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宮古島への陸自配備と下地島空港の軍事基地化で懸念されること

 他メディアでは報道されていないが、沖縄の県紙の琉球新報にこんな記事があった。
宮古島に陸自新基地 09年度に200人配備
 中期防衛力整備計画(中期防、2005-09年度)で明記された陸上自衛隊第一混成団(那覇、約2000人)の旅団化(3千-4千人)の一環として、09年度をめどに、宮古島に新たに約200人規模の部隊を配備させ、新たな基地建設も検討していることが3日までに分かった。将来的には600人規模まで増強する見通し。複数の政府関係者が明らかにした。陸上幕僚幹部(陸幕)も南西諸島への部隊配備検討を始めた。宮古島市には打診はないが、伊志嶺亮市長は自衛隊増強に反対する姿勢を示しており、今後地元を中心に波紋が広がりそうだ。

 今は合併で宮古島市になっているが、宮古島から船で20分ほどの伊良部島と隣接する下地島(旧伊良部町)には、民間パイロットの訓練に使われている3000メートル級滑走路を備えた下地島空港がある。同空港をめぐってはこんなことも起きている(沖縄タイムス記事)。
11日に下地島使用/米軍が届け出
 在沖米海兵隊外交政策部(G5)は六日、フィリピンでの合同演習に参加するため、普天間飛行場所属のヘリなどが県管理の下地島空港(宮古島市)を十一日に給油目的で使用する、と県空港課に届け出た。
 使用機種は、KC130空中給油機一機とCH46ヘリ八機。県の花城順孝知事公室長は六日、同外交政策部に対し「県民に大きな不安を与えており、県民は恒常化につながることを大変懸念している」と使用中止を申し入れた。

宮古島市民一斉に反発/「住民意思を無視」
 【宮古島】米軍が下地島空港を十一日に使用すると県に届け出たことに対し、宮古島市では六日、保革を超えて一斉に反発した。同空港の平和利用を検討するため、四月に推進室を立ち上げた伊志嶺亮市長は「なし崩し的な米軍の姿勢に憤りを感じる」と反対の姿勢を示し、伊良部島からも「自衛隊も含め、軍事利用は認められない」と一方的な米軍の通告を批判する声が上がった。
 「住民意思を無視した米軍の使用届に憤りを感じる」。「軍事利用に反対する伊良部住民委員会」の福島正晴委員長は怒りを抑えるような口調で語った。二〇〇五年三月に市町村合併の賛否と絡めて旧伊良部町で自衛隊誘致案が浮上した際に住民が示した反対の意思は変わらないと訴えた。

 宮古島は第二次大戦では、沖縄本島のような地上戦こそなかったものの、米軍による艦砲射撃と空襲で大きな被害を受けた。しかし、米軍基地のフェンスが延々と続く本島のような直接的な基地の圧迫がないためか、基地問題への市民の意識は本島に比べて低い、という話を聞いたことがある。それでも下地島空港の軍事利用には反対の根強い市民感情がある。
 宮古島への陸自配備は下地島空港の恒常的な軍事利用の構想とセットになったものだろう。日米の軍事一体化の一環とみていいと思う。台湾からほど近いところに、そんな軍事拠点を構えればどうなるか。日米が自ら周辺の軍事的緊張を高めるだけではないだろうか。あるいは、琉球新報記事が指摘しているように、尖閣諸島をめぐって直接、中国を刺激する。
 仮に有事になったとして、そもそも200人の陸自隊員で宮古島の市民を守りきれるわけがない。下地島〝基地〟の警備、防衛で手いっぱいだ。戦時下で軍が住民を守らない、時には住民を殺害しさえすることは、沖縄戦の歴史が証明している。
 石垣島や周辺の島々をも含めて、市民の生命財産を守るためには、いらぬ軍事的緊張を排除するしかないはず。「基地のない沖縄」「基地のない日本」へのロードマップが必要だと思う。
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by news-worker | 2006-10-08 01:40 | 平和・憲法~沖縄  

