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(続)国会の場でNHKへの政治介入が堂々と

 前々回のエントリーで取り上げた自民党・柏村武昭参院議員の国会質問に名を借りたNHK政治介入発言に対し、メディア研究者らが29日、発言の撤回を求めた(共同通信記事)。
議員の質問は「政治介入」 NHK番組めぐり申し入れ [ 06月29日 19時31分 ] 共同通信
 日の丸・君が代を扱ったNHKの報道番組について、柏村武昭参院議員(自民)が参院総務委員会で批判的に質問したのに対し、メディア研究者ら約1100人が29日、「国会審議に名を借りた政治介入だ」と発言の撤回を申し入れた。
(中略)
 申し入れは、日の丸・君が代をめぐって世論は分かれており、学校での君が代斉唱時に起立しない教師を処分する東京都の方針と、それに反対する教育現場の声を番組が伝えたのは「当然」などと主張している。

 15日の柏村発言を報じたメディアはなかったし、ネットで見る限りは29日の申し入れも共同通信と地方紙がいくつか報じているだけだ。
 手元の紙面では、東京新聞が30日朝刊の特報面で比較的詳しく報じているが、見出しは「自民議員のNHK番組質問 どこまで許される?」と抑え気味。朝日新聞には記事の掲載はない。
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by news-worker | 2006-06-30 11:04 | メディア  

派遣労働をめぐる争議で敗訴~司法は現状追認しかできないのか

 この2年間、支援にかかわってきた派遣労働をめぐる争議の民事訴訟で昨日(29日)、東京高裁の判決があり、一審の東京地裁に続いて原告側の敗訴となった。全国的にみても先駆的なケースなのだが、一、二審連敗ではニュースになるわけもなく一行も報じられていないが、雇用と労働の現場で実際に何が進行しているか、その実態に虚心に向き合おうとしない司法には怒りを覚える。
 原告は加藤園子さん。被告は教科書出版社である「一橋出版」(東京都杉並区)と人材派遣会社「マイスタッフ」(同)。裁判で求めているのは、加藤さんを一橋出版の教科書編集の現場に戻すことだ。争議は出版労連が中心になって取り組み、わたしが支援共闘会議の議長を務めている。
 加藤さんはマイスタッフから一橋出版に派遣され、高校の家庭科教科書と副教材の作成を2年間にわたって一人で担当。教科書が検定を通過した後の03年5月、本人に雇用継続の意思があったにもかかわらず、一橋出版から雇い止めが通告された。これだけなら「どこがおかしいの」と思われるかもしれない。しかし、加藤さんが経験したことの一つひとつが、実は「派遣」を隠れ蓑として、一橋出版が違法な労働者使い捨て策をとっていたことを示している。

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by news-worker | 2006-06-30 10:05 | 格差社会  

国会の場でNHKへの政治介入が堂々と

 あるメーリング・リストで知ったのだが、6月15日の参院総務委員会で自民党の柏村武昭議員が日の丸・君が代をめぐり、NHKの番組制作への政治介入に等しい質問を重ねた。既に抗議と発言の撤回を求める動きも起きているのだが、メディアは取り上げていないし一般には知られていないのではないだろうか。
 いかに法制化されているとはいえ、日の丸・君が代をどう考えるかは個人の内心の自由にかかわる話だし、公共放送といえどもメディアがどう報じるかは言論、表現の自由の問題だ。柏村議員の質問を看過することは、NHKのみならずメディア全体にとって自らの首を絞めるのに等しい。今からでも取り上げるべきだ。

 やりとりの録画は、参議院のインターネット中継で見ることができるし、柏村議員のホームぺージにもアップされている(確信犯なのだ)。
 以下はメーリング・リストからの転載。

