カテゴリ:平和・憲法( 40 )

 

艦載機移転に反対が89%~岩国の住民の意思が示された

 米海兵隊岩国基地(山口県)への米空母艦載機部隊移転計画をめぐる岩国市の12日の住民投票で、計画に「反対」が有効投票の89%に上った。当日有権者数8万4659、有効投票総数4万8802、「賛成」5369、「反対」4万3433、無効など880。投票率は58・68%。有権者全体との対比でみても、「反対」は過半数を超えている。受け入れ推進の商工会議所などは「棄権」を呼びかけていたとされる中でのこの結果は、地元の民意が明確に示されたものと言うしかない。
 政府・与党からは「安全保障や防衛は国政の責任で住民投票になじまない」などの声が伝えられており、多分、この住民投票結果があっても政府は計画を修正変更しないまま、米国との最終合意に向かうだろう。それは許されないことだと思うが、一方で、岩国基地問題を含む今回の在日米軍再編の本質が一層明確になることにもなる。「国家」という権力はいったん暴走を始めれば、国民・住民を平気で踏み潰していく、ということだ。
 そのことは、沖縄ではずっと以前から続いている。だから、今回の岩国の住民投票結果が無視されて初めて、本土(ヤマト)に暮らすわたしたちは、沖縄の人たちの苦悩を共有するためのスタートラインに立つことができると思う。
 基地の被害はすさまじい。軍隊、軍事組織は自らの利益を最優先に行動する。空母艦載機で言えば、空母が急きょ出動(つまり世界のどこかで〝有事〟が出現)ということにでもなれば、夜と言わず昼といわず、艦載機は訓練を始める。辺りかまわず、常人には耐え難い騒音を撒き散らす。少しでもその実態を知れば、だれだってそんなモノが自分が住む地域に来て欲しくないと思うのは当然だ。
 その当然の気持ちが全国に広がり、沖縄ともネットワーク化していければ、基地問題は新しい段階へと進むことができるはずだ。「基地のない沖縄」「基地のない日本」をどう実現させていくのか、という段階だ。
 そもそも、在日米軍基地は日本の安全保障のためにあるのではない。小泉首相がさかんに「世界の中の日米同盟」を喧伝しているように、米軍の世界戦略を支えているのが在日米軍基地だ。日本に米軍基地を受け入れていることで、日本と日本人は、米国が世界中で起こしている戦争に加担している。小泉首相は正直にそのことを認めている。
[PR]

by news-worker | 2006-03-13 09:54 | 平和・憲法  

あらためて香田証生さんの死を悼む

 2004年10月に、イラクを旅行していた香田証生さん(当時24歳)が殺害されてから1年4カ月。イラクの治安当局に逮捕されたアルカイダ系武装組織の男が、香田さん殺害を供述したとバグダッド発の時事通信電が伝えた。2日付け夕刊各紙に掲載された記事によれば、時事通信のイラク人通信員が本人に直接会って問いただしているようだから、彼が殺害グループの一員であることは、ほぼ間違いないだろう。
 記事によれば、武装組織は当初、身代金と引き換えの解放を考えていたが、上部からイラク南部サマワに展開する自衛隊の撤退を要求するよう指令が届き、撤退を迫る人質として香田さんを利用する方針に変更。しかし、日本政府が要求を拒否したため殺害したという。
 事件の発生当時を思い出さずにはいられない。拘束され、カメラの前で「日本に帰りたい」と話していた香田さんは、なぜ死ななければならなかったのか。当時、小泉純一郎首相は即座に「自衛隊の撤退はありえない」と言い切ってしまった。香田さんの救出を最優先に考えるならば、ほかの言い方もあったはずなのに、わざわざ武装グループをいちばん挑発するような言い方をした。自国民1人を見殺しにし、それこそが「テロには屈しない」ことをもっとも証明できる方策だ、とでも考えているかのように。
 アラブ世界では、日本は世界で唯一の被爆国であり、平和憲法を持つ平和国家として知られていたと聞く。それが政府のイラク戦争支持と続く自衛隊派遣により、すっかり侵略国・米国の追随国として、反米勢力の憎悪の的になってしまっている。その中で香田さんは、まさに「日本人である」というだけの理由で殺されたも同然だった。そのことが、今回の一件で一層明白になった。あらためて香田さんの死を悼む。