平良夏芽さん釈放

 沖縄県名護市辺野古地区の米海兵隊キャンプ・シュワブ前で25日に公務執行妨害の現行犯で逮捕されていた「平和市民連絡会」の共同代表で牧師の平良夏芽さんが27日、釈放された。さすがに那覇地検も、拘置延長を裁判所に請求する理由がないと判断したらしい。そもそも逮捕の必要があったかどうか。ある種の見せしめ、基地反対運動に対する弾圧と批判されても仕方がない。
 那覇地検は在宅捜査を続ける様子だが、仮に公務執行妨害罪が成立するとしても、処罰する必要があるのかどうかは別の問題。不起訴処分を期待したい。
共同通信記事
普天間移設反対の牧師釈放 那覇地検、在宅で捜査継続 [ 09月27日 18時40分 ] 共同通信
 米軍普天間飛行場の移設先のキャンプ・シュワブ(沖縄県名護市)内での埋蔵文化財調査を妨げたとして、公務執行妨害の疑いで逮捕、送検された市民団体「平和市民連絡会」共同代表の平良夏芽牧師(44)が27日、釈放された。
 釈放の理由について那覇地検は「事実関係は明白で逃走の恐れもなく、拘置請求する必要性はない」と説明。在宅で捜査を継続するという。
 平良牧師は日本キリスト教団に所属し、移設反対派市民の中心メンバーの1人。沖縄県警によると、普天間移設反対運動で初の逮捕者。

 こちらも。ジュゴンの家・日誌
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by news-worker | 2006-09-27 21:22 | 平和・憲法~沖縄  

辺野古で平良夏芽さんが逮捕された

 在日米軍再編の焦点となっている沖縄の米海兵隊・普天間飛行場(宜野湾市)の移転問題。代替基地の建設地として日米両政府が合意している名護市辺野古地区の米海兵隊キャンプ・シュワブ前で25日、反対運動の市民運動グループと警備の警官隊が衝突し、「平和市民連絡会」の共同代表で牧師の平良夏芽さんが、公務執行妨害の現行犯で逮捕された。
 平良さんは、新聞労連の活動で辺野古を訪れた際にお話をうかがったことがある。イラク戦争に反対し、子どもたちの援助のために戦火が止まないイラクを訪問したこともある。そのイラクに沖縄から海兵隊が派遣されて以後は、沖縄から人殺しの部隊を出させてはいけないと、辺野古の地で普天間基地移設に反対する活動を続けている方だ。その活動も絶対に暴力的な手法は用いなかった。
 報道によれば、名護市教育委員会が二十五日午前、移転候補地の埋蔵文化財の分布状況などを確認する現地踏査に着手。これを沖縄県警機動隊が警備していた。平良さんは体を張って市教委調査団の車を止めようとしたと伝えられるが、果たして逮捕が必要な事案なのかどうか。警察官を含めて目撃者は大勢いるし、平良さんに逃亡の恐れがあるとも思えない。この先、送検されるのか、起訴を含めて刑事処分が下されるのか。
 サイトで見る限り、地元紙は大きく報道している(沖縄タイムス琉球新報)。共同通信も記事を配信しているが、沖縄の基地の現場で何が起きているのか、県外にも広く知られるべきだと思う。
 沖縄タイムスの記事の一部を引用する。
流血に悲鳴と怒声/なすすべない反対派
調査団員表情かたく
 【名護】「頼む。この現状をみんなに知らせて!」。米軍普天間飛行場移設問題で初の逮捕者が出た。二十五日午前、警察車両で連行される平和市民連絡会の平良夏芽牧師(44)は、顔や手から血を流しながら叫んだ。名護市キャンプ・シュワブ内の文化財調査で、同市教育委員会調査団の車両を止めようとした牧師は公務執行妨害で逮捕された。この日集まった反対派メンバー約二十人のうち数人が調査団の車の前に身を投げ出すなど必死に止めようとしたが、倍近い人数がいる警察に次々と排除された。現場は怒号と悲鳴が入り交じり、騒然となった。
 午前十時、名護市教育委員会文化課のワゴン車がキャンプ・シュワブ第一ゲートに到着すると、反対派市民らが話し合いを持つため、車を止めようとした。だが、これまでとは違い、職員が乗った車の窓は閉じられたまま。警察が反対派を制する中、職員らは緊張した面持ちで基地内に入ろうとした。
 反対派住民らは車の前に身を投げ出したり、ゲート入り口の路上に座り込んだりして抵抗。警察官らが住民らの手足を抱え、力ずくで排除すると、「痛い」「止めて」などの怒声や悲鳴が響いた。
 車の下にもぐりこんだ平良牧師は顔などを負傷。公務執行妨害の現行犯で警察に連行された。

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by news-worker | 2006-09-26 01:31 | 平和・憲法~沖縄  