 以下、柏村議員の質問の流れ(質問開始以降の時刻)です。
 02:55頃 放送終了時に君が代を流さなくなったのはなぜかと追及
 05:30頃 トリノオリンピックで荒川選手が日の丸を身体に巻いてウイニング・ランをした場面を放映しなかったのはなぜかと追及
 06:55頃 日本ダービーの折、ソプラノ歌手が君が代を独唱した場面を放映しなかったのはなぜかと追及 
 08:55頃 去年3月に<国旗・国歌で教師処分・・・・>を放送した「クローズアップ現代」が都教委の規制を強制と断じたのは国歌・国旗について偏見を持たせる番組作りではないかと追及
 11:25頃 「自主自律をいつも強調されている永井副会長さんから、NHKの国歌・国旗に対する明確なご見解を」と永井副会長に答弁を指名
 (永井副会長答弁)「(国旗・国歌が法制化された経緯等をおさらいしたうえで)今いろいろとご指摘ございましたけれども、公共放送として、対立する意見については双方の意見をお出しするということで、公共放送として間違った放送をしているとは考えておりません。」
 (柏村議員)
「では、なぜ〔都教委から〕抗議されたんですか。私は見ていて、非常に偏った放送だと思いました。」
 (永井副会長)
「都教委から抗議されたことは事実でございますが、その一方で、また東京都の指導に対しては現在裁判も行われておりますし、教育現場からの反応ということも私ども放送では取り上げております。その双方をお出しして、あとは視聴者の的確な判断におまちするというところではないかというふうに思っております。」
 (柏村議員)
「・・・・・・これで私は、今副会長がおっしゃったようなもう公平にやっているという考え方は非常に納得できかねます。・・・・・・・やっぱり、国歌・国旗はもう法律までなってて、国の誇りですよ。旗も、歌も。そうすると、やっぱりそれを助長するような責務があるんじゃないでしょうかね、NHKは、公共放送としてはですよ。・・・・・・・・」
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by news-worker | 2006-06-27 15:07 | メディア  

軍隊は住民を守らない~沖縄戦の教訓

 23日は沖縄の慰霊の日だった。1945年のこの日、沖縄の日本軍守備隊、第32軍の牛島満司令官、長勇参謀長が自決し(22日という説もある)、日本軍の組織的抵抗が終わったとされる。しかし、実際には沖縄各地で生き残りの日本兵の散発的な抵抗は続いたという。米軍が沖縄作戦の終了を宣言したのは7月2日だった。
 戦後60年の昨年、新聞労連は「しんけん平和新聞」創刊号を発行し、1945年の日本の敗戦を振り返った。その中で、新聞労連沖縄地連に、2ページにわたって沖縄戦の特集紙面を制作してもらった。その紙面からいくつか、データを拾ってみる。
 沖縄戦では、約90日間の戦闘で住民9万人以上が死亡した。日本兵の戦死者は約10万2千人、米軍の戦死者は5500人。住民の犠牲には多くの「集団死」が含まれている。日本軍は、住民が捕虜となり米軍に軍事情報が漏れることを恐れ、投降を厳しく禁じていた。一方で住民は「鬼畜米英」、つまり米軍に捕まると男は殺され女は陵辱されると信じ込まされていた。したがって、避難住民は米軍が迫ってそれ以上の避難が困難になると、集団で自ら命を絶つしかなかった。「スパイ」と疑われた住民が、日本軍に殺害された例もあった。
 「しんけん平和新聞」では、それまで「集団自決」と呼ぶことが多かったのを「集団死」にあらためている。「集団自決」では、住民が主体的に死を選択したように受け取られかねない。実際は、強制されたに等しい死だった。
 あらゆる意味で、沖縄戦の教訓は〝軍隊は決して住民を守らない〟ということに尽きる。そもそも、日本軍にとっての沖縄戦の位置づけは、本土決戦までの時間稼ぎだった。一日でも長く抵抗し、一人でも多くの米兵を殺すことが目的だった。沖縄の防衛と住民の保護が目的だったわけではない。
 戦争体験の風化が指摘されている。沖縄でもそうだという。戦争体験、なかでも「軍隊は住民を守らない」というその本質を継承していくのは、新聞をはじめとしたメディアの責務でもある。

