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〝派遣社員差別訴訟〟が最高裁へ

 派遣社員の一方的な使い捨てを許さないために、真正面から司法の場で争っている「一橋出版=マイスタッフ争議」の加藤園子さんのことは、以前のエントリーで紹介した。きのう(1日)はわたしが議長を務める支援共闘会議の定例会合が開かれた。
 一審の東京地裁、二審の東京高裁とも、争点についてはことごとく会社主張を採用した不当判決に終わったが、7月に、最高裁に上告受理申し立ての手続きを取った。弁護団の分析では、1年以内に上告受理申し立てが却下されなければ、十分にたたかう時間が確保できる。
 NHKの特集「ワーキング・プア」が大きな反響を呼び、朝日新聞が「偽装請負」の実態を連続して報じたことで、あらためて雇用・労働面の格差に社会的関心が高まっていることを感じる。そんな中で、最高裁へと進んだ加藤さんの争議が持つ意味は大きい。
 実は、派遣社員の雇い止めを真正面から司法で争っているケースは、加藤さんのほかにはあと1件あるだけだ。愛媛県の地方銀行「伊予銀行」と関連会社の「伊予銀スタッフ」という派遣会社を舞台にした訴訟だ。こちらは、原告の方が一人でがんばってきたのでこれまで労働争議という位置づけではなかったようだ。やはり松山地裁、高松高裁で敗訴しており、加藤さんと前後して最高裁に進んだ。代理人同士で連絡を取り合い始めており、今後は2つの事件の当事者が連携していく方針を共闘会議でも確認した。
 全国でもたった2例しかない〝派遣社員差別訴訟〟がほぼ同時に最高裁に進んだことを社会にもアピールしようと、10月20日11月1日に東京で大規模集会を開催することも決めた。最高裁に対しては、署名活動を強化して、おざなりの判断を示すことがないよう迫って行く。現在、裁判官の中には司法本来の責任を忘れたかのように、証拠を無視して現状を追認する態度に終始するひどいケースも決して珍しくはないことを、この2年間、実体験として知った。そうした司法に是正を迫りうるのは世論の力しかない。

 先日の朝日の記事に併用された図表の中では、「雇用安定度」が「正社員」は「高」、「偽装請負」が「低」に対し「派遣社員」は「中」となっていたが、これは誤解を招きかねないと思う。「中」と「低」は程度の差の問題であって、正社員との比較で言えば、ともに差別的待遇であることに変わりはない。朝日の記事は読み方を間違えると、「偽装請負」を是正してきちんとした「派遣社員」にすべきだ、という風に感じてしまうが、「派遣社員」もまた差別的雇用形態であることに変わりはない。

 カテゴリーに「格差社会」を新設した。単なる経済情勢の問題ではない。ワーキング・プアのように、将来に展望が持てない層の増大は社会不安を生む。世の為政者はそうした場合、外交上の敵を作り出し、社会の不満のエネルギーをそちらに誘導する。そうやって戦争が始まることは、過去の歴史が証明している。「格差社会」は「平和」の問題と表裏一体だ。

追記 8月2日午後
 「10月20日」と記載した集会は、会場の都合で「11月1日」に変わった。関係カ所を修正します。

追記 8月3日未明
 加藤園子さんの争議を紹介した6月30日のエントリーで、事実関係が不正確な記述2カ所を訂正した。
 「派遣労働をめぐる争議で敗訴~司法は現状追認しかできないのか」
 
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by news-worker | 2006-08-02 07:11 | 格差社会