参考:2004年11月1日付 新聞労連委員長声明
香田証生さんの死を悼み、小泉政権にイラク戦争支持撤回と自衛隊撤退を求める
[PR]

by news-worker | 2006-03-02 22:19 | 平和・憲法  

共謀罪に民主党は取り込まれるな

 現代版の治安維持法とも呼ばれ、昨年秋の特別国会から継続審議となっている共謀罪をめぐり、与党側が修正の動きを始めたことを15日付けの朝刊各紙が伝えている。以下、朝日新聞の記事を引用する。

(引用開始)
共謀罪、対象は犯罪集団に限定 与党修正、民主に提示
2006年02月15日06時16分

 犯罪の実行を話し合っただけで罪となる共謀罪の創設を盛り込んだ組織的犯罪処罰法などの改正案について、自民・公明の両党は14日までに、初めての修正案をまとめ、民主党側に協議を打診した。(1)共謀罪の適用が暴力団など組織的犯罪集団に限られることを明確にする(2)客観的な準備行為があることを共謀罪の構成要件に加える――の2点が柱。民主党内には、「修正案は不十分で対象をさらに絞るべきだ」との声も強く、同党の対応が今後の焦点となる。

 法案は、00年に国連で採択された国際組織犯罪防止条約に伴うもの。政府は「国際的な組織犯罪対策に必要」と力説したが、与野党から「組織犯罪と関係ない市民生活にまで対象が広がりすぎる」と、問題点が指摘され続けてきた。

 このため、政府・与党は条約加入のために必要な範囲に対象を絞る修正は避けられないと判断。「組織犯罪と関係ない、市民団体や会社も対象になるのではないか」といった懸念を消すために(1)の点を、「客観的な行為なしに犯罪の成立を認めると、捜査当局が乱用するおそれがある」といった不安にこたえて(2)の点を、修正案に盛り込むことにした模様だ。

 これまで同種の規定は極めて例外的な犯罪にしか適用されなかったが、共謀罪は615もの罪種に適用される。「適用罪種が広すぎる」という問題点も指摘されているが、この点は今回の修正案では解消されない。

 また、民主党内には、対象をさらに絞り、条約の趣旨通り、国境を越えた犯罪に限定すべきだなどとする意見も根強い。
(引用終わり)

 社民、共産は最初から眼中になく、何とか民主党の賛成を取り付けて今国会での可決成立を目指すということだろうが、いかに修正を加えようとも、わたしは共謀罪新設には反対する。共謀罪をめぐる問題の本質の一つは、処罰・取締りの対象を犯罪の実行行為から共謀行為に広げることにある。まさに人間の内面、精神の営みを取り締まるものにほかならない。思想信条、信仰、言論、表現などの自由と真っ向から対立する。
 また、共謀行為は密室で行われるものだから、摘発しようとすれば必然的に監視、盗聴、信書やメールの検閲が合法化され、密告も奨励される。つまり何もモノが言えない監視社会だ。
 関連法案に修正を施して「そんな心配は杞憂ですよ」と言われても、いったん成立してしまえば、拡大解釈と運用が繰り返され、いずれ改悪が重ねられていきかねない。それは治安維持法がたどった歴史を振り返れば明らかだ。
 先日の横浜事件の再審判決で注目された治安維持法は、戦時下の社会で言論思想弾圧に猛威を振るった。戦争中に作られた印象が強いと思うけれども、実はできたのは1925年だ。法律ができた当時にその危険性を見抜いていた人はわずかだっただろう。
 共謀罪には日弁連も猛反対している。「日本の刑事司法の根本を変えるのに、こんなやり方でいいのか」というその主張は正しい。
[PR]

