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400年という過酷な時間を理解しなければならない~沖縄・宮古島で考えたこと

 宮古島に滞在している。きょう(14日)は午後の空き時間に、ホテルを出て少し散歩した。宮古毎日新聞労組の支援で5月以来、宮古島に来たのは5回目になるが、なかなか島内をゆっくり見る機会がなかった。
c0070855_18232897.jpg 平良港から少し足を伸ばすと「人頭税石(にんとうぜいせき)」という高さ140センチ余りの石がある(写真)。傍らに立つ案内板によると、大正10年に宮古島を訪れた民俗学者の柳田国男が「賦測石(ぶばかりいし)」として、著書「海南小記」で紹介し有名になった。琉球王朝時代のこととして、柳田は「この石で背丈を測り石の高さに達すると税を課された」と記しているという。しかし、これは俗説で、実際には島民は戸籍によって税を課されたらしい。
 案内板の記載によると、1637年に琉球王朝は先島(宮古島や石垣島と周辺の島々)に人頭税制を敷いた。「頭数」つまり人口によって穀物や織物を税として課した。1710年からは、年齢(15-50歳)が基準になった。人頭税制は明治になり、琉球が沖縄県として日本の領土に組み込まれた後の1903年まで続いた。
  「1637年」という時期は重要だ。琉球は1609年に薩摩藩の武力侵攻を受け、以後、間接支配を受ける。薩摩の過酷な貢租取立てに対し、琉球王朝は先島住民への賦課でこれをしのいだ、というのが定説のようだ(引用として適切かどうかは分からないが、例えばウィキペディア「人頭税石」)。

 江戸時代を通じて、琉球王朝は薩摩に忠誠を誓いながら、一方では中国(清王朝)とも独自に外交関係を結び、からくも独立を保っていたとされる。しかし、沖縄は明治期に日本領に組み込まれたために、第二次大戦で過酷な地上戦を経験しなければならず、戦後は米国支配のもとで「銃剣とブルドーザー」の基地建設によって、やはり過酷な圧制が続いた。日本復帰から34年になる今も基地の圧迫は変わらず、それどころか、在日米軍基地の再編によって恒久的な軍事要塞化が進もうとしている。
 沖縄の基地被害は沖縄だけの問題ではなく、日本(ヤマト)全体の問題だと、何度かこのブログでも指摘してきた。わたしたちヤマトの人間は、「今」だけを見ていては沖縄の苦悩を理解できないのではないか。「世界の中の日米同盟」などというものは、極めて近視眼的な貧弱な歴史観の産物でしかない。沖縄が経験してきたこの400年という過酷な時間を、ヤマトのわたしたちは理解しなければならないのではないか。宮古島で人頭税石を見ながら、そんなことを思った。
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by news-worker | 2006-07-14 18:29 | 平和・憲法~沖縄  

初めての賃金交渉が本格化~台風接近の宮古島で

 昨日(12日)から沖縄・宮古島に来ている。台風4号が接近する中で、昨日は何とか飛行機は飛んだのだが、きょう(13日)は宮古島も暴風域に入り朝から大荒れ。外では激しい雨が横なぐりに降っている。いや「降る」という感じではない。水滴が突風にあおられ、もてあそばれながら水煙となって吹き飛ばされていく。
 午前8時19分には、35・9メートルの最大瞬間風速を観測したと、NHK沖縄放送局のテロップ・ニュースが伝えている。もちろん、飛行機も船も全便欠航。予定を変更して延泊せざるをえない。
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 宮古島入りの用件は、宮古毎日新聞労組の3回目となる団体交渉への出席。台風の中で、団交は予定通りきょうの午後、開かれた(初めて読まれる方は、カテゴリー「宮古毎日新聞労組の挑戦」の過去エントリーを参照いただきたい)。中心的な議題は夏の一時金。同労組には初めての経験となる本格的な賃金交渉が始まった。

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by news-worker | 2006-07-13 19:16 | 宮古毎日新聞労組の挑戦  

定期大会のシーズン

 7月に入って、労働組合はどこも、年に1回の定期大会のシーズンを迎えている。新聞労連でも地方ブロック組織が相次いで定期大会を開催。きょう(10日)は近畿地連の定期総会が大阪市で開かれ、わたしも出席した。
 進行は大抵はどこも同じ。1年間の活動の報告、これから1年間の運動方針ときて、最語に新執行部の選出となる。この1年、苦楽をともにしてきた地連委員長らが退任し、次の人と交代していく。
 新聞労連の定期大会も今月25-26日に開催する。新聞労連の役薦活動、つまり役員選考については、去年の今ごろのエントリーでも触れたが、もはや在京の大手紙労組からの選出だけでは間に合わなくなっており、わたしの後任の委員長は、ブロック紙から選出される見通しだ。
 わたし自身の任期は残り2週間。悔いが残らないように全うしたい。
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by news-worker | 2006-07-11 02:47 | 労働組合  

イラク撤退の取材妨害は、報道統制の実地訓練ではないのか

 イラク派遣の陸上自衛隊部隊の撤収をめぐって、以前のエントリーで指摘していたのだが、やっぱり報道に混乱が起きた。クウェートで予定されていた撤収第一陣の取材が、直前というかその場で一方的にキャンセルされた(共同通信記事)。
(引用開始)
額賀長官が報道を“妨害” 「隊員の安全」理由 [ 07月08日 00時17分 ] 共同通信
 クウェートのムバラク空軍基地で予定されていたイラクからの陸上自衛隊撤収第1陣の取材や撮影が7日、額賀福志郎・防衛庁長官の指示で直前に中止され、報道各社に撤収報道の自粛が要請された。同基地には40人近い報道陣が待機、突然の一方的な通告で混乱した。
 同日夜に防衛庁で記者会見した額賀長官は「迷惑をかけ心からおわびしたい」と陳謝しながら「大局から見て、安全を確保する上で撤収が完了するまで計画を明らかにすることは適当ではないと判断した」と繰り返した。
(引用終わり)

 各紙の報道の中では、ここまでの舞台裏の動きも含めて、東京新聞の社会面サイド記事(防衛庁による「取材妨害」と表現している)が詳しい。同紙サイトにはアップされていないので、一部を紹介する。

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by news-worker | 2006-07-08 12:40 | メディア  

新聞の信頼確立~新聞労連の新研中央集会より

 7月1-2日は東京で新聞労連の「新研中央集会」があった。「新研」とは、何度かこのブログでも紹介してきたが「新聞研究」のこと。新聞が市民の「知る権利」や民主主義の発展に貢献しているか、書くべきことを書いているかなど、新聞紙面のあり方を検証する活動で、新聞労連の基幹活動の一つとなっている。
 今回の集会では「新聞の信頼確立」を初日のテーマに据えた。裏返せば、今の新聞は市民・読者の確固たる信頼を得ているとは言えない、との問題意識を持っている。メディアの信頼度などを尋ねた世論調査や市民アンケートでは、依然として新聞は高い信頼を保っている。しかし、ここでいう「信頼」は、そうした「ニュースの信憑性」という意味での信頼とはちょっとニュアンスが違う。端的に言えば、昨年末に閣議決定された国の犯罪被害者被害者等基本計画で、事件事故の被害者を実名で発表するか、匿名で発表するかは警察の判断に委ねる、との項目が盛り込まれたことだ(過去のエントリー)。「メディア(新聞を含む)は人権侵害をする。犯罪被害者の人権をメディアから守るのは警察しかない」ということであり、つまりは新聞を含めメディアは警察より信用できない、という世論が作られているということだ。

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by news-worker | 2006-07-02 23:22 | メディア