 日本の敗戦後、沖縄は日本から切り離されて米軍の軍政下に置かれる。沖縄が本格的に「基地の島」となるのはそれからだ。住民が基地の被害を受ける側面だけでなく、ベトナム戦争では米軍の出撃拠点となり、加害者の側面も加わった。1972年に日本に〝復帰〟した後も、イラク戦争で沖縄の海兵隊が現地に出撃した。先の在日米軍基地再編計画の推移をみても、「世界の中の日米同盟」の下で、沖縄は負担軽減どころか、その基地機能はむしろ強化され、恒久化されようとしている。
 沖縄は61年前に一度、日本の防衛のために捨て石にされた。そのために戦後は米軍基地の重圧にあえぎ続けている。そして今また、2度目の捨て石にされようとしているのではないか。その状態では、慰霊の日にいくら鎮魂の言葉を口にしても、犠牲者は浮かばれない、と思う。
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by news-worker | 2006-06-25 00:43 | 平和・憲法~沖縄  

新しい労組にとって後ろ盾は重要だ~「ケンタッキー・フライド・チキンにも労組誕生」で思うこと

 きのう(22日)の報道になるが、ファスト・フード大手の一つ「日本ケンタッキー・フライド・チキン」(KFC)の店長らが、同社初の労働組合を立ち上げた(朝日新聞の記事)。
(引用開始)
 現在のメンバーは20人で、横浜市の店舗で店長を務める濱口徳之委員長(45)をはじめ神奈川県内の店長が中心。背景には、サービス残業や休日出勤を事実上余儀なくされる店長らの負担増があるという。
 濱口委員長は「会社が成長した最大の理由はカーネル・サンダース秘伝のスパイスではなく、現場で働く社員のサービス残業。現場の様々な問題を会社側と対話し解決するには労組をつくるしかないと考えた」と話す。
 同社の直営店では約1万3000人の非正社員が働いている。だが、誕生間もない労組がどれだけの成果を上げられるか見通しがつかないので、当面は約1000人の正社員を対象に加入を呼びかける。
 政治色を排して組合費を安く抑えるため、既存の労働団体の後ろ盾は受けないことにした。労働問題に関する市販の解説本を回し読みし、地元自治体の労働相談に出向くなど「労働問題の素人が手探りでスタートさせた」(濱口委員長)。連合の全面的な支援を受けて組織拡大を図るマクドナルドの労組とは対照的だ。
(引用終わり)

 手作りの労働組合結成ということだろうか。恐らくは、大変な苦労があったと思う。応援したい。しかし、一方で「素人が手探りでスタート」という点に不安も感じる。ただちに上部団体へ加盟するかはともかく、しっかりとしたアドバイザーは付いているのだろうか。
 外資系のファスト・フード産業となれば、労務政策は米国本社の意向が反映されるのは間違いない。会社がその気になれば、正社員1000人のうちの20人の組合を無力化するのは簡単だ。会社の息がかかった正社員で構成する第二組合を組織し、社員の過半数を押さえてしまえばいい。つまり何でも会社の言いなりになる「御用組合」を用意し、賃金や労働条件はその御用組合との間で決めてしまえば、少数組合は何もできない。
 もっと直接的な労働組合つぶしもある。多国籍巨大資本は恐ろしい。昨年、労働組合の国際会議の場で聞いた話(以前のエントリー)だが、スーパーマーケットの「ウォル・マート」は、組合結成の動きを見せた従業員を解雇したり、同じく組合が結成されそうになった店舗を閉店にしてしまったりする。もちろん、日本でそんなことをやれば不当労働行為だが、会社側はもっともな口実を用意しているし、そういったことを許すか許さないかは、基本的には労使間の力関係だ。すべてを法律が守ってくれるのではない。だから、マクドナルドの労組のように、頼りになる後ろ盾を持って会社と対決していくことは、実は重要なことだ。
 労働組合は、作ることもさることながら、作った後こそ真価が問われる。ケンタッキー・フライド・チキンの労組にはがんばってほしいし応援もしたいが、すべてを自分たちだけでやろうとせず、〝けんかのやり方〟を知っているアドバイザーに付いてもらうことを勧めたい。
 