by news-worker | 2006-02-15 10:00 | 平和・憲法  

沖縄・辺野古でアブグレイブ事件が起きた

 10日から新聞労連の全国新研部長会議で沖縄に来ている。11日は、米軍普天間基地の代替施設建設地として日米両政府が合意した名護市辺野古地区を訪れ、代替施設建設への反対闘争を続けている市民グループの方々を交え、討論集会を行った。
 その場でもお聞きしたのだが、1月22日に辺野古で大変な事件が起きた。本土から沖縄を訪れていた青年(20代)が、「人が集まっている」と聞いて、辺野古にやってきた。彼は全国を自転車で回っており、旅行資金を稼ぐアルバイト先を求めてのことだった。人が集まっていれば、どこかバイト先を紹介してもらえるかもしれないと思ったという。
 そこで彼は基地反対協議会の人たちと会い、沖縄の基地の現実を知る。広大な土地が米海兵隊のキャンプに占領され、浜辺には立ち入り禁止の印として、有刺鉄線が伸びる。その光景を目の当たりにした彼はショックを受け、その場を離れられなかった。
 日が暮れて寒さを感じ、彼は有刺鉄線のそばで焚き火を始める。事件はその後に起きた。有刺鉄線の向こうに車で米兵3人が現れた。そばには監視カメラが設置されている。あわてて焚き火を消したが、いつの間にか米兵の1人が有刺鉄線のこちら側に来ていた。
 3人の間で何事かやり取りがあった後、こちら側の米兵が青年を小突き回し、砂浜に書かれていた基地への抗議のメッセージ(地元の市民グループの1人が毎日書いていた)を、四つんばいにさせられ、手でかき消すよう命じられた。次に、有刺鉄線に結ばれていた平和のメッセージが記されたリボンを引きちぎるように命じられた。うまくちぎれないと、米兵はナイフを取り出し、次々にリボンを切っていった。最後には砂浜に「sorry」と書かされた。これらの屈辱的な作業は1時間以上も続いたという。
 青年は、平和を訴えるリボンを強制的にとはいえ、自分がちぎってしまったことを苦にし、基地反対協議会にわびを言いに来た。それで事件が知られることになった。
 青年は沖縄県警に告訴したが、まだ何も動きは出ていない。
 
 地元メディアはこの事件を報じたが、本土メディアはほとんど報じていない。従って、本土では一般の人々にまったくと言っていいほど知られていない。

 関連サイト
 
 沖縄版アブグレイブ事件
 近田洋一さん(ジャーナリスト・在埼玉)
 http://www.masrescue9.jp/marutoku/henoko.htm

 JANJANレポート
 米兵、辺野古海浜で焚き火の男性に暴行

 追記 2月14日午前
 被害青年は精神的なショックもあって、実名を名乗り出ることは控えているという。ネット上には実名で登場しているレポートもあったが、経緯がよく分からない。わたし自身が辺野古で聞いたことをもとにした判断として、「JANJAN」のレポートへのリンクは切りました。
[PR]

by news-worker | 2006-02-12 07:53 | 平和・憲法  

山形県平和センターで講演

 12日は山形市に出張。新聞労連行事ではなく、地元の労働組合を中心につくる「山形県平和センター」の学習会に招かれ、講演した。新聞労連と同センターは直接の交流はなかったのだが、講師選定の際に新聞労連ホームページを見て、わたしが候補に挙がったとのこと。本当に光栄に思う。事務局の担当の方はこのブログのこともご存知で、初対面のあいさつで「読んでます」と言われたときには少々赤面した。
 講演のタイトルは「監視・統制社会と『言論・表現の自由』『知る権利』」とした。新聞労連が昨年、戦後60年を機に制作発行した「しんけん平和新聞」を紹介しながら、「戦争で最初に犠牲になるのは真実」との言葉通り、60年前(年が明けたので61年前となるが)に日本の敗戦で終わった戦争を通じて、新聞は国民に戦争の実相を伝えず、戦意を鼓舞して戦場に駆り立てる役割を担っていたこと、戦争をする国家・社会は民主主義とは絶対に相容れないことは現代でも変わらず、それは例えばイラク戦争でも、開戦の最大の大義であったサダム・フセイン政権の大量破壊兵器保有疑惑が根拠のない虚報であったことにも表れていること(まさに「真実」が犠牲になって始まった戦争だった)などをお話した。

続きを読む
[PR]

by news-worker | 2006-01-13 20:03 | 平和・憲法  

憲法9条と21条

 少し遅めだが、昨日6日から新年の仕事を開始。この日は「共謀罪」と「憲法改正」をめぐる新聞労連の運動方針について、他産業の労組の機関紙など外部からの取材を2件受けた。
 両テーマとも、わたしは憲法21条の「言論・表現の自由」「知る権利」と密接に絡んだ問題としてとらえている。新聞労連の06春闘方針案にも重点項目として盛り込んでいる。ひと言で言うなら、「戦争で最初に犠牲になるのは真実」という言葉がある通り、戦争国家体制は必ず言論・表現の自由がおかしくなる、だから新聞労働者は「言論・表現の自由」「知る権利」を守ることを通じて、平和と民主主義を守っていこう、ということだ。社会には地域、職域ごとに「九条の会」が立ち上がっている。「マスコミ九条の会」というのもあるが、わたしは加入していない。わたしが全力を傾注すべきは労働組合であり、新聞労働者は「9条」の前に「21条」だと思っている。「21条」を通じて「9条」を考えていく、ということでもいい。その運動をつくり上げた上で、各地の「九条の会」と連帯できればいいな、と思う。
 春闘方針案を議題とする新聞労連の臨時大会を2月1-2日に予定している。臨時大会を経て春闘も本格化する。賃上げ・経済闘争では、今年はここ数年とは違い産業界に「ベア復活」の兆しもあるが、新聞産業はどうだろうか。決して楽観はできない。
[PR]

