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だれもが通ってきた道

 昨年、新聞労連の「就職フォーラム」を経て、今春、新聞社や放送局に入社した新人たちから、ぽつぽつと「配属先が決まりました」との連絡が入ってきている。早く現場に出て働きたい、と希望に燃えているさまが伝わってくる。
 振り返れば、わたしもそうだった。いかに自分が知らないことが、この社会にはたくさんあるか。一つでも、ふたつでも、自分自身の手で社会に伝えていきたい…。
 そしてまた、20数年の自分の記者生活を振り返ってみる。いったい、いかほどの仕事を自分はしてきたのかと。来年の今ごろは、自分は何をしているのだろうかと。気が付けば40代半ば。「人生の残り時間」などという言葉が頭に浮かんだりする。
 記者の仕事はどこまで行っても、「人と会う」こと。「人の話を聞く」こと。記者生活は始まったばかり。たくさん人に会い、たくさんのことを知ってほしい。それを伝えてほしい。人との出会いを大切にしてほしい。一生の付き合いになる人もいるはずだ。

 かたや今、新聞記者を目指して就職活動真っ只中の学生たちからも便りが来る。焦ることはない。今、君たちが感じている不安な気持ちは、わたしを含めて先輩たちがみな抱いてきたことだ。じっくり行こう。
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by news-worker | 2006-04-16 23:16 | 身辺雑事  

米沢9条の会

 昨日(13日)は、山形県米沢市で「憲法9条を護る米沢市民の会(米沢9条の会)」の総会に呼んでいただき、「戦争で最初に犠牲になるのは真実」という題で講演をさせてもらった。ことし1月に、山形県平和センターの学習会で講演したのを聞いていた米沢9条の会のメンバーの方がおり、あらためて声を掛けていただいた。
 わたしがいちばん話したかったのは、戦争をする国の社会では、必ず自由にモノを言うことができなくなるということ、だからメディアは「表現の自由」「知る権利」を脅かす動きには、だれよりも敏感でなければならない、ということだ。このことは、イラク戦争や61年前までの日本のことを考えれば、自明と言ってもいいと思う。
 しかし、現実には、今や「共謀罪」新設の動きや、いわゆる「ビラまき逮捕」事件の続発など「表現の自由」「言論の自由」「知る権利」は危機的状況なのに、そのことに対するメディアの危機感は薄い。このままでは、日本のメディアは戦争を止めることができないかもしれない。
 他産業の労働組合の集会や、市民集会に呼ばれると、わたしは「『ひどい』と思った記事には抗議をしてください。でも『これはいい記事だ』と思ったら、ぜひ新聞社に激励の電話を。それが現場で働いている記者の何よりの励みになります」とお願いしている。きのうも講演の最後にお願いした。メディアは、その中で働いているわたしたちと、わたしたちが発信している情報の受け手である読者や市民とがつながっていかないと変われない、と思う。

 講演後は、米沢9条の会の皆さんと懇親会で色々とお話しさせていただいた。楽しい時間だった。会は昨年3月に、護憲を掲げる社民、共産、新社会の政党3党と、市民団体5団体を中核に結成。しかし、その以前に6年間にわたって、前身となる「憲法9条を護る米沢市民集会」の活動があったといいう。地域に根ざした〝一点共闘〟の運動を持続させている米沢の皆さんに、深い敬意を覚えた。皆さんと接して、元気と勇気を分けていただいたような気がしている。ありがとうございました。

 米沢は米沢牛が有名だが、江戸期の名君上杉鷹山公でも知られる。上杉家はどんなに苦しい時でも、決して家臣をリストラしなかったと聞いた。そういう歴史を市民が誇りに思っている。今日は東京でスケジュールが入っており、残念ながら朝の山形新幹線で帰京したが、次の機会にはぜひともゆっくり歩いてみたい町だった。
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by news-worker | 2006-04-14 18:37 | 平和・憲法  

