとは再審請求しかない。
 死刑確定後は、新聞の用語上は「被告」から「死刑囚」に呼称が変わる。きょうの夕刊から「松本死刑囚」となる。ついでに言えば、新聞によって「松本」か「麻原」か異なる。麻原とは教祖名の「麻原彰晃」だ。オウム真理教という教団の教祖、指導者という側面を重視すれば「麻原」の表記になり、「宗教」というフィルターを排して、一人の人間として裁判を受ける立場であることを重視すれば戸籍名である「松本」を使う。新聞各紙の見解はそんなところではないだろうか。本人自身は初公判の人定質問で名前を問われ「麻原彰晃です」と答え、裁判長から「松本智津夫ではないか」と問われると「その名前は捨てた」と答えたように記憶している。

 教団の一連の事件と、松本智津夫や側近幹部らの裁判をめぐっては、既にいろいろな人たちがいろいろな見解を明らかにしている。きのうの「死刑確定」の意味についても同様だ。わたし自身は、制度としての死刑は存続の意見だし、一連のオウム真理教の事件への関与について、松本智津夫に刑法上の責任は明確にあると考えている。だから、死刑という結論自体は免れ得ないものだと思う。しかし、「結果」ではなく、その結果に至るまでの経緯をも含めた「結末」という意味では、割り切れなさが残る。国家が司法制度の手続きを踏み一人の個人を殺すのに、そんなに急ぐ必要があるのか、という疑問と言ってもいいかもしれない。「急ぐ」というのは、裁判にかかる時間の観念のことではない。手続きのことであり、三審制の手続きを踏み、控訴審で事実審理に進んでいれば社会が利益を得ることができたかもしれないのに、その機会が奪われてしまったことへの、社会の一員、生活者の一人としての割り切れない思いだ。

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by news-worker | 2006-09-16 16:38 | 社会経済  

民主党の決断は遅すぎた

 以前のエントリーで「〝騒動〟だったのに、これでは〝事件〟だ」と書いた民主党のホリエモン(堀江貴文前ライブドア社長)メール事件は、3月31日に前原誠司代表ら民主党執行部の総退陣と、永田寿康衆院議員の議員辞職が決まった。これを受けて、永田議員が氏名を明かした情報提供者に対する衆院懲罰委員会での証人喚問も取りやめになった。これ以上の悪い前例の積み重ねは避けられたと思うが、もっと早くに決断のタイミングがあったはずだ。遅すぎた。

 国会は予算審議が終わり、これから重要法案の審議が始まる。共謀罪新設、改憲手続きの国民投票法など、社会と民主主義のあり方の根本にかかわる重要法案のほか、在日米軍再編問題も重大な局面だ。米政府との最終報告取りまとめに向けて、日本政府が沖縄をはじめとする関係自治体の反対を押し切ろうか、という状況になっている。そんな大事な時期に、野党第一党が機能しないことに、いら立ちを感じる。
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by news-worker | 2006-04-01 09:43 | 社会経済  

永田議員の情報提供者開示は「知る権利」にかかわる新たな問題を引き起こした

 永田寿康衆院議員のホリエモン(堀江貴文前ライブドア社長)メール騒動は、永田議員が24日の衆院懲罰委員会で情報提供者の氏名を明かし、同委員会が提供者とされるこの男性の証人喚問を決める展開となっている。冗談ではない。メール騒動はここに来て、議会制民主主義と「知る権利」の根幹にかかわる新たな問題を引き起こしてしまったと思う。
 永田議員は24日の懲罰委員会で「情報仲介者の秘匿が大変重要だと名前を伏せてきたが、偽物の情報をつかまされた。情報源との間に信頼関係がないものと考え、ここで名前を明らかにしたい」と述べた(朝日新聞25日付朝刊の「答弁要旨」から引用)。この永田議員の姿勢の変化をめぐっては、いわゆる識者の間でも賛否両論がある(例えば東京新聞記事)けれども、わたしはやはりおかしいと思う。
 いやしくも国会議員が国会質問で取り上げた情報だ。その出元は、いかなる理由があろうとも秘匿されるべきだ。そうでなければ、国会議員への情報提供は成り立たなくなる。先の東京地裁決定(以前のエントリー)で注目されたが、メディアの取材源の秘匿と事情は何ら異なるところがない。

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by news-worker | 2006-03-26 00:47 | 社会経済  