by news-worker | 2006-01-07 09:30 | 平和・憲法  

現役デスク、記者座談会「今、憲法を伝えよう」

 明けましておめでとうございます。
 新年早々だが宣伝を一つ。新聞労連が加盟する日本マスコミ文化情報労組会議(略称MIC、議長はわたしが務めている)が、日本ジャーナリスト会議(JCJ)と共同で運営しているWEBサイト「憲法メディアフォーラム」に、新春企画として新聞、放送メディアの現役デスク、記者らによる座談会「今、憲法を伝えよう」を掲載している。
 このサイトは、憲法改悪を阻止するためにジャーナリストとメディアの労組が市民と連帯・共闘を深めることを目的として、昨年4月に立ち上げた。数ある憲法関連サイトの中でも特色を出すために、メディアの憲法報道を主要なテーマの一つにしている。わたしも編集委員の一人なのだが、率直に言ってコンテンツの拡充が課題になっている。
 そんな中、昨年秋の編集委員会で、自民党の新憲法草案の最終決定をどうサイトで扱うかという話になった。その議論の中で、改憲問題の報道スタンスがメディアの内部ではどうやって決められているのか、社説について組織内で広範な議論があるのか、などをテーマに座談会をやることを決めた。メディアの現状を広く一般の市民にも知ってもらい、意見や感想、批判も寄せてもらいたい。そうであってこそタイトル通りの「フォーラム」になる。
 収録は12月上旬に行った。わたしも進行役で実名で登場するが、新聞、放送、NHKから出席していただいた方々は匿名にしてある。サイトのトップページからPDFファイルを開いて読むことができる。ぜひご一読を。そして感想を同サイト宛て(トップページ内のメインメニューから送信できる)にお送りください。

 「憲法メディアフォーラム」トップ
[PR]

by news-worker | 2006-01-01 01:10 | 平和・憲法  

自衛隊のイラク派遣が延長

 イラクへの自衛隊派遣の1年延長が8日の臨時閣議で決まった。大義なき気戦争だったことが明白になって久しいイラク戦争への支持も撤回せず、小泉首相の記者会見は、相も変わらずで説明責任を果たしていない。8日夜に、「派遣延長決定に抗議し、自衛隊の即時撤退を求める」との趣旨の新聞労連委員長の声明を発表した。一両日中に新聞労連HPにアップします。
 今日から沖縄に2泊3日で出張。在日米軍の再編で渦巻く現場の憤怒に触れて来たい。

追記(12月11日)
 上記の委員長声明が新聞労連ホームページにアップされた。こちらへ。
 
[PR]

by news-worker | 2005-12-09 06:10 | 平和・憲法  

伊藤真さんの憲法のはなし

 10月12日に東京で開催した新聞労連の中央委員会で、司法試験の受験指導のキスパートとして知られる法学館・伊藤塾の伊藤真さんを招き、憲法問題についての講演をお願いした。その講演録要旨がまとまり、新聞労連のホームページにアップされた。
 わたし自身が伊藤さんの話で印象に残っているのは、人はみな間違うことがあるので多数決がいつも正しいとは限らない、そのために頭が冷静なうちに「憲法」という基準を決めておくのだ、という点だ。多数決で決める民主主義に対し、憲法で判断の基準をあらかじめきめておくのが立憲主義。だれも口にしないが、実は今は立憲主義が大事だと伊藤さんは強調した。
 講演録はそんなに長いものではないので、ぜひ、ご一読を。