在日米軍はやはり「占領軍」だ

 12日の東京新聞夕刊1面トップに、興味深い特ダネ記事が載った。
 横須賀基地でスト計画~全駐労が国・米側と対立
 一部を引用する
(引用開始)
 在日米軍基地に勤務する日本人従業員でつくる全駐留軍労働組合(全駐労)が、雇用条件をめぐり国・米軍側と対立し、十四日に開かれる防衛施設庁との団体交渉で決裂した場合、米海軍第七艦隊が拠点とする在日米海軍横須賀基地で、十五年ぶりの大規模ストライキを計画していることが分かった。スト突入となれば同基地を事実上の母港とする空母キティホークの出港が遅れ、米軍の作戦行動に支障が出る可能性もある。
(中略)
 在日米軍で働く日本人従業員の雇用や労働条件は、日米地位協定で原則として「国内法令で定めるところによる」とされているが、実際は米側の同意がなければ待遇の変更はできず、国内法令の適用除外となっている。
 全駐労が求めているのは、四月一日から施行された「改正高齢者雇用安定法」に基づく、六十歳以上の従業員の雇用継続。同法は年金支給年齢の段階的引き上げに対応し、原則として希望者全員の雇用を継続するよう事業者に義務付けている。その方法は▽定年の引き上げ▽労使間で合意した継続雇用制度の導入▽定年制の廃止-があり、民間企業はほぼ制度を整備したとされるが、在日米軍基地の日本人従業員の扱いはいまだに結論が出ていない。
(引用終わり)

 記事の書きっぷりは、どちらかというとストで米海軍の行動に支障が出かねないところに焦点を当てているが、わたしはこのニュースの本当の意味は、在日米軍基地の理不尽さが基地従業員の処遇に表れていることだと思う。

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by news-worker | 2006-04-13 01:30 | 平和・憲法  

質問に記者の世界観が問われている

 来春入社する新入社員の選考が本番を迎えている。最近の新聞社の採用試験では、模擬記者会見をやるところがある。採用にかかわる業務を担当したことはないが、「なるほどな」と思う。
 昨年秋や今年2月に、新聞労連が単独で、あるいは他のマスコミ産業労組と共催した就職フォーラムに参加した学生3人がきのうの午後、書記局を訪ねてきてくれた。最近の就職活動の経過報告を聞きながら、話題は模擬記者会見になった。
 「採用の上からは、何がポイントになるんでしょうか」と学生。「どんなシチュエーションかにもよるが、採用側は、君たちがどんな質問をするのか、を見ているのではないかな」と答えた。
 記者会見には、「メディアで取り上げてほしい」と、会見する側が強く欲求を持っている場合と、できれば大きく取り上げてほしくないのだが会見しないわけにはいかなくなった場合、という大きく分けて2つのパターンがある。いずれの場合でも、ニュースとして意味があるかどうかは、どんな質問をするかにも掛かってくる。
 後者の場合、典型的には企業や公的機関の不祥事だろう。この場合、質問はさして難しくない。「ほかに隠していることはないのか」「だれがどういう形で責任を示すのか」など、模擬試験の学生たちでも次々に質問は浮かぶと思う。
 さて、前者の場合。典型的な例は企業の新商品発表がその一つだろうか。「恐らく、会見する側は、いいことずくめの話しかしない。しかし、その中には、ぱっと見ただけでは分からない落とし穴があるかもしれない。新商品が、欠陥商品かもしれない。そういうことを意識しているかどうか、といったところが見られてるんじゃないかなあ」と学生たちには話したが、今ひとつ、ピンと来ていない様子。「記者会見に限った話ではないが、記者の仕事は、目の前にいる人の頭の中にある情報を、取材によって引き出し、社会に伝えること。だから、目の前にいる人が持っているであろう情報のうち、社会にとっては、何の情報がどんな意味を持っているかを考えて質問しなければならない。取材の質問というのは、言い方を変えれば、質問者の社会への向き合い方、世界観が問われる」と説明したが、学生たちの顔には「?」の表情が。

 けさ、学生のうちの一人の日記を見ていたら、昨日のことを書いていた。わたしと会った後、お互いに模擬記者会見の設定を想定して、〝対策会議〟をやったらしい。想定の一つは「ある電機メーカーのドライヤーが発火の原因となる火災が複数件発生。とある新聞社がこの事件を報道して、会社は急遽記者会見」。なかなかリアルだな、と思いつつ読み進む。
 まずは「防げた事故ではなかったのか?」という観点からの質問。不良品情報は報告されていなかったのかとか、不良品情報に基づいて製品の回収や修理の呼びかけなどの措置を取っていたのかなど。次に、コスト削減で生産管理がずさんになっていたのではないか、という観点からの質問。そのうちに「つまり、商品は会社の鏡なんだね」と気付いたことがつづられている。
 学生たちは記者の取材の意味について、少し理解してくれたようだ。
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by news-worker | 2006-04-12 10:33 | 新聞業界への就職  