野党統一候補に糸数慶子氏擁立へ~沖縄県知事選と報道

 沖縄では11月19日に県知事選の投開票が予定されている。既に自民、公明両党は経済界の後押しを受けて、稲嶺恵一現知事の後継候補として前県商工会議所連合会会長の仲井真弘多氏の擁立を決めている。野党側が統一候補を擁立できるかどうかが焦点になっていたが、きのう17日に大きな動きがあった。社民党県連、社大党、民主党県連の3党が社大党副委員長で参院議員・糸数慶子氏の擁立を決めた。共産党など他野党陣営も合流の見通しだという(沖縄タイムス記事琉球新報記事)。
糸数氏で野党共闘/3党合意他党も理解
一騎打ちの公算/出馬に前向き
 十一月の知事選に向け、社民党県連、社大党、民主党県連は十七日、県議会内で三党会議を開き、社大党副委員長で参院議員・糸数慶子氏(58)の擁立を決めた。共産党県委、自由連合沖縄、政党「そうぞう」も糸数氏の一本化に理解を表明、分裂含みだった野党陣営は知事選二カ月前に一転、共闘態勢を固めた。与党陣営では前県商工会議所連合会長の仲井真弘多氏(67)が五日に出馬表明しており、事実上の一騎打ちとなる公算が大きい。糸数氏は「六者がまとまり、後援会の了解が得られれば決断したい」と述べ、前向きな意向を示した。
(沖縄タイムス)

 地元の意向を無視して進んでいる在日米軍の再編が、知事選の最大争点として明確化するかどうかは、野党が統一候補を擁立できるかどうかによって大きく左右される。沖縄タイムスが解説記事で「各党で基本姿勢が大きく異なる基地問題などの政策論議をめぐり、難航する可能性はある」と指摘しているように、それでもなお課題は山積しているが、知事選が日米両政府の基地負担押し付けに対する沖縄の民意を問う〝決戦場〟となる可能性はぐっと高まった。
 きのうの糸数氏擁立への動きは、手元にある在京紙では朝日新聞が、第二社会面にベタ記事ながら糸数氏の顔写真付きで報じた。東京新聞も総合面に顔写真付きの記事。共同通信も記事を配信している。選挙が盛り上がれば県外メディアの関心も高まり、ニュースとして全国に報じられる頻度も高まる。沖縄の基地問題と沖縄の民意が県外にも広く知られることになる。それがまた選挙の意義を高めることになる。これから選挙本番へ向けて、多角的な観点、多彩な切り口からの報道が必要だと思う。
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by news-worker | 2006-09-18 12:30 | 平和・憲法~沖縄  

「安保の見える丘」に柵~米軍基地をめぐる表現の自由の危機ではないか

 先週後半は忙しくて、きょうになってネットで気付いたのだが、沖縄の米空軍嘉手納基地周辺で、こんなことが起きている(沖縄タイムス8月30日付朝刊記事)。
(引用開始)
「安保の丘」に柵/市民団体反発「抗議の声遠くなる」
 【嘉手納】防衛施設庁は二十九日、米軍嘉手納基地を一望できる通称・安保の見える丘=嘉手納町屋良=に柵を設置した。同庁は「不法投棄の防止が目的。立ち入りは制限しない」と説明するが、市民団体などから「平和学習の場を遠ざけることにならないか」と反発する声が上がっている。
 柵は高さ約一・五メートルで、出入りできる幅約一・二メートルの門扉がある。工事は二十八日に始まり、二十九日に終了した。県道74号沿いの約千三百メートルにも設置している。予算は総額約千三百六十五万円。設置理由について、同庁は「使われなくなった黙認耕作地に家具や電化製品などの廃棄物が投棄されることが多く、周囲の景観を損ねている」としている。
(引用終わり)

 沖縄タイムスは9月1日付朝刊にも、那覇防衛施設局に取材した続報記事を掲載している。
(引用開始)
「安保の丘」閉鎖言及/防衛施設局 柵開閉「将来は米軍が判断」
 【嘉手納】米軍嘉手納基地を一望できる嘉手納町屋良の通称「安保の見える丘」に設置された柵について、那覇防衛施設局は三十一日、本紙の取材に対し「将来は保安上の必要性を踏まえ米軍が判断する」と回答、門扉を閉ざして立ち入りを規制する可能性に初めて言及した。丘は米軍が「スパイ・ヒル」などと呼び、閉鎖を模索してきた。住民の立場からは不透明な基地の実態を監視するのに欠かせない拠点で、市民団体は「県民に目隠しするものだ」と反発している。
 丘の周辺は、米軍への提供区域に当たる。同局は三十一日、柵を設置した意図について「ごみの不法投棄を防止する。これまでの経緯を勘案し、一般の方々の出入りが可能なように門扉を設置した」と、これまでの説明を繰り返した。
 さらに、「さまざまな意見があることは米軍も十分承知しており、平常時に閉める考えはない」と強調。ところが、将来の見通しについては「その時々の個別具体的な状況において保安上の必要性を踏まえ、米軍が判断する」と明言した。
(引用終わり)

