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小泉首相がとうとうこの日に靖国参拝

 小泉純一郎首相が15日、靖国神社に参拝した。かねてから予測されていたことであり、あらためて驚くことでもなくなっている。首相が靖国神社に参拝することのどこに問題があるかについても、既にありとあらゆる論点が出尽くしている感があるので、ここでは触れない。わたし自身の考えは、「憲法違反」であり明確に「反対」だ。
 少し突き放して眺めてみて感じることを書いておきたい。
 ひとつは「公約」のことだ。小泉首相が8月15日にこだわり、最後のチャンスの今年、強行したのは、5年前の自民党総裁選での公約だったからだ。当時、総裁選の取材グループにいたから、この公約の唐突感はよく覚えている。遺族会の支持を取り付けるために、まったく突然に「8月15日の靖国参拝」を言い出した。その以前から、いわゆる「靖国問題」はあった。しかし小泉総裁候補はそれまでは格別関心を示さず、参拝にも熱心ではなかった。

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by news-worker | 2006-08-15 13:31 | 平和・憲法  

もはや日本は〝加害者〟へ?~MIC広島フォーラムから

 1週間以上あいてしまったが、今月5日に開かれたMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)の広島フォーラムの内容をご紹介しておきたい。
 フォーラムは広島と長崎で1年おきに、地元のマスコミ労組共闘会議と共催で開いている。原水禁運動の分裂をきっかけに始まったと伝えられているが、いつからどんな経緯で続いているのかは定かではない。「核のない世界を」「なくせ核兵器」が各年共通の統一テーマになっている。
 今年は広島での開催。在日米軍再編の焦点になっている岩国基地が近い。「核兵器」からは少し離れるが、テーマは「日米軍事同盟と危機に立つ平和憲法」と大きく構えた。沖縄の基地問題をどう考えるかも、ぜひ盛り込みたかった。
 進行は大きく3部構成とした。まず地元の民放局RCCが昨年の8月6日に放映したドキュメンタリー「絆~原爆小頭症患者の60年」を上映(内容についてはこちら。見ごたえのある力作だった)。次いで、在日米軍再編について基調講演と岩国からの報告、最後にパネル・ディスカッションを行った。
 基調講演はドキュメンタリー映画「Marines Go Home」の監督の藤本幸久さん、岩国からの報告は中国新聞の岩国総局記者、パネル・ディスカッションはパネラーに藤本さんと広島修道大の野村浩也教授(社会学)、山口大の立山紘毅教授(憲法)の3人を迎え、コーディネーターはわたしが務めた。
 話は行きつ戻りつ多岐にわたったのだが、非常に刺激的な議論だった。戦争には加害と被害の両面があるとすれば、日本は今や既に「加害」の側に立っているのではないか-。フォーラムを終えてみての率直な気持ちだ。
 講師、パネラーの方々の話を、わたしなりに要約してご紹介したい。

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by news-worker | 2006-08-14 01:27 | 平和・憲法  

61年目の長崎

 きのう(9日)は長崎の原爆投下から61年目の日。長崎新聞労組の案内で、原爆の災禍を今日もなお伝え続けている遺構を訪ね歩く「平和散歩」に参加した。
 ガイド役の長崎新聞労組の組合員はみな若い。例えば、原爆や災害被害状況のことに詳しいベテランやOB、場合によっては外部からの派遣などの選択肢もあるはずだが、長崎新聞労組では伝統的に若い組合員が務めている。「わたし自身がそうでしたが、全国から集まった仲間の前で説明するとなると、言われなくても必死に原爆のことを勉強します」と知り合いの組合員。
c0070855_329327.jpg 午前9時にJR浦上駅の南にある長崎新聞社を出発。爆風で鳥居の柱が1本吹き飛び、片柱だけになった山王神社の二の鳥居(写真)などを回り、平和祈念式典会場に着いたのは午前10時半ごろ。これも例年通りだが、祈念式典の会場は満席で入れない。少し歩いた爆心地公園で原爆投下時刻の11時2分、黙祷した。