こんな裁判官もいる~志賀原発2号機の運転差し止め

 原告団長が「正直、判決主文を聞いたときは頭が真っ白になった」とコメントするぐらいだから、いかに画期的な判決かがよく分かる。北陸電力志賀原発2号機の運転を差し止めた金沢地裁の24日の判決には、わたしも驚いた。
 (北国新聞記事
 住民らが原発の危険性を指摘して設置許可の取り消しや無効確認を求めたり、運転差し止めを求めるいわゆる「原発訴訟」では、原告側勝訴の裁判例は、ナトリウム漏れ事故を起こした高速増殖炉「もんじゅ」をめぐる名古屋地裁金沢支部判決(2003年)があっただけ。今回は、運転を開始したばかりで特にトラブルも起こしていない、れっきとした商業原発だ。
 かつて司法取材を担当した経験から、そして今では労働争議に関与するようになって思うのだが、日本の司法には現状追認に流れる裁判官がいかに多いことか。一番の例は軍事基地の騒音訴訟だ。
 沖縄県の米軍嘉手納基地、東京の米軍横田基地、神奈川県の米軍厚木基地などのほか、自衛隊基地をめぐっても、近隣住民の騒音被害は認定しながらも、軍用機の飛行差し止めは認めない判例が出来上がっている。賠償を命じるくらいに被害があることは分かっているのに、その被害を元から断つことはしない。その理屈の「統治行為論」は要するに、軍事基地の存在は高度に行政・政治の判断だから司法判断にはなじまない、ということだ。
 法曹の判断としては色々、理屈はあるのだろう。しかし、現に被害を受け続けている住民らからみれば、司法が行政に屈している、あるいは司法が責任を放棄して逃げを打った、としか受け止められない。「三権分立はどこに行った?」ということだ。
 以前から司法にはそうした思いを持っていたから、今日の金沢地裁の井戸謙一裁判長の判決には驚いた。高裁、最高裁と進んで確定するかどうかの問題はあるにせよ、今回の判決の判断基準は他の地域の原発にも準用される可能性はある。そうなると、原子力発電推進一辺倒の日本のエネルギー政策の根幹を揺るがしかねない。ヒラメ裁判官ならたじろいでも不思議はない。しかし、判決は憲法上の「人格権」と正面から向き合い、「周辺住民に具体的危険があると推認すべきだ」と言い切った。理屈をこねれば、これまでの原発訴訟の判決例と同じように、現状追認の判断を示すこともできたろうに。このような裁判官がいることに、ちょっと嬉しくなった。

 ちなみに井戸裁判長は昨年5月、住民基本台帳ネットワークに違憲判断を示す全国唯一の判決も言い渡している(参考記事・北国新聞)。
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by news-worker | 2006-03-24 21:44 | 社会経済  

釧路で「一極集中」を考えた

 3月4-5日は北海道釧路市で開かれた新聞労連北海道地連の春闘討論集会・地域紙共闘会議に参加した。
 北海道の新聞といえば、全道を発行エリアにする北海道新聞社(道新)が知られている。北海道は都道府県としては一つの行政体だが、何せ広い。それぞれの地域に特色があり「地域意識」も強い。それぞれの地域に、その地域に根ざした新聞がある。
 新聞労連には北海道新聞労組のほか釧路新聞、十勝毎日新聞、苫小牧民報、室蘭民報の4紙の労働組合が加盟し、ブロック組織である北海道地連を構成している(地連には全国紙労組の北海道支部も加盟)。今回の会議は、それぞれの労組の執行部委員長、書記長さんたちが一同に会する機会ということで、わたしも参加させてもらった。
 さて、会議や酒を酌み交わしながらの交流会で、地元紙労組の方々から色々とお話を聞き、議論もして有意義な時間を過ごしたが、それはさておき、釧路の街を歩いてみて、地方の厳しさを強く感じた。
 北海道の景気回復の遅れはよく耳にするが、実際に土曜日の夜も日曜日の午後も、JR釧路駅から続く大通りに人影はまばら。かつて釧路漁港が日本有数の水揚げを誇っていたころには、恐らく大賑わいだっただろうと思える夜の繁華街も、やはり人が少ない。
 釧路新聞の4日付け紙面には、大通りが人出でにぎわっていた昭和40年代の写真が掲載されていたが、往時とは比べるべくもない、という印象を受ける。郊外型の大規模小売店舗に人出が流れたという事情もあるのだろうが、中心街の空洞化はその地域の「地域らしさ」の喪失を招いているのではないか。「格差社会」がすっかり定着している中で、モノも人も情報も集まる東京と地方の格差が確実に広がってきていると思う。