「特殊指定」問題の本質を見極めなければならない

 きのう(8日)の午後、都内で開かれたシンポジウム「公取委の『教科書特殊指定』廃止はなぜ問題か」に、パネラーの一人として参加した。市民団体「子どもと教科書全国ネット21」や出版労連の主催。
 公正取引委員会は昨年11月、独禁法で禁止されている「不公正な取引方法」をめぐり、事業分野ごとに個別に指定している「特殊指定」の見直しを表明。対象には新聞のほかに、教科書も含まれている。教科書の特殊指定は①教科書業者側が教育委員会など選定側に利益供与をしてはならない②教科書業者側は他社のひぼう、中傷をしてはならない-の2項目。公取委は既に3月16日に「廃止」の方針を一方的に表明し、4月17日まで一般からの意見を受け付けている。そういう中での緊急シンポで、わたしは新聞特殊指定の改廃に反対している立場で呼ばれた。

 共同通信がシンポのもようを取材し配信、その記事が9日付けの東京新聞に掲載されている。同紙のサイトでは当該記事が見当たらないので、記事中で紹介されているわたしの発言部分を引用する。
「美浦克教新聞労連委員長は『教科書の特殊指定廃止は新聞にも共通した問題。新聞社間の価格競争が激化、淘汰で多様な言論がなくなる』とし、『公取委の規制緩和一辺倒の考えが必ずしもいい結果を生むとは限らない』と疑問を投げ掛けた。」
 

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by news-worker | 2006-04-09 11:37 | メディア  

奇策で名護市長は押し切られたが、決着ではない

 在日米軍再編問題で最大の焦点になっている米海兵隊・普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古地区への移設問題が新たな段階に入っている。7日夜に額賀防衛庁長官が名護市の島袋吉和市長との会談で、滑走路2本化という〝奇策〟を提示し、島袋市長が受け入れを表明。しかし、稲嶺恵一沖縄県知事は8日に額賀長官と会談し、この修正案を容認しないことを伝えたと報道されている。
 政府は市長の基本合意を取り付けたことで「地元との協議は整った」と強弁し、米国との最終報告書の取りまとめに向かうのは間違いないだろう。

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by news-worker | 2006-04-09 01:42 | 平和・憲法~沖縄  

新入社員の皆さんへ~労働組合に入ろう

労働組合は何のためにあるのか
 わたしたち一人ひとりは、会社の中や職場の中では弱い存在だ。会社から理不尽な命令を受けても逆らえない。残業しても残業手当が出ないかもしれないし、入社前に受けた説明と違って、意にそぐわない仕事を押し付けられたり、行きたくない職場に異動させられるかもしれない。そうなっても、文句も言えないし、逆らったら解雇されることだってある。だから、弱い立場のわたしたちは、団結することで会社と対等の立場に立ち、わたしたちの働き方を、わたしたち自身も加わった場で決めていく。それが労働組合だ。

労働組合は何によって守られるのか
 憲法28条はいわゆる労働三権を保障している。団結権(労働組合をつくる権利)、団体交渉権(使用者と交渉する権利)、団体行動権(ストライキなど)。その上で、労働組合法など、働く者の権利としての労働組合を保障する諸々の法律が定められている。

労働組合は何をするのか
 組合員の要求をくみ上げ、会社に提出して交渉し、要求を実現させる。賃上げによって組合員の生活を守り、労働条件の向上によって、組合員の健康を守る。そうすることで、わたしたちはわたしたちの仕事が社会に負っている責任を果たすことができる。だから、会社が法令違反や反社会的な行為をしているのなら、わたしたちはそれを見逃すわけにはいかない。