 平和祈念式の会場でプログラムだけもらった。伊藤一長市長は長崎平和宣言で「被爆から61年目を迎えた今、ここ長崎では怒りといらだいいらだちの声が渦巻いています」と「怒り」を強調している。核廃絶も軍縮も進まない。どころか核は拡散しつつあるし、戦火も止まない。
 これまで「祈り」という言葉で象徴されていた長崎だが、被爆者たちは発言を始めている。

 9日夜、広島~長崎の6日間の日程を終えて帰京した。労組専従の身として最後の出張だった。
 
 
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by news-worker | 2006-08-10 03:38 | 平和・憲法  

長崎に移動

 きのう(7日)、広島から長崎へ移動した。きょう8日は、長崎新聞労組や地元民放労組などでつくる長崎マスコミ・文化共闘会議のフォーラムに参加。在日米軍再編と有事法制・国民保護計画をテーマにした広島市立大広島平和研究所長の浅井基文さんの基調講演には思うところが多かった。米側資料をもとに、中国や北朝鮮の脅威論に根拠がないこと、米国が日本とともに先制攻撃をかけなければ、中国や北朝鮮が日本を攻撃する理由がないこと、従って、日本にとっては、米国の先制攻撃を止めることが日本自身を守ることになること、国民保護法制は事実上、国民動員法制にほかならないこと等々を浅井さんは分かりやすく説明した。広島フォーラムと共通する視座、視点として、やはり今の日本は戦争の「加害者」になりつつあると強く感じた。詳細は後日、広島フォーラムと合わせて報告したい。
 明日(9日)は長崎への原爆投下からちょうど61年。長崎新聞労組の案内で、浦上一帯に残る原爆禍の遺構をめぐる平和散歩に参加する。
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by news-worker | 2006-08-09 02:08 | 平和・憲法  

被爆61年目の広島

 4日から広島に来ている。原爆投下からことしは61年目。8月6日は3年連続で広島で過ごしていることになる。きのう(5日)は、ドキュメンタリー映画「Marines Go Home」の藤本幸久監督らをゲストに招いて、日米軍事一体化と平和憲法をテーマに、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)のフォーラムを開催した。戦争には加害と被害があるとすれば、日本はもはや〝加害者〟になりつつあるのではないか-。そんなことを感じる刺激的な議論が展開され、充実した内容となった。詳細は後日、あらためて報告したい。フォーラムの途中からは、韓国の新聞、放送、出版労働者らの単一組合である全国言論労組(NUM)の代表も合流し、日韓のマスコミ労組交流も続いている。
 きょう(6日)はMICフォーラムの参加者、NUM代表団とともに、朝8時から平和記念公園で開かれた平和記念式典に参列した。中国新聞の号外によると、広島市は参列者4万5千人と発表している。
c0070855_1574992.jpg
 平和宣言で秋葉忠利市長は核廃絶が進まない状況を指摘しつつ「迷える羊たちを核兵器の呪縛から解き放ち、世界に核兵器からの自由をもたらす責任は今や、私たち世界の市民と都市にあります。岩をも通す固い意志と燃えるような情熱を持って私たちが目覚め起つ時が来たのです」と述べ、日本政府には「核保有国に対して『核兵器廃絶に向けた誠実な交渉義務を果せ』と迫る、世界的運動を展開するよう要請します」と注文をつけた。

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by news-worker | 2006-08-06 15:51 | 平和・憲法  

全トヨタ労組(ATU)のブログ

 7月22日のエントリー「『過労死大国』と労働組合」でご紹介した「全トヨタ労働組合」がブログを開設している。先日、本ブログのエントリーのことも紹介していただいた。
 アクセス数も組合員数をはるかに上回っている様子。ブログは参加型ジャーナリズムの可能性を広げつつあるが、同じことは労働運動にもあてはまるかもしれない。どんなに組織規模が小さくとも、ブログを通じて情報を発信し主張を訴えていくことができる。何より双方向性が強みだ。〝貧者の武器〟であるブログを活用し、社会的な存在感を高めていくことが可能だ。
 ちなみに、トヨタの既存の労働組合である全トヨタ労働組合連合会(自動車総連=連合加盟)のホームページはこちら。双方向性の違いは歴然としている。
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by news-worker | 2006-08-05 03:45 | 労働組合  