 地連会議の2日目には、東京から出身地の釧路にUターンして、地域の活性化に取り組んでいる釧路ITクラスター推進協会会長で企業家でもある宮田昌利さんが講演。「一極集中から『地域』へ」という内容だった。印象に残った点を紹介したい。
 宮田さんが例に挙げたのは米国のシリコンバレー。米国西部には、ゴールドラッシュ後はオレンジ農園しかなかった。シリコンバレーが今日の隆盛を得た要因は、さかのぼれば東部から優秀な頭脳を引き抜いてスタンフォード大学が開設されたことにあった。「優秀な頭脳が根付けば、人材が集まる。がんばって優秀な先生を釧路に引き抜き、全国から、さらにはアジア中から人材を集めることができるはずだ」。IT革命が進んでいる今、大切なのは「リスクを取りながら創造的思考で何でもやってみる企業家精神(必ずしも会社を興すことではない)だ」と強調し、メディアに対して「地域に元気を与えることも役割ではないか」と問い掛けた。
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by news-worker | 2006-03-06 00:13 | 社会経済  

ホリエモン・メール〝騒動〟の毎日新聞社説

 ライブドアの堀江貴文前社長から発信、とされた武部勤・自民党幹事長次男へのメール〝疑惑〟は、どうやら〝騒動〟で終わりそうな雲行き。22日の国会党首討論で民主党の前原誠司代表は、何も新証拠を示すことなく、国政調査権の発動を主張しただけに終わってしまった。
 23日の新聞各紙朝刊の社説も一斉に取り上げているが、わたしは書きっぷりの良さ、という点で毎日新聞の社説を推したい。特に「できれば自民党に国政調査権の発動を拒否してもらいたい。それを理由に、あいまいなまま幕引きする……。それが民主党の本音ではないかとさえ見えるのだ」のくだり。なかなかここまでは書けない(皮肉でなく)と思うが、見事に読者の気分を代弁しているのではないだろうか。
 毎日新聞社説が指摘している通り、民主党の罪は「耐震データ偽造事件や米牛肉輸入問題、官製談合事件など、まだ解明されていない数々の問題が、メール騒動で結果的に消し飛んでしまった」点でも大きいと思う。

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by news-worker | 2006-02-23 21:40 | 社会経済  

民主党のホリエモン・メールの真贋は?

 ライブドアの堀江貴文前社長と武部勤・自民党幹事長の次男をめぐるメール疑惑は、民主党と自民党が突っ張り合う展開になっている。
 前回のエントリーでわたしは、東京地検の異例の対応から、わたしなりの推測を描いてみたが、毎日新聞の磯野さんの「上昇気流なごや」経由で、小飼弾氏(元・株式会社オン・ザ・エッヂ 取締役最高技術責任者)がこんなことをお書きになっていることを知った。
 ホリエモン自身が接見の弁護士に、メールも3千万円の振り込みも否定したと報じられているし、どう客観的に見ても民主党は分が悪い。
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by news-worker | 2006-02-18 16:31 | 社会経済  

ホリエモン-武部幹事長の新疑惑に地検が異例のコメント

 今日の昼間、書記局でデスク仕事をしていたら、午後1時のNHKテレビニュースで、ライブドア堀江貴文前社長から武部勤・自民党幹事長の次男への送金指示メール疑惑の第一報が流れた。そのときは単純に驚いたのだが、帰宅後、ネットでニュースをチェックしていてもっと驚いた。以下、毎日新聞サイトの記事「武部幹事長二男疑惑:東京地検次席『全く把握していない』」を引用する。

(引用開始)

武部幹事長二男疑惑:東京地検次席「全く把握していない」

 ライブドア前社長の堀江貴文被告(33)が昨年8月、自民党の武部勤幹事長の二男と同名の人物に3000万円を振り込むよう社内メールで指示したと国会で指摘された問題で、東京地検の伊藤鉄男次席検事は16日「メールの存在及び指摘された事実関係について、当庁では全く把握していない」とのコメントを文書で出した。捜査中の事件で、検察当局がこうしたコメントを出すのは異例。
 同地検はコメント以外について、一切明らかにしていないが、メールの存在の指摘により、憶測が飛び交う事態を懸念したとみられる。
毎日新聞 2006年2月16日 19時45分

(引用終わり)

 

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by news-worker | 2006-02-16 22:34 | 社会経済