労働組合はなぜ戦争に反対し、平和を求めるのか
 戦争になれば、戦場に行って殺し殺され合いをさせられるのはわたしたち自身。たとえ、わたしたち自身が戦場に行かずに済んでも、わたしたちの仕事が戦争遂行を支えることになれば、わたしたちは殺人行為に手を貸すことになる。そうなれば、わたしたちは自分の仕事に誇りを持てない。社会に貧困がはびこり、貧富の差が広がって矛盾が増大すれば、戦争が引き起こされることは歴史が示している。そうならないために、働く者の生活と地位の向上が必要であり、労働組合が重要な役割を担う。

労働組合はだれのものか
 労働組合は、労働者であれば、だれもが等しく手にできるはずの権利。しかし、社会には、入りたくても入れる労働組合が身近にない人たちが大勢いる。身近に労働組合があるのなら、あなたは幸運だ。労働組合に入ったら、次は労働組合という権利を手にしていない人たちが、どうやったらその権利を手にできるのか、そのためにわたしたちが何をすることができるか、考えなければならない。それもまた団結であり、連帯だ。

 さあ、労働組合に入ろう。
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by news-worker | 2006-04-06 01:40 | 労働組合  

ブログ開始1年~実名で運営するルールなど

 書こうと思いながら随分と時間が経ってしまったテーマがある。経済産業省消費経済部長の谷みどりさんが、2月1日に個人で開設したブログが、3週間後に閉鎖した問題だ。電気用品安全法(PSE法)を取り上げたエントリーによって「炎上」したことが理由だと指摘されている。省内でも、勤務時間中のブログ更新が国家公務員法の職務専念義務違反に当たるとして、注意を受けたという。この件については朝日新聞記事が詳しく紹介している。
 遅まきながらも、この件について書こうと思ったのは、このブログ「ニュース・ワーカー」が昨年の4月4日に運営を開始してちょうど1年を迎えたからだ。谷さんのブログのことは、閉鎖が話題になるまでわたしは全く知らなかったが、組織人が実名で、個人の立場と言いながら組織のことにも言及するという点では、共通点がある。

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by news-worker | 2006-04-04 01:20 | 身辺雑事  

福岡銀行が派遣社員を正社員化~経営者の見識か

 労働組合運動の分野にも情報紙のような媒体があって、きょうの昼間、書記局で書記さんの一人が目を通していて気が付いたのだが、福岡県の地方銀行の福岡銀行が今月から、派遣社員400人を行員としての直接雇用に切り替えた。派遣社員の〝正社員化〟だ。ネットで福岡銀行のホームページをチェックしたら、3月3日に公表していた。
 それによると、対象は「福銀オフィスサービス株式会社」から受け入れている派遣社員。同社は恐らく、派遣先をグループ内企業に限定した、いわゆる「もっぱら派遣」だろう。「営業現場における従業員の一体感醸成と組織基盤の強化による更なるサービス品質の向上を目的として実施」ということらしい。本年度に「福銀オフィスサービス」が採用する社員156人も、また来年度以降採用する社員も、同様に行員として直接雇用するという。
 大きなニュースになった記憶がなかったので、あらためてネットで検索したら、日経新聞が九州・沖縄の地域ニュースとして報じていた。あと共同通信も配信したようだ。ニュース・バリューは高いと思うのだが、どうして全国ニュースにならなかったのか。

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by news-worker | 2006-04-03 22:59 | 労働組合  

民主党の決断は遅すぎた

 以前のエントリーで「〝騒動〟だったのに、これでは〝事件〟だ」と書いた民主党のホリエモン(堀江貴文前ライブドア社長)メール事件は、3月31日に前原誠司代表ら民主党執行部の総退陣と、永田寿康衆院議員の議員辞職が決まった。これを受けて、永田議員が氏名を明かした情報提供者に対する衆院懲罰委員会での証人喚問も取りやめになった。これ以上の悪い前例の積み重ねは避けられたと思うが、もっと早くに決断のタイミングがあったはずだ。遅すぎた。

 国会は予算審議が終わり、これから重要法案の審議が始まる。共謀罪新設、改憲手続きの国民投票法など、社会と民主主義のあり方の根本にかかわる重要法案のほか、在日米軍再編問題も重大な局面だ。米政府との最終報告取りまとめに向けて、日本政府が沖縄をはじめとする関係自治体の反対を押し切ろうか、という状況になっている。そんな大事な時期に、野党第一党が機能しないことに、いら立ちを感じる。
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by news-worker | 2006-04-01 09:43 | 社会経済