8月は平和を考える

 明日(4日)から広島、長崎へ出張する。この2年間は、8月はわたしにとって、平和を考える特別な月だった。2年とも8月6日は広島、9日は長崎で過ごした。被爆一世が高齢化し、被爆体験の継承が困難になっている中で、そこにもメディアの役割があると感じた。
 戦後60年の昨年は、8月15日を発行の日付として「しんけん平和新聞」創刊号を発行した。日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)と韓国言論労組(NUM)が共催した日韓シンポに参加し、8月15日を挟んでソウルに滞在した。日本の戦争加害の継承もまた、メディアに役割がある。
 ことしは8月5日にMICが広島でフォーラムを開催する。大詰めの準備が続いている。米空母の艦載機部隊移駐計画が持ち上がっている岩国基地も近い。在日米軍再編と日米軍事一体化が何をわたしたちにもたらすかを、憲法を絡めて考える場にしたい。ことしもNUMから代表が参加する。彼らとの再会も楽しみだ。
 7日からは長崎に移り、長崎新聞労組や地元放送局の労組主催のフォーラムに参加する。労働組合専従として、これが最後の出張になる。
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by news-worker | 2006-08-03 09:11 | 身辺雑事  

〝派遣社員差別訴訟〟が最高裁へ

 派遣社員の一方的な使い捨てを許さないために、真正面から司法の場で争っている「一橋出版=マイスタッフ争議」の加藤園子さんのことは、以前のエントリーで紹介した。きのう(1日)はわたしが議長を務める支援共闘会議の定例会合が開かれた。
 一審の東京地裁、二審の東京高裁とも、争点についてはことごとく会社主張を採用した不当判決に終わったが、7月に、最高裁に上告受理申し立ての手続きを取った。弁護団の分析では、1年以内に上告受理申し立てが却下されなければ、十分にたたかう時間が確保できる。
 NHKの特集「ワーキング・プア」が大きな反響を呼び、朝日新聞が「偽装請負」の実態を連続して報じたことで、あらためて雇用・労働面の格差に社会的関心が高まっていることを感じる。そんな中で、最高裁へと進んだ加藤さんの争議が持つ意味は大きい。
 実は、派遣社員の雇い止めを真正面から司法で争っているケースは、加藤さんのほかにはあと1件あるだけだ。愛媛県の地方銀行「伊予銀行」と関連会社の「伊予銀スタッフ」という派遣会社を舞台にした訴訟だ。こちらは、原告の方が一人でがんばってきたのでこれまで労働争議という位置づけではなかったようだ。やはり松山地裁、高松高裁で敗訴しており、加藤さんと前後して最高裁に進んだ。代理人同士で連絡を取り合い始めており、今後は2つの事件の当事者が連携していく方針を共闘会議でも確認した。
 全国でもたった2例しかない〝派遣社員差別訴訟〟がほぼ同時に最高裁に進んだことを社会にもアピールしようと、10月20日11月1日に東京で大規模集会を開催することも決めた。最高裁に対しては、署名活動を強化して、おざなりの判断を示すことがないよう迫って行く。現在、裁判官の中には司法本来の責任を忘れたかのように、証拠を無視して現状を追認する態度に終始するひどいケースも決して珍しくはないことを、この2年間、実体験として知った。そうした司法に是正を迫りうるのは世論の力しかない。

 先日の朝日の記事に併用された図表の中では、「雇用安定度」が「正社員」は「高」、「偽装請負」が「低」に対し「派遣社員」は「中」となっていたが、これは誤解を招きかねないと思う。「中」と「低」は程度の差の問題であって、正社員との比較で言えば、ともに差別的待遇であることに変わりはない。朝日の記事は読み方を間違えると、「偽装請負」を是正してきちんとした「派遣社員」にすべきだ、という風に感じてしまうが、「派遣社員」もまた差別的雇用形態であることに変わりはない。

 カテゴリーに「格差社会」を新設した。単なる経済情勢の問題ではない。ワーキング・プアのように、将来に展望が持てない層の増大は社会不安を生む。世の為政者はそうした場合、外交上の敵を作り出し、社会の不満のエネルギーをそちらに誘導する。そうやって戦争が始まることは、過去の歴史が証明している。「格差社会」は「平和」の問題と表裏一体だ。