 新聞労連ホームページ「伊藤真さんの特別講演」
 (参考)
 「法学館憲法研究所」トップ
[PR]

by news-worker | 2005-11-15 00:47 | 平和・憲法  

日米軍事一体化と憲法

 沖縄の米海兵隊・普天間基地の移転先が名護市・辺野古折衷案で決着、米海軍が神奈川県・横須賀基地に原子力空母を配備、自民党が新憲法草案の最終案を決定、在日米軍の再編で日米が中間報告と、先週は軍事がらみの大きなニュースが相次いだ。ひと言で言って、後戻りできないところへズルズルと向かっているのではないかと危機感を深めている。
 これらのニュースはみな、米国が世界中どこでも好きなときに好きな所で軍事行動を起こすための動きだ。それぞれに書いておきたいことは山のようにある。
 在日米軍再編では「沖縄の負担軽減」がクローズアップされた。中でも海兵隊の7000人グアム移駐は、目玉としてさかんに宣伝されている。また、嘉手納基地のF15戦闘機部隊の訓練も、一部を本土の航空自衛隊の各基地で分散して行う。それだけを聞けば、確かに沖縄の基地負担の軽減につながるかのように聞こえる。しかし、実態は違う。
 米軍は「9・11」の同時多発テロ後、世界戦略を練り直し、いついかなる事態にも軍事的に対応できるように、世界的規模で再編を進めている。今回の在日米軍の再編もその流れであり、米国は「沖縄の負担軽減」のために在日米軍を見直しているのではない。米国にとっては、いざというときに部隊をいかに迅速に動かせるかが最大の関心で、それさえ担保できれば日本政府が政治的宣伝で何を言おうが、「沖縄の負担軽減」をいくらアピールしようがどうでもいいことだ。
 海兵隊の移駐で言えば、グアムに移るのは司令部要員が中心で、引き続き沖縄には普天間基地の代替基地も含めて広大な海兵隊の基地が残り、実戦部隊がとどまる。米軍は全世界に強固な通信網を張り巡らせており、有事の際には、通信機能が維持されていれば司令部はどこにいようがまったく問題にならない。
 F15の訓練移転に至っては、実は米軍機が本土の自衛隊基地をわがもの顔で使用できるようになることが本質だ。20年も前になるが、記者になって振り出しの勤務地が青森だった。冷戦下で米軍三沢基地にF16戦闘機部隊が配備されたころだった。何が起きたかというと、東北中の空港にF16が「緊急着陸」と称して頻繁に着陸するようになった。実際に墜落事故も複数回、起こしている。米軍機が来るということは、そういうことだ。
 今回の再編には、神奈川県のキャンプ座間や東京の横田基地で、米軍と自衛隊が同居する計画も含まれている。それらを総合して言えるのは、日本全体がオキナワ化するということではないのか。米軍と自衛隊の一体化にほかならない。それが日本の安全保障として望ましい道だとは到底考えられない。
 この米軍再編と改憲問題は直接の関係がある。9条を変え、自衛隊を自衛軍とし、専守防衛から海外派遣へ主任務を拡大することは、ほかならぬ米国がいちばん望んでいることだからだ。逆に言えば、9条を現行のまま維持できれば、危ういところで最後の歯止めは確保できる。日本と日本人が戦争に加わることをギリギリのところで拒否できる。
 衆院選での自民圧勝もあり、在日米軍再編はおそらく計画通り進む。司法もあてにならない。これまでも米軍基地絡みの訴訟では、ことごとく「統治行為論」、つまり高度の政治判断に基づくもので司法判断にはなじまないとして逃げて来たからだ。
 しかし、改憲問題はまだ望みがある。憲法を変えるには国民投票を経なければならないからだ。今、現実に何が進行しているかに目を向ければ「現行憲法は時代遅れだから改正が必要」との主張がまやかしであることに多くの人が気付くと思う。在日米軍再編の中間報告と自民党の新憲法草案の最終案が、タイミングを合わせるかのように出てきたことは象徴的だ。
 わたし個人としては、多少、防衛関係の報道に関与した経験から、何よりも軍事情報の平易な報道がもっと必要だと思っている。報道の量、頻度もさることながら、「分かりやすさ」が必要だ。
 最後に、こうした軍事と改憲の動きとともに、いわゆる「ビラまき逮捕」事件の続発や共謀罪新設などが同時並行で進んでいることに深刻な危機感を抱いている。神奈川県では厚木基地の監視グループが、定点観測のポイントにしているマンションに、いつものように入ったところで「建造物侵入」の現行犯で逮捕される事件も起きている。報道する側にも危機感が必要だ。
[PR]

by news-worker | 2005-10-31 01:11 | 平和・憲法