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by news-worker | 2006-06-23 13:47 | 労働組合  

イラクの自衛隊取材ルールは今も有効

 日本政府は20日、イラク・サマワに派遣している陸上自衛隊部隊の撤退を正式に決めた。主体的な判断ではなく英軍の撤退に合わせて、とか、遅きに過ぎるとか、色々と思うところはあるが、これから始まる撤退作戦をメディアが報じていく上で、気になることがある。2004年3月に、防衛庁と日本新聞協会、日本民間放送連盟(民放連)の3者が確認した現地取材のルールのことだ。その中に、どうみてもメディア側が防衛庁、自衛隊の事前検閲を容認したとしか解釈できない項目が含まれている。
 これまでは、サマワに日本の大手メディアが常駐していなかったから、この検閲規定が問題になることもなかった。しかし、自衛隊の撤退はそれ自体が大きなニュースだ。撤退中の自衛隊部隊が襲撃を受けでもすれば、国際的なトップニュースになる。当然、日本の大手メディア各社も現地取材を考えるはずだ。個々の取材場面では、検閲規定をめぐり防衛庁・自衛隊とメディア側の対立が生じるのではないか。生じなければおかしい。唯々諾々と〝大本営発表報道〟を行うつもりなら別だが。

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by news-worker | 2006-06-22 21:11 | メディア  

契約社員の記者3人が正社員に復帰~宮古毎日労組

 以前のエントリーでも何回か紹介(ここなど)した沖縄県・宮古島の地域紙「宮古毎日新聞」の労働組合のその後。きょう(19日)、第2回の団体交渉が開かれ、わたしも上部団体の立場で前回の初団交に引き続き出席した。
 5月の労組結成通告と同時に会社に提出していた要求のうち、いくつかに回答があった。正社員から契約社員に身分を変更されていた記者職3人(うち1人は労組委員長)について、会社は正社員に戻すと回答。また、契約社員として採用した従業員についても、3年以上の勤務実績があり、本人が希望する場合は正社員とすることを検討することも約束した。
 これは労働組合を立ち上げたからこその成果と言っていい。3人は契約社員への身分変更を納得して受け入れていたわけではない。断れば職を失うことになるかもしれないと考え、おかしいと思いながらも、不満に思いながらも従っていた。労働組合ができたことによって、個人の弱い立場では口にできなかった思いを会社にぶつけることができた。
 団交では、労働組合活動の保障をめぐっても①職場での労組関係文書の配布(ただし勤務時間外)②組合ファクス設置スペースの提供③掲示板1箇所の提供-などの前進回答があった。一方で、空き時間の会社会議室の利用はかたくなに拒否。理由もまったく納得できない。とりあえず、合意できなかった点は次回以降も話し合いを続けることとした。
 超ワンマン経営を続けてきた社長は、組合結成通告からそろそろ1カ月が経つ今も組合への警戒心は消えていない、という印象。それも無理はないかもしれない。しかし、前回の団交に比べれば、労働組合とは何なのかを少し理解した様子もうかがえた。また、従業員を個別に呼んで組合敵視の発言をするようなことも最近はなくなっている。団体交渉にも応じ、賃金制度や職制の整備もそれなりに検討している様子がうかがえる。「組合結成→いきなり弾圧→即、争議入り」という最悪のシミュレーションも用意しての組合立ち上げだったが、最初の1カ月はまずまず、と言ったところだろうか。

 カテゴリーに「宮古毎日新聞労組の挑戦」を新設した。宮古毎日労組は、最初から正社員だけでなく契約社員やパートも組織化して発足した。雇用形態の違いを超えて団結するその先進性は、労働組合という権利にどこまで可能性があるかを追求するチャレンジだ。過去の関連エントリーは、同カテゴリーを参照いただきたい。
 
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 写真は19日早朝の宮古島の朝焼け。日中は青空が広がり、気温も30度。セミの声が梅雨明けを思わせた。
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by news-worker | 2006-06-20 01:42 | 宮古毎日新聞労組の挑戦  