 在日米軍再編でも、米軍の世界戦略の中に占める嘉手納基地の位置づけは高まりこそすれ、低下することはない。北朝鮮のミサイル発射実験を受けて、PAC3配備も浮上。そういうタイミングの中での出来事だ。
 現地に行くと分かるが、今は「安保の見える丘」と道を隔てて、4階建ての「道の駅嘉手納」が建っている。屋上は一般に開放されていて、実は嘉手納基地の中を見るだけなら、こっちの方がよく見える。現に、望遠レンズ付きカメラを構える航空(軍事)マニアの姿も少なくない(ちなみにこの建物の3階だったか2階だったかは嘉手納町の資料館になっていて、戦前の嘉手納、あるいは沖縄の様子をうかがい知ることができる。機会があれば見学をお奨めする)。だから、基地の定点観測だけなら、「安保の見える丘」が閉鎖されても、さほど大きな影響はないかもしれない。
 閉鎖がなぜ問題かと言えば、この場所が、基地の撤去を求める意思表示の場としての象徴的な意味を持つからだ。
 米国と米軍は、絶対に嘉手納基地を手放さないだろうし、在日米軍再編とはすなわち日米の軍事一体化路線でもある。次期総理総裁に決まったも同然の安倍晋三氏は、自ら長州閥に連なることを公言するも同然で、恐らく明治維新後の琉球処分など、沖縄の近現代史をまともに勉強したこともないだろう。基地撤去を願う沖縄の世論をよそに、つまりは米国の言いなりになると、わたしは予測する(ちなみに安倍氏の近著に「美しい国へ」があるが、韓国では米国を「美国」と表記する)。そういう状況の中での「柵の設置」であり「閉鎖の可能性」だ。直接基地に向かってのシュプレヒコールはやらせない、とのある種の表現規制ではないだろうか。
 それにしても「不法投棄の防止が目的」との防衛施設局の説明はひどい。この問題は、県外にも広く知られるべきだと思う。
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by news-worker | 2006-09-03 20:19 | 平和・憲法~沖縄  

もはや日本は〝加害者〟へ?~MIC広島フォーラムから

 1週間以上あいてしまったが、今月5日に開かれたMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)の広島フォーラムの内容をご紹介しておきたい。
 フォーラムは広島と長崎で1年おきに、地元のマスコミ労組共闘会議と共催で開いている。原水禁運動の分裂をきっかけに始まったと伝えられているが、いつからどんな経緯で続いているのかは定かではない。「核のない世界を」「なくせ核兵器」が各年共通の統一テーマになっている。
 今年は広島での開催。在日米軍再編の焦点になっている岩国基地が近い。「核兵器」からは少し離れるが、テーマは「日米軍事同盟と危機に立つ平和憲法」と大きく構えた。沖縄の基地問題をどう考えるかも、ぜひ盛り込みたかった。
 進行は大きく3部構成とした。まず地元の民放局RCCが昨年の8月6日に放映したドキュメンタリー「絆~原爆小頭症患者の60年」を上映(内容についてはこちら。見ごたえのある力作だった)。次いで、在日米軍再編について基調講演と岩国からの報告、最後にパネル・ディスカッションを行った。
 基調講演はドキュメンタリー映画「Marines Go Home」の監督の藤本幸久さん、岩国からの報告は中国新聞の岩国総局記者、パネル・ディスカッションはパネラーに藤本さんと広島修道大の野村浩也教授(社会学)、山口大の立山紘毅教授(憲法)の3人を迎え、コーディネーターはわたしが務めた。
 話は行きつ戻りつ多岐にわたったのだが、非常に刺激的な議論だった。戦争には加害と被害の両面があるとすれば、日本は今や既に「加害」の側に立っているのではないか-。フォーラムを終えてみての率直な気持ちだ。
 講師、パネラーの方々の話を、わたしなりに要約してご紹介したい。

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by news-worker | 2006-08-14 01:27 | 平和・憲法  

