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釧路で「一極集中」を考えた

 3月4-5日は北海道釧路市で開かれた新聞労連北海道地連の春闘討論集会・地域紙共闘会議に参加した。
 北海道の新聞といえば、全道を発行エリアにする北海道新聞社(道新)が知られている。北海道は都道府県としては一つの行政体だが、何せ広い。それぞれの地域に特色があり「地域意識」も強い。それぞれの地域に、その地域に根ざした新聞がある。
 新聞労連には北海道新聞労組のほか釧路新聞、十勝毎日新聞、苫小牧民報、室蘭民報の4紙の労働組合が加盟し、ブロック組織である北海道地連を構成している(地連には全国紙労組の北海道支部も加盟)。今回の会議は、それぞれの労組の執行部委員長、書記長さんたちが一同に会する機会ということで、わたしも参加させてもらった。
 さて、会議や酒を酌み交わしながらの交流会で、地元紙労組の方々から色々とお話を聞き、議論もして有意義な時間を過ごしたが、それはさておき、釧路の街を歩いてみて、地方の厳しさを強く感じた。
 北海道の景気回復の遅れはよく耳にするが、実際に土曜日の夜も日曜日の午後も、JR釧路駅から続く大通りに人影はまばら。かつて釧路漁港が日本有数の水揚げを誇っていたころには、恐らく大賑わいだっただろうと思える夜の繁華街も、やはり人が少ない。
 釧路新聞の4日付け紙面には、大通りが人出でにぎわっていた昭和40年代の写真が掲載されていたが、往時とは比べるべくもない、という印象を受ける。郊外型の大規模小売店舗に人出が流れたという事情もあるのだろうが、中心街の空洞化はその地域の「地域らしさ」の喪失を招いているのではないか。「格差社会」がすっかり定着している中で、モノも人も情報も集まる東京と地方の格差が確実に広がってきていると思う。

 地連会議の2日目には、東京から出身地の釧路にUターンして、地域の活性化に取り組んでいる釧路ITクラスター推進協会会長で企業家でもある宮田昌利さんが講演。「一極集中から『地域』へ」という内容だった。印象に残った点を紹介したい。
 宮田さんが例に挙げたのは米国のシリコンバレー。米国西部には、ゴールドラッシュ後はオレンジ農園しかなかった。シリコンバレーが今日の隆盛を得た要因は、さかのぼれば東部から優秀な頭脳を引き抜いてスタンフォード大学が開設されたことにあった。「優秀な頭脳が根付けば、人材が集まる。がんばって優秀な先生を釧路に引き抜き、全国から、さらにはアジア中から人材を集めることができるはずだ」。IT革命が進んでいる今、大切なのは「リスクを取りながら創造的思考で何でもやってみる企業家精神(必ずしも会社を興すことではない)だ」と強調し、メディアに対して「地域に元気を与えることも役割ではないか」と問い掛けた。

by news-worker | 2006-03-06 00:13 | 社会経済  

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