産経グループ「iza」に62人の記者ブログ

 産経新聞グループが15日から新しいwebサービス「iza(イザ!)」を開始した。どんなものかは、impressのInternet Watchの記事が詳しい。
(引用開始)
 産経デジタルは15日、産経新聞グループが提供するニュースと読者のブログを融合させる情報サイト「iza(イザ!)」ベータ版を開始した。ブログを開設している読者であれば、すべてのニュースに対して自由にトラックバックできる。
 イザ!では、産経新聞グループが発行する4媒体(産経新聞、サンケイスポーツ、フジサンケイビジネスアイ、夕刊フジ)の紙面から、政治、ビジネス、文化、スポーツ、芸能などのニュースを1日あたり200~300本掲載する。
 ブログを開設している読者は、ニュース記事にトラックバックできる。無料の会員登録により、イザ!内にブログを開設することも可能だ。ブログの内容は事前に検閲しないが、公序良俗に反したり個人を誹謗中傷するエントリが発見された場合は、トラックバックを削除する。イザ内のブログエントリであれば、エントリも削除する。
 産経デジタルでは今後、掲載するニュース数を増やすほか、注目度の高いブログを産経新聞の紙面で取り上げる紙面連動企画などを検討している。なお、同社によれば、「ニュースへのトラックバックを大々的に受け付けるのは、全国紙では初めて」という。
 また、現役記者62人がブログを開設し、取材の舞台裏などを紹介する。記者のブログにもトラックバックできるほか、イザ!に会員登録した読者はコメントを書き込むことも可能だ。
(引用終わり)

  「ニュースへのトラックバックを大々的に受け付けるのは、全国紙では初めて」とのことだが、わたしは「記者62人のブログ」の方に少し驚いている。既存の新聞社の試みとしては、画期的と言っていいのではないだろうか。
 これまでも、参加型ジャーナリズムの可能性に関連して、既存の新聞社も自社サイトで論説委員や編集委員など、言わばその紙面の〝顔〟の役割を担う記者がブログを運営してみてもいい、と語られてきた。実際に現役の記者が自社サイトの枠内でブログを運営しているケースもある(毎日新聞の「理系白書」など)が、産経の試みは、それを一気に第一線の若手記者にまで広げた。
 62人の顔ぶれは多彩だ。黒田勝弘さんや古森義久さんらの大物は当然として、一般にはどんな仕事かあまり知られていない整理部の記者、活字とはちょっと距離があるように思えるカメラマン、地方支局の記者もいる。全体として見れば、新聞社の報道・編集現場で記者たちが日々何を思い、何を考え働いているか、読む側にけっこう伝わるのではないだろうか。
 一般に新聞記者は自分の考えは表に出すべきではない、とされている。新聞は「公正中立、客観報道」を掲げているからだ。産経の試みは、独自の論調を前面に出し「はっきりモノを言う」ことを売りにしている産経だから可能なことかもしれない。産経の社論の当否はともかくとして、既存メディアと読者の対話という観点からは、画期的であることは間違いない。
 やはりというか、ブログのエントリーの頻度は、若い記者たちほど高い。業界では〝御大〟と呼んでいい黒田氏は、今のところ(17日朝現在)1件だけ。それも紙面に掲載されたコラムの転載だ。世代によるデジタル・デバイドの問題なのか、「記者は紙面で勝負」という価値観の問題なのか。
 62人の人選の基準も気になると言えば気になる。希望者を募ったのか、会社からの指名なのか。ブログの運営も業務の一環だろうから、勤務時間中のエントリー更新が問題になることはないだろうが、逆に更新が義務付けられ、負担になることはないだろうか。産経新聞には、その独自の論調からか、経営にモノを言う労働運動は社内にない(新聞労連に加盟する労働組合もない)ので、その辺の事情は分からない。ともあれ、新聞記者が実名で、読者に対し自分の仕事を語る場ができたことの意義は大きい。「イザ!」の今後を注目したい。