長崎に移動

 きのう(7日)、広島から長崎へ移動した。きょう8日は、長崎新聞労組や地元民放労組などでつくる長崎マスコミ・文化共闘会議のフォーラムに参加。在日米軍再編と有事法制・国民保護計画をテーマにした広島市立大広島平和研究所長の浅井基文さんの基調講演には思うところが多かった。米側資料をもとに、中国や北朝鮮の脅威論に根拠がないこと、米国が日本とともに先制攻撃をかけなければ、中国や北朝鮮が日本を攻撃する理由がないこと、従って、日本にとっては、米国の先制攻撃を止めることが日本自身を守ることになること、国民保護法制は事実上、国民動員法制にほかならないこと等々を浅井さんは分かりやすく説明した。広島フォーラムと共通する視座、視点として、やはり今の日本は戦争の「加害者」になりつつあると強く感じた。詳細は後日、広島フォーラムと合わせて報告したい。
 明日(9日)は長崎への原爆投下からちょうど61年。長崎新聞労組の案内で、浦上一帯に残る原爆禍の遺構をめぐる平和散歩に参加する。
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by news-worker | 2006-08-09 02:08 | 平和・憲法  

400年という過酷な時間を理解しなければならない~沖縄・宮古島で考えたこと

 宮古島に滞在している。きょう(14日)は午後の空き時間に、ホテルを出て少し散歩した。宮古毎日新聞労組の支援で5月以来、宮古島に来たのは5回目になるが、なかなか島内をゆっくり見る機会がなかった。
c0070855_18232897.jpg 平良港から少し足を伸ばすと「人頭税石(にんとうぜいせき)」という高さ140センチ余りの石がある(写真)。傍らに立つ案内板によると、大正10年に宮古島を訪れた民俗学者の柳田国男が「賦測石(ぶばかりいし)」として、著書「海南小記」で紹介し有名になった。琉球王朝時代のこととして、柳田は「この石で背丈を測り石の高さに達すると税を課された」と記しているという。しかし、これは俗説で、実際には島民は戸籍によって税を課されたらしい。
 案内板の記載によると、1637年に琉球王朝は先島(宮古島や石垣島と周辺の島々)に人頭税制を敷いた。「頭数」つまり人口によって穀物や織物を税として課した。1710年からは、年齢(15-50歳)が基準になった。人頭税制は明治になり、琉球が沖縄県として日本の領土に組み込まれた後の1903年まで続いた。
  「1637年」という時期は重要だ。琉球は1609年に薩摩藩の武力侵攻を受け、以後、間接支配を受ける。薩摩の過酷な貢租取立てに対し、琉球王朝は先島住民への賦課でこれをしのいだ、というのが定説のようだ(引用として適切かどうかは分からないが、例えばウィキペディア「人頭税石」)。

 江戸時代を通じて、琉球王朝は薩摩に忠誠を誓いながら、一方では中国(清王朝)とも独自に外交関係を結び、からくも独立を保っていたとされる。しかし、沖縄は明治期に日本領に組み込まれたために、第二次大戦で過酷な地上戦を経験しなければならず、戦後は米国支配のもとで「銃剣とブルドーザー」の基地建設によって、やはり過酷な圧制が続いた。日本復帰から34年になる今も基地の圧迫は変わらず、それどころか、在日米軍基地の再編によって恒久的な軍事要塞化が進もうとしている。
 沖縄の基地被害は沖縄だけの問題ではなく、日本(ヤマト)全体の問題だと、何度かこのブログでも指摘してきた。わたしたちヤマトの人間は、「今」だけを見ていては沖縄の苦悩を理解できないのではないか。「世界の中の日米同盟」などというものは、極めて近視眼的な貧弱な歴史観の産物でしかない。沖縄が経験してきたこの400年という過酷な時間を、ヤマトのわたしたちは理解しなければならないのではないか。宮古島で人頭税石を見ながら、そんなことを思った。
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by news-worker | 2006-07-14 18:29 | 平和・憲法~沖縄  