追記 8月2日午後
 「10月20日」と記載した集会は、会場の都合で「11月1日」に変わった。関係カ所を修正します。

追記 8月3日未明
 加藤園子さんの争議を紹介した6月30日のエントリーで、事実関係が不正確な記述2カ所を訂正した。
 「派遣労働をめぐる争議で敗訴~司法は現状追認しかできないのか」
 
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by news-worker | 2006-08-02 07:11 | 格差社会  

朝日の偽装請負報道を評価したい

 朝日新聞がきのう(7月31日)の朝刊から、立て続けに1面で「偽装請負」を取り上げている(東京本社発行最終版)。それぞれ書き出しの一部を引用する。

 「『偽装請負』労働が製造業で横行 実質派遣、簡単にクビ」=7月31日付朝刊
 大手製造業の工場で「偽装請負」と呼ばれる違法な労働形態が広がっている。この3年で労働局から違法と認定された企業の中には、キヤノン、日立製作所など日本を代表する企業の名もある。メーカーにとっては、外部から受け入れた労働者を低賃金で、安全責任もあいまいなまま使えるうえ、要らなくなったら簡単にクビを切れる好都合な仕組みだ。「労働力の使い捨て」ともいえる実態がものづくりの現場に大規模に定着した。

 「キヤノン、偽装請負一掃へ 数百人を正社員に」=7月31日付夕刊
 キヤノンは、年内をめどに請負業者との契約を見直して派遣に切り替えるなど、偽装請負の完全解消をめざした対策に取り組む。8月1日付で内田恒二社長を委員長とする「外部要員管理適正化委員会」を設置する。また、グループ全体で2万人以上いる請負や派遣労働者のうち、数百人を正社員に採用する方針だ。

 「松下系社員、請負会社に大量出向 違法性回避策?」=8月1日付朝刊
 松下電器産業のプラズマテレビをつくる「松下プラズマディスプレイ(MPDP)」が今年5月、茨木工場(大阪府茨木市)内でパネル製造を委託する請負会社に、同工場勤務の松下社員を大量に出向させたことが分かった。同工場は昨年7月、請負労働者を直接指揮命令する「偽装請負」で行政指導を受けている。今回の出向は、これまでの労働実態を変えないまま、松下社員による指揮命令の違法性を形式的に回避したものだとの見方が出ている。この手法が「合法」と認められれば他の製造大手も追随する可能性があり、大阪労働局は近く実態調査に乗り出す。

 記事の出稿元は社会部だったり経済部だったり分かれているから、全社的な編集方針でこの問題を大きく取り上げることを決めた、ということだろう。よく「全く守られない法律の代表例は道路交通法と労働基準法」と言われる。それくらい、企業の側にとっては労働諸法制は軽い存在だ。あるいは、利益の前にはいちいち気にしていられない、ということかもしれない。「偽装請負」は一般にはまだ知られていないが、「多様な雇用形態」をうたい文句に雇用面での規制緩和が進んだ結果出現した、派遣社員の先を行く「買い叩き雇用」(ほかにうまい表現を思いつかないが)だ。「格差社会」の雇用面での典型事例と言ってもいい。実はテレビ局などメディアの現場にも広がっている。
 労働行政当局から是正の処分、指導を受けたのなら、立派な違法行為の認定だ。規制緩和はこの5年間は小泉首相流に「構造改革」と呼ばれたが、産業界では雇用面でモラルハザードが起きた、ということだ。朝日の一連の記事は、「構造改革」や「格差社会」を考える上でのいい材料を読者に提供している。
 処分、指導を受けた企業名が公表されていなくても、メディアの責任で報じてもいい。そういう「抜きあい」が記事として評価されるようになれば、企業のモラルも向上し、社会は変わりうるかもしれない。

追記 8月1日午後
 「全く守られない法律の代表例は道路交通法と労働基準法」と言われる。これは報道にも反映されていて、スピード違反がいちいち記事にならないのと同じように、雇用の現場で深刻な事態が進行してきたのにメディアの関心は低かった。だからこそ、今回の朝日の報道姿勢は注目に値する。メディア他社は朝日の報道をどうとらえているだろうか。 
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by news-worker | 2006-08-01 10:21 | メディア