追記 6月22日午前
 本エントリーが「iza」内のブログで紹介された。「62人の人選の基準も気になると言えば気になる」と書いていたら、経済部の原口和久さんがご自分のブログ「はみ出し記者の『特ダネより子だね!』」のエントリーで、「お答えします。私の場合は上司からの指名です。基準などはないのではないでしょうか。他の記者については分かりません」と教えてくれた。原口さん、ありがとうございます。
 
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by news-worker | 2006-06-17 09:32 | メディア  

「取材源の秘匿」の意味を理解した妥当な司法判断

 以前のエントリー(「取材源の秘匿」が理解できない裁判官が現れたことの意味は、および(続)「取材源の秘匿」が理解できない裁判官が現れたことの意味は)で言及した裁判の抗告審で東京高裁は14日、報道機関の「取材源の秘匿」を幅広く認定する決定を出した。以下、毎日新聞記事の一部を引用する。
(引用開始)
<取材源秘匿>1審取り消し、証言拒絶認める 東京高裁 [ 06月14日 12時12分 ]
 米国の健康食品会社への課税処分に関する報道を巡り、読売新聞の記者が民事裁判の証人尋問で取材源の証言を拒絶したことについて、東京高裁は14日、拒絶を認めなかった東京地裁決定(藤下健裁判官)を取り消し、すべての尋問に対して拒絶を認める決定を出した。地裁決定は取材源の守秘義務違反を理由に拒絶を認めなかったが、高裁の赤塚信雄裁判長は「たとえ取材源に法令違反があっても、取材源秘匿はその人物の利益のためになされるわけではない。秘匿によって守られているのは、国民の知る権利を確保するという公共的な利益」と述べた。
 証言拒絶を認める4回目の決定。一連の決定で唯一証言拒絶を認めなかった地裁決定が取り消されたことで、取材源秘匿を正当と認める司法判断の流れが一層強まった。
 決定は「報道機関の報道は国民の知る権利に奉仕するもので、報道の自由は憲法の保障のもとにある」と指摘。さらに「取材活動は公権力の介入から自由でなければならず、報道機関と情報提供者との信頼関係が十分確保されなければならない。そのために取材源が秘匿される必要がある」と判断した。
(引用終わり)

 以前のエントリーでも書いたとおり、普通の感覚でこれまでの判例、判決例を考慮して考えれば、当然、こうした結論になる。極めて当然の判断だ。
 原審の東京地裁の藤下健裁判官は、「取材源の秘匿」を公務員に認めれば、公務員の守秘義務違反を助長することになる、との無茶な論理展開を示していたが、今回の東京高裁決定は、分かりやすい判断を示しているようだ。決定の要旨を見ていないので、正確なところは分からないが、毎日新聞の解説記事によると、決定は「取材源の秘匿が『守秘義務違反行為を犯した公務員のため』ではなく、『国民への自由な情報提供(知る権利)を確保するという公共的な利益に基づいている』と位置づけた」という。
 「国民への自由な情報提供」というメディア本来の役割を重視したまともな判断だ。
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by news-worker | 2006-06-15 01:07 | メディア  

議案書の季節

 宮古島から12日夜に帰京後、きのう(13日)午後からきょうの午前中までは、新聞労連の中央執行委員会だった。労働組合は夏に年に1回の定期大会を開くところが多い。1年間の活動を総括し、次の1年間の運動方針を決める。役員の交代もある。新聞労連も7月25、26日の両日に定期大会を予定しており、今回の中執委はその議案づくりが主な議題だった。
 この1年の活動総括と情勢報告では、新聞の特殊指定問題と販売正常化、別会社化合理化と労働組合の組織強化・拡大が重点項目となる。後者はわたしが執筆を担当。他にも新聞ジャーナリズムや平和・憲法、在日米軍再編と沖縄の基地問題などを担当するのだが、原稿が遅れている。来週半ばの最終締め切りに向けて、今日以降は議案書書きの日々が続きそうだ。どこでも労働組合の役員は似たような状況だろう。
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by news-worker | 2006-06-14 12:29 | 労働組合