軍隊は住民を守らない~沖縄戦の教訓

 23日は沖縄の慰霊の日だった。1945年のこの日、沖縄の日本軍守備隊、第32軍の牛島満司令官、長勇参謀長が自決し(22日という説もある)、日本軍の組織的抵抗が終わったとされる。しかし、実際には沖縄各地で生き残りの日本兵の散発的な抵抗は続いたという。米軍が沖縄作戦の終了を宣言したのは7月2日だった。
 戦後60年の昨年、新聞労連は「しんけん平和新聞」創刊号を発行し、1945年の日本の敗戦を振り返った。その中で、新聞労連沖縄地連に、2ページにわたって沖縄戦の特集紙面を制作してもらった。その紙面からいくつか、データを拾ってみる。
 沖縄戦では、約90日間の戦闘で住民9万人以上が死亡した。日本兵の戦死者は約10万2千人、米軍の戦死者は5500人。住民の犠牲には多くの「集団死」が含まれている。日本軍は、住民が捕虜となり米軍に軍事情報が漏れることを恐れ、投降を厳しく禁じていた。一方で住民は「鬼畜米英」、つまり米軍に捕まると男は殺され女は陵辱されると信じ込まされていた。したがって、避難住民は米軍が迫ってそれ以上の避難が困難になると、集団で自ら命を絶つしかなかった。「スパイ」と疑われた住民が、日本軍に殺害された例もあった。
 「しんけん平和新聞」では、それまで「集団自決」と呼ぶことが多かったのを「集団死」にあらためている。「集団自決」では、住民が主体的に死を選択したように受け取られかねない。実際は、強制されたに等しい死だった。
 あらゆる意味で、沖縄戦の教訓は〝軍隊は決して住民を守らない〟ということに尽きる。そもそも、日本軍にとっての沖縄戦の位置づけは、本土決戦までの時間稼ぎだった。一日でも長く抵抗し、一人でも多くの米兵を殺すことが目的だった。沖縄の防衛と住民の保護が目的だったわけではない。
 戦争体験の風化が指摘されている。沖縄でもそうだという。戦争体験、なかでも「軍隊は住民を守らない」というその本質を継承していくのは、新聞をはじめとしたメディアの責務でもある。

 日本の敗戦後、沖縄は日本から切り離されて米軍の軍政下に置かれる。沖縄が本格的に「基地の島」となるのはそれからだ。住民が基地の被害を受ける側面だけでなく、ベトナム戦争では米軍の出撃拠点となり、加害者の側面も加わった。1972年に日本に〝復帰〟した後も、イラク戦争で沖縄の海兵隊が現地に出撃した。先の在日米軍基地再編計画の推移をみても、「世界の中の日米同盟」の下で、沖縄は負担軽減どころか、その基地機能はむしろ強化され、恒久化されようとしている。
 沖縄は61年前に一度、日本の防衛のために捨て石にされた。そのために戦後は米軍基地の重圧にあえぎ続けている。そして今また、2度目の捨て石にされようとしているのではないか。その状態では、慰霊の日にいくら鎮魂の言葉を口にしても、犠牲者は浮かばれない、と思う。
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by news-worker | 2006-06-25 00:43 | 平和・憲法~沖縄  

〝平時の有事化〟が始まっている

 ホテルの部屋で前回のエントリーを書いた後、朝食を取って新聞を読んでいたら「政府が周辺事態法の改正へ」の記事が沖縄タイムスと琉球新報に。共同通信の配信記事
(引用開始)
自治体の協力を義務化 周辺事態法改正を検討
2006年 5月28日 (日) 02:00
 政府は27日までに、朝鮮半島はじめ日本周辺で武力紛争などの「周辺事態」が発生した際、空港や港湾の提供など国への協力を地方自治体に義務付ける周辺事態法改正の検討に入った。在日米軍再編が最終合意されたのを受け、日本が直接攻撃される日本有事の場合と同様に自治体の協力を「責務」とし、米軍への支援をより円滑化することが目的。ただ自治体側の反発は必至で法改正は難航が予想される。
(引用終わり)

 在日米軍再編は沖縄だけの問題でなければ、米軍だけの問題でもない。憲法改悪、9条改憲を待たずして、日米の軍事一体化は、日本の社会を戦争社会に回帰させることを意味する。その動きが具体的に始まろうとしていることを示している。自治体と政府の関係は大きく変容する。自治体は政府に逆らえなくなる。政府は自治体の意向に縛られなくなる。そういう意味でも、今、在日米軍再編をめぐって沖縄で起きていることが、日本全体に拡大する。
 これが「格差社会」化と「監視社会」化とともに、日本社会で進んでいる「戦争社会」化だ。周辺事態法が想定しているのは、日本が武力攻撃を受けるケースではない。地理的に限定されているわけでもない。世界中のどこであってもいい。要は米国が起こした戦争に、日本が全面支援できるようにしたい、ということだ。〝周辺〟とは日米一体の軍事的利害関係の周辺、という意味だ。これは日本の市民生活から見れば、〝平時の有事化〟にほかならない。
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by news-worker | 2006-05-28 13:19 